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本屋さん行きますよ!

魔女アイリスの朝は遅い。

目覚めるのはいつも昼時。朝日なんて見る日は来ないだろうと自覚するほどである。

けれど…極稀にちょっとだけ早起きすることもあるみたいである。

「モロ、おはようぉ」

本日のリズは一味違う。いつもは何をしても昼まで起きないが『この日』だけはちょっぴり早起きである

「…おぉ。やっぱり今日は早起きなのな」

トコトコと階段を降りてくる魔女は身支度もバッチリである。目の前に並べられたパンにスープ、そしてミルクを眺めふにゃっと笑うと手を合わせる

「うん。いただきまぁーす」

魔女アイリスの朝は遅い。だいたい遅い。けれど極稀にちょっぴり早起きなことがある。

そう…それは『本を買いに行く』時である

「いつ行くんだ?」

パンを頬張りながらリズは答える

「ご飯食べて準備したら行こうかなぁ」

「了解。じゃあ、俺も準備しとくわ」

「うん」

『本を買いに行く』日の彼女の行動は早い。朝スッと目が覚めると、すぐに立ち上がり身支度を整える。ちょっぴり綺麗なワンピースを羽織り、いつもより上等なローブをまとう。そして少しだけ櫛で髪をとかし朝食を食べに行く。食べなくてもいいが…食べなければ外に出して貰えないのである。

「お前、本のことになると…ちょっとはまともになるよな。身支度とかさ、女としていつもそのくらいはしても良いと思うぞ」

モロは自らの身支度のついでに花の香水をリズに掛けながら話す。さらについでに櫛でといただけのリズの髪も軽く結わえ赤いリボンで結んだ。だらしのない主人のおかげで今日も従魔は有能である。

「私、臭かった?」

「いやいや。俺が毎日風呂に突っ込んでるんだ、そんなことねぇよ。最近事業始めてさぁ。香水と小物雑貨な。その宣伝に。お前今日ローブ被るなよ?」

モロは有能だ。人前に立つことが苦手な私の変わりにこういったことで資金を稼いでくれている。私はというと売り物になる香水を調合したり、リボンを編んだりと裏方で働き、モロが表に出て売る商品を作るのだ。

「えぇ。恥ずかしいよぉ」

「じゃぁ、良いんだな?ローブを深くまでかぶって不審者と間違われて捕まって。本を買えなくなっても良いんだな?」

あくまで主人はリズだが、そのリズがモロに口で叶うことはないのが現実である。

「それは、いや!」

「なら、ローブを頭まで被るのは辞めるんだな」

魔女は覚悟を決めなければ行けない時がある。それは命のためでも戦いのためでもない。

魔女アイリスは覚悟を決める。

そう…『本を買うため』に。

「が…頑張ります!」

「おう!頑張れ!」

ふんすっと鼻息をならす少女は勢いよく立ち上がった。魔法で食べた器を水場に移すと自動洗浄魔法であっという間にピカピカにしてしまう。

「さぁ、モロ!本を買いに行きますよ!」


魔女アイリス、新しい香水の香りをまとい赤いリボンをひらつかせ。いざ街へ。

彼女はどんな『本』に出会うのでしょうか。

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