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魔女辞めるんですか!?

魔女アイリスの朝は遅い

「よーす!アイリス〜お姉さまが来たぞ〜」

「うぇ〜ふわぁー。ううん。ねぇ様ぁ?」

こうして『お客』に突然起こされることも日常茶飯事である

「相変わらず寝坊助だなぁ。おい、モロ。こいつ朝日見るとか言ってなかったか?」

部屋に入ってきた従魔のモロが答える

「ムリムリ。ついさっき起きてよ、また二度寝してんだ。昨日も今朝か?結局夜更かししてこれだよ。おまけに朝日なんて見るものじゃないとか、訳わかんないこと言ったと思ったらお前来るまで再度ご就寝」

今だにベッドの上で目を擦っている主人の頭の上に乗るとその肉球でテシテシと叩いて見せる

「あんなに啖呵切ってたくせに。まぁ期待はしてなかったけどさ。しかし、お前も大変だねぇ。猫になったり人になったり…こんな主人を持つと苦労が絶えないな!」

「…まぁ、つくしがいがあるってもんよ」

あまりに棒読みに話すもので『お客』は腹を抱えて笑うしかないのである

「アハハハッお前、その顔で言っても説得力ねぇよ!アハハハッ」

目の前で笑う『お客』に冷めた目を送る猫はいい加減に起きろと下にいる主人へ足蹴りをかました

「…なんとでも言えよ。そして、そろそろお前は起きろや!おらぁ!」

ゲシッと頭に足蹴り一発。ウトウトしていた魔女はいきなりの衝撃に目を覚ます

「ふわぁ!?何何!?……あれ?お姉さま?」

「よ。アイリス、やっぱお前朝日とか無理じゃん」

振り向いた先には、横に座りオレンジ色の髪を高く結い上げた女性が1人。オレンジの髪は太陽に例えられるほど金に近いオレンジでとても美しく、そして眩しいほどの笑顔は昔から変わらない彼女の魅力である。

「お姉さまだぁ。久しぶり」

「おう。元気にしてたか?」

ワシワシとリズの頭を撫でる手はとても温かくそれはいつだってリズにとっては至福の時間になるのだった。

「うん。お姉さまも元気そうだね」

「そいつが元気じゃない時なんてあるのか?」

「もう…モロ!」

リズだけでなくその姉にまで大口叩けるモロは流石の大物である。

「ところでどうしたの?いきなりここへ来るって手紙くれるなんて。だいたいいつも魔法水晶で話してたでしょ?会えるのは嬉しいけど…」

「あぁ!それな!目的忘れるとこだったわ。魔女辞めることにした!」

撫で続けられる手に心地よさを感じ浸っていたリズはその言葉にピタッと止まる

「……ふぇ!?やっや…辞める!?お、姉様、辞める?」

やっと冴えた頭も別の意味で昇天しそうである

信じられないものを見るような目で自分を向くリズに女はやべっと言葉を加える

「って!ラリエットがな、言ってたんだよ」

昇天しそうだったリズはその言葉を聞くとやっと意識が戻って来たようだった

「あ…ラリエットねぇ様が…恋人できたって言ってたもんねぇ」

2番目の姉ラリエットは淡いピンクのロングヘアが特徴的で穏やかで優しいリズの姉の1人である。いつもふわふわしていて姉妹の仲では天然爆弾と言われるほどであった。そんな姉様に恋人ができたのは何年前になるのか。魔女の感覚は人とは違うのでどのくらい経ったかは結局分からない。

「あぁ。それで結婚することになったから…魔女辞めて、そいつと添い遂げることにしたとさ。まぁ、姉貴らしいけど。ごめんな。リズ、変に驚かせて。私はまだ現役だよ」

「…うん」

私たち姉妹は全部で13人。けれど、現存する魔女はもはや半分以下まで減っている。その半分の姉たちは相手を見つけ添い遂げるために『人間』になったのだ。そして今度はラリエットねぇ様も…

「…喜ばしいことなんだけど、寂しくなるねぇ」

「まぁな。あいつさ、ほんとにふわふわしてるから…こんな大事なことを結婚決まった途端即断即決して、軽く言ってきやがったんだ。久しぶりに遊びに来たと思ったらふわっと『あぁ!そうだ。私魔女辞めることにしたの。皆に伝達お願いね』だとよ」

流石はラリエットねぇ様。面倒くさいことは妹に頼むその姿勢。相変わらずである。

「まぁ、それで…様子見がてらお前にこのことを話にきたんだよ。他の姉妹はそんなにだけど、お前は最悪干からびてそうだからな。リズが使い魔を契約したことだけは…ほんとによくやったと思ったよ」


そんなこんなで…魔女が1人ご卒業になることが決まりましたのでございます。当のリズはベッドに座ったまま窓から空を見上げ…結婚祝い何にしようかなぁ。なんてことを考える今日この頃。

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