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朝日なんて見れませんよね

少女リズの朝は遅い。

「うーまぶしいよぉ。モロぉ。カーテン閉めて…」

ほんとにほんとに遅い。

「もう昼だっての。いい加減起きろや」

躊躇なくカーテンどころが窓も開けられ、さらに痛々しい日光が注がれる

「嫌ぁ!死ぬ死ぬ。モロの鬼畜!」

布団に潜り文句を言えど、従魔様には届かず

「はいはい。お前は吸血鬼でもないんだから死にゃあしねぇよ。ほら、掃除するからとっとと起きろ。ダメ主人」

布団を奪い取り主人を床に転がすと容赦なく掃除を始めていく

「痛たただ…ごほっごほっ。モロぉほこりがまってるってば」

従魔に叩き出されたリズはのそのそと動き簡単に身支度を整えていく。寝巻きからほとんど変わらないようなワンピースに袖を通し、さらに黒いローブを上から羽織ると完成である。ボサボサの髪は数回手ぐしをするだけで充分だ。どうせローブで隠れるのだから。

「リズ、下のテーブルに食事用意してるから必ず食べろ。お腹空いてないとか抜かすなよ?お前の感覚だとこの先お腹空いたなんて思うことはない。俺が用意したものはその時に必ず食べろ。いいな?」

手を止めず話す従魔の声を何となく聞きながらなんとなく返事を返す

「ふわぁー。はぁーい」

覚めない目をこすりながら階段を降りていけば一階のテーブルには一つのパンとほかほかのスープにミルクがコップいっぱいに注がれていた。引き寄せられるように歩きテーブルに座るとモソモソと口に運ぶ

「モロぉ。いただきまぁーす」

「おぉー」

上からする物音の中に紛れ従魔の声が響く。

リズの朝はこんな感じで始まる。朝と言ってもだいたいが昼である。

「よいしょっと。ところでよぉ、リズ」

部屋の掃除を終えた従魔は2階の柵に寄りかかり、下で食事をするリズを見下ろすと

「お前さ、朝日見るんじゃなかったの?昨日言ってなかったか?」

リズは上から聞こえる声に耳を傾けながら考えた

「あさひ…あさひ……朝日!」

はっと目を見開き外を見る。朝日なんてとっくの昔に過ぎさり太陽は空高く輝いている

「…忘れてた。忘れてたぁ。モロぉ~忘れてたぁ!お姉さまにまた笑われるよぉ!」

今頃思い出しべそべそ泣く主人に溜息を漏らす

「お前がいつも通り本読んで夜更かしするからだろ?俺昨日止めたじゃん」

「だってぇ…あんな気になるところで止めたら寝られないもん。無理だもん」

本の虫、リズ。読み始めたら最後満足するまで止められないのが原因である

「はぁ。まぁ明日見ればいいんじゃね?お前のねぇさん遊び来るの明日だろ?」

「うん…」

「そのかわり…お前今日絶対夜更かしするなよ?俺今日用事あるから夜出かけるけど…ちゃんと寝てろよ?」


ー夜になりましてー

「…おい。お前、朝日は?」

「大丈夫だってぇ。もう少し…」

(本読むのに夢中です)


ー早朝ですー

「おい、リズ!朝日見るんだろ!?起きろって!」

「うーん…ムニャムニャ。モロぉそれ私のぉ。ムニャムニャ…グー」

「…もう知らね」


ーもうそろそろ起きましょうー

「………モロぉ。今何時?」

「昼」

「……私思うの、モロ。朝日ってね見れるもんじゃないんだよ」

「…何言ってんだ、お前」


さてさて、『朝日』

ある場所では元旦に見る習慣があるのだとか、無いのだとか。

けれど…昼起きの魔女様に朝日なんて見れるわけありませんよね。

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