スノーフォックス
「わっ、本当に溶けちゃいま……わっ!!」
「「「「「良かった〜!!」」」」」
メイクが起きたや否や大勢の雪の妖精が雪の鎧を脱ぎ捨てて集まってきた。
まるで蛍に集られてるような光景を横目にそのままにしている鎧の方に目を向ける。
「あくまで雪の鎧は鎧であって本体じゃなかったんだな」
「うん!! お姉さんが教えてくれたんだよ!!」
「へぇやるじゃん」
「えへへ……」
流石生産職、目の付け所が違うなぁ。
例え雪の鎧が倒されようと即座に離脱してまた雪の鎧を形成すればいい。
実質戦闘での外傷による損害は無いも当然だぞ。
「助けて下さりありがとうございます」
「礼には及ばないよ。ところで、ソロでやってるのか?」
パッと見たが、他に仲間が居る感じではないよな。
ソロでこんな雪山に来てるなんて……いや、自分が言うのも何だけど。
「えぇ、と言っても何も分からない初心者ですけど」
「奇遇だな、俺も先ほど始めたばっかなんだ。国を作るゲームとは聞いている」
「国を作れるゲームなんですね!! でもどうやって作ればいいのかな……」
俺も全く前情報無しでプレイしているんだよな。
実は国を作れるのかどうかすら知らん。
あの悪友曰く、戦争できるらしいからこのゲームやり始めただけだからな。
「実は俺の他に狐のnpcが居てな、その子が王様になりたいって言うから協力してるんだ。良かったら一緒に国を作らないか?」
「良いんですか!! この子達も一緒に連れて行っても?」
「勿論大歓迎だよ……と言いたい所だけど、国を作る場所も決まってないんだ」
こっちは全くのイチから国作りやろうとしてるからな……だかこその人手が欲しかったんだ。
国を作る場所も、建材も、食事も服も何も決まってない状態だからな、まずは人材を呼び込んで各自の発想で国を作るしか無いんだ。
というか、俺は外交とか指揮とか対他国との戦争に関する事なら分かるが内政はあんま得意じゃないしなぁ……。
「そうですね……妖精さん、ここを皆が平和に暮らす国にしたい?」
「皆が平和に?」
「そうそう、皆が手を取り合って美味しい食べ物を食べたり、かわいい服を着たり立派な建物を立てたり……」
「「「わぁ…………」」」
「その為には貴方達の力が必要なの。何が欲しいのか皆で決めて、そのために皆で動きましょう」
「「「はーい」」」
保育園児と保育士かな。
まぁある程度の知能(子供並)はあるみたいだし、問題になる程じゃないか。
外敵を退ける程度の実力もあるらしいからな。
「随分と幻想的な所じゃのぉ」
「ビックリした……居たのか」
こいつ……さては驚く所を見てからかってるな?
さっきも突然脳内に語りかけてきたし。
「貴方が狐さんですか?」
「うむ、玉藻前と呼ぶがいい」
「狐さんだ〜!!」
「かわいい〜!!」
「お主らこの美貌がよく分かってるようじゃの〜」
いや多分それ小動物や愛玩動物に向けた褒め言葉だぞ。
気づいてないようだから真実を伝えるのは辞めておくとして、最低限の人手は揃ったから周囲の地形を把握しておきたいな。
雪の妖精諸君が言っていた外敵とやらも気になる所だ。
「あ、そうじゃ、国の名前はどうするんじゃ?」
えっ。
「妾こういうの苦手じゃから任せる」
丸投げかよ!!
「「「「うーーーーーん」」」」
「じゃあ一人一人案を出してから多数決で決めましょうか」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それでは、国の名前は【スノーフォックス】に決まりじゃぁぁぁぁ!!」
[国の発起を確認しました]
[君主を玉藻前として、国【スノーフォックス】が誕生しました]
[プレイヤートグ、メイクは【スノーフォックス】に加入しました]
[相棒のモンスターグロ、ツクリは【スノーフォックス】に加入しました]
[雪の妖精は【スノーフォックス】に加入しました]
「…………これ何時間掛かったよ」
「もう夕方になっちゃいましたね」
ここから伝説は始まっていく……。
やっと国が誕生したので、これからは国の発展と着実に力を付ける場面を楽しんで頂けたらなと思います。