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国取り上等のVR戦記  作者: ひつじぃさん
第二章、崩れ往く栄光
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闘争のため

…………危なかったな。

窮地になったら権能大放出だなんて、時間稼ぎの意味が無くてしまうだろう。


なんとか阻止出来たのは良いものの、これ割とピンチでは無かろうか。


だって……英雄集結してるし。


「トロ君、この魔法を解きなさい!!」

「いやいや、そういう訳にはいかないさ。相手に有利になる愚行をするなんて、敵がすると思うかい?」


とりあえず、ロールプレイは崩さない方が良い。

なるべく強者感を見せつけるんだ。

余裕がある風に思わせるべきだろう。


今の俺はトグとしてではなく、世紀の大悪党トロとして眼前の敵を打ち破らなくてはならない。


余談だが、この〈偽装〉は玉藻前自身の権能で、ダメージを受けなければ名前、姿、声色まで好き勝手擬態する事が可能なのだ。


「既に貴様は許されざる(ギルティーな)行いをしてしまった。この魔眼の英雄救世主(メシア)が、貴様を断罪してくれよう!!」

「待て、救世主!!」

「許されざる……ね」


そう宣言した救世主と呼ばれた女は、俺に向かって刃物を突き立てようとした。


魔眼の英雄、噂ではその魔眼は対象の行動を数手先まで読む予測の能力が秘められていると聞く。

確かに俺だけではこいつに勝つのは難しいだろうな。


そう、俺()()ではな。


「あ……がっ……!!」


突如として氷の槍が救世主の横腹を串刺しにした。

誰が俺一人でここに来たと言った?

当然、氷の妖精も陰に潜んでいるとも。

そして、文字通り()()を入れる事だって出来る。


「何が”救世主”だ愚か者、お前らに許しだの何だの言われる筋合いは無い。何せ、既に俺は()()()()()()からな」


そうだ、俺はあの時救われたんだ。

その為にはこの国を滅ぼしたって構わない。


「何を……言って……」

「俺はこのように大悪党を演じているがね、別に俺自身は悪だとは微塵も思っちゃ居ない」

「ふざけるな、これだけの事をしておいて自分は悪くないだと?」

「善悪なんてものは立場によってブレる。そんなものが本当にあるのかすら疑わしいと思わないかね」


俺は演劇を行うかのように陽気な足取りで英雄と呼ばれた者たちに近づく。


「君達視点では俺と【神聖マヨネーズ】は悪そのものだっただろう。我々は【魔導帝国】を滅ぼしにかかっている大敵で、打倒しなくてはならない存在だ」


何かが正しい、何かが間違っている。

そんなものは自分視点の物語でしかない。


「だが、先ほどまで行われていた祝勝会は【神聖マヨネーズ】を滅ぼした記念のものだろう。彼ら視点ではお前らは自分の死を嘲笑う悪者だ」

「そんなのは暴論よ!!」

「その通り、君たちは悪気があって彼らを滅ぼしたのではない。やらねば自分達が滅ぶから、だから敵前を打ち砕いたまでだ」


誰も自分を悪者だとは思っちゃ居ない。

それぞれがやりたい事をやった結果、対立してしまい、最後には勝者と敗者が出てくるだけなんだ。


「これは戦争なんだ!! 善悪の問題じゃない。力を行使して敵前を打ち砕かなくてはならないのだよ。己の意思、己の目的の為にな」

「それで、大仰な演説をしてくれたてめぇは、一体何の為に【魔導帝国】を滅ぼしにかかっているんだ」

()()のため」

「………………!!」


竜胆……あぁ、いや怒羅魂にはこれで正体バレたかな。

他の人の反応は……「何言ってるんだこいつ」みたいな反応だな。

ふむ、分かりやすく例え話をしよう。


「皆はこいう経験は無いかね? 例えばスポーツを行っている時に「この人を超えたい」「この人に勝ちたい」そんな気持ちを思ったりはしないか? それと同じで【魔導帝国】という大国を滅ぼしたいと思っている」

「そんな事の為に滅ぼそうとしてるの?」

「そんな事の為に滅ぼそうとしているんだ。これはゲームだぞ、ゲームは楽しまなくちゃ」


…………さて、ここらへんで時間稼ぎは終わりかな。

雪の妖精がちょっと限界って言ってるし。

えーっと、どれだけ占領したのかな……おっ、三分の一まで占領出来てるじゃん。

ザルなのもあったけど、ここまでやれるのなら上等だよ。


「さて、ここらへんでお開きにしよう。これが俺流の宣戦布告ってやつさ――――あぁ、安心して、この魔法は流石に解いて帰るから。じゃーねー」


俺は自分の首を切って自害した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「…………それにしても竜胆が英雄? いやいや、似合わね〜」


俺はそう思いながら、【スノーフォックス】にリスポーン(デスルーラ)を果たしたのだった。

これは悪役ですわ()


トグは演説によって英雄達の足止めを果たした。

英雄はこの演説に、どのような感情を持ったのだろうか。

だが、彼らに考える時間は無い。

極寒の足音はすぐそこまで迫ってきているのだから。

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