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実話怪談ランドスケープ

【実話怪談】黒い手

作者: 高橋志歩

 私が小学校2年生で、確か6月頃の体験。


 当時は私たち一家は団地の2階に住んでいた。

 その日、母親は近くの集会所の集まりに出かけ父親はリビングで野球中継を見ながらビールを飲み、私は先にひとりで風呂に入っていた。


 お湯に肩までつからなければならないが、退屈して手でお湯をかき回して遊んでいた私は、何かの気配を感じて顔を上げた。


 風呂場のドアは曇りガラスだったが、そのドアの中央に黒い手が映っていた。


 狭い団地なので更衣室などはなく、風呂場を出て左側がすぐに玄関だった。玄関の明かりは点いていたので、もしかしたら影だったのかもしれない。

 しかしその時は真っ黒の手に見えた。


 手は肘から見えていて、手首から先はだらりとした感じで垂れている。

 私が訳もわからずじっと見ていると、いきなり手が動き出した。


 ゆらり…ゆらり…と揺れるように動く黒い手。


 その手の動きが「おいでおいで」だと気づいた瞬間、私は悲鳴を上げ泣き叫んだ。


 私の声と大騒ぎに気が付いた父親が慌てて駆け付けてくれたが、私は耳を塞いで浴槽の中でわんわん泣いていたらしい。しかし知らない手があったとの訴えに、父親は侵入者を心配して確認してくれたが、玄関の鍵はしっかり閉まっていた。


 それから、随分と長い間ひとりで風呂に入る事が出来なかったが、手を見たのはそれきりだった。

 後になってあの手を絵に描いてみたけど、たぶん左手だったと思う。


 あの時に風呂場のドアを開けていたら何がいたのかな…と今でも時々考えたりする。

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