SS No,0 アジト
この話は沖和司が芽吹小学校に転入してくる約1年前の物語です。
西白地方 葉泉市 廃ホテル
1人の警官はここが連続強盗グループのアジトと突きとめた。
そして、一人で勝手に中に入ってしまった。
(俺はまだ3年目だが、このままではダメだ、
少しでも情報を得ないと、、、)
警官はそこが廃墟ということに油断をしていた。
入り口にある監視カメラがその侵入者を捉えていた。
「ボス!1階に何やら人影が」
「あ゛あ?誰だ?」
「どうやら警官が一人入り込んだようでさぁ」
「一人だぁ?馬鹿か」
「俺たちは強盗グループって報道されてるのにな」
「手柄欲しさの無鉄砲野郎だろ。
ボロッちいアジトだが、ネズミにうろつかれるのも気分が悪い。
おい、お前ら、仕留めに行くぞ」
「「うっす!」」
3人は拳銃を手に警官のもとへ向かった。
(やはり、誰かがここへ出入りしている、
ここがアジトで間違いなさそうだな、、、)
警官は廊下に散らばったゴミを拾い上げ、見渡した。
「ボス、居ました」
「どこだ」
「2階パーティー会場に向かってます」
「わかった、その馬鹿が中に入ったら、そこでジ・エンドだ」
警官は壊れた両開きの扉からパーティー会場へと入った。
(ここは、パーティー会場か?)
正面にはステージ、天井にはシャンデリア、
窓際にはいくつかのソファー、フロアには円卓と椅子が並べられている。
「そうだ、ここは元パーティー会場だ」
「誰だ!」
警官はすぐさま振り返った。
「おいおい、誰だはないだろ。
お前は俺らを探してきたんだろ?
だが、残念、俺らのアジトは3階の小会場の方だ」
(ちっ、気づかれていたのか、)
「廃墟だと思って油断したんだろ?
悪いが、監視カメラは新しくしたんだ」
(、、、逃げるしかないか)
「おいおい、何とか言ったら―――」
警官は窓に向かって走り出した。
しかし、犯人たちの撃った銃弾が1発脚に命中した。
「うぐぁ」
「脚に当たったら、逃げられねぇわなぁ?
じゃあな、来世では単独行動なんて馬鹿、するなよ?」
警官に向けられた銃口は3つ、
脚を撃たれて立つこともままならない。
銃声が響いた時、死を覚悟して目を瞑った。
しかし、目を瞑って十秒ほど経っても体に痛みはない。
(当たらなかった、、、のか?)
すると、
「ぐあ゛ーーーー」
「何で俺たちが、、、」
「誰だ!きさま!」
犯人たちの叫び声が部屋中に響いた。
警官が恐る恐る目を開けると
目の前に1人の少女が立っていた。
そして、その向こうでは3人の犯人が倒れていた。
「こ、これは、、、君がやった、のか?」
警官は少女に訊ねた。
少女は振り返り答える。
「だとしたら?私を逮捕する?」
「いや、命を救われたんだ、逮捕はしない。
第一、俺は目を瞑っていて何も見ていないんだ」
「そうね」
少女は倒れている犯人たちに歩み寄る。
「で、どうするのこいつら」
「もちろん、連行するが、今の俺には無理だ。
応援を呼ぶしかないだろう」
「そっ、なら私はここから去るわ」
「あ、ちょっと、、」
「なに?人目に付かないところとはいえ、長居することに利はないんだけど」
「命を救われたんだ、お礼がしたい」
「いらないわ、そんなの
私はあなたを信用しているわけではないし、
ましてや、後々敵になりかねない相手にこっちの情報を渡すなんて」
「なぜ、俺が敵になるんだ?」
「さぁ?あなたには関係ない話よ」
「ならなぜ、君はここに?」
「この廃墟を明け渡してもらうためよ」
「なぜ?」
「関係ないって言ったでしょ?
でも、せっかくだし、1つ教えてもらおうかしら」
「なんだ?」
「今後、ここも捜査されると思うけど、どのくらい?」
「犯人は捕まえたからな、半年くらいか」
「そっ、ありがと」
そういうと少女は窓辺に止まっていた鳥に捕まって地面へと降りた。
それから、10ヶ月後(司が芽吹小学校に転入する年の1月)
警官は捜査終了後、初めて廃ホテルを訪れた。
(あの子はいるんだろうか)
警官は廃墟に足を踏み入れた。
「りなっち!誰かきた!」
「誰だぁ?こんなところまでわざわざ来やがるのは」
「、、、映像を、解析する、」
少年はパソコンを叩きカメラの映像を解析し始めた。
「誰か、わかったよ、、、
ここをアジトにしていた奴らを捕まえた警官、」
「あー、前にりなっちが助けた人か~」
「何でそんな奴が、俺が排除してくる!」
「その必要はないわ」
凛奈はソファーから立ち、言葉を続ける
「ここへ招き入れましょう」
特殊能力のある世界SS No,0 アジト ご覧いただきありがとうございます。
1人の警官と、ある組織の出来事
後半に出てきた組織は例のあの組織です。
この後、警官がどうなったのか、本編で描かれるかも、、、
ちなみに、円卓を囲うように並べられた椅子、何脚ありましたかね?
(答えは、本編第10話へ)
前回描いた、SS No,0 廻風の続編を望む声がいくつかありましたので、
続編を作成することにしました。
次回の更新は「廻風2」です。お楽しみに。
ちなみに、今日(12/4)も友達の誕生日なんですよね。
おめでとうございます。
俺が小説を書くきっかけになった2人のうちの1人です。
その友人の野菜嫌いが治ることをひそかに願ってます。
(俺は魚が苦手、骨を取るのが、、、)