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人欲

作者: 宮叉登

人間の持つ欲望の種類はほとんど同じである。それゆえに自分と他人の違いに気付きづらい。しかし、欲望の優先順位は人それぞれであるため、自分と他人で正解だと思う行動は違う。きっと他人が自分が思う優先順位が1番の行動をせずに2番目や3番目の行動をしたときに虚しい人生だとかそれは間違っているとか思ってしまうのはその優先順位の違いを理解していないからである。これから話すのはそんな感じのことを考えさせられる一人の人間の人生である。

 とある小学校の様子…

チャイム「きんこんかんこん。」

少年「キャッホゥ!」

少年が短パンを尻までたくし上げて走り回っている。

クラスメイトA「きめぇwww」

少年「じゃあな!」

クラスメイトA「ああ、またな!」

彼の名はrenれん。元気な普通の小学3年生だ。この物語の主人公である。


 renの自宅…

ren「ただいま〜。」

renの母「おかえり。」

ren「marutaはまだ帰ってきてないの?」

renの母「うん、もうすぐ帰ってくると思うけど。それと今日marutaが柔道の体験に行くんだけどrenも来る?」

ren「行く行く!」

maruta「ただいま。」

marutaまるた。renの兄である。renの2つ歳上で小学5年生だ。

renとrenの母「おかえり。」

renの母「柔道の体験renも行くことになったから。」

maruta「まじで?こいつも来んのかよ…」

renはmarutaがどこに行くときもよくついていった。marutaに煙たがられていることは分かっていたが、家にいても親は忙しそうにしていて遊んでくれないし暇になるのが嫌だった。

それからrenとmarutaは柔道を始めることになった。


 学校…

クラスメイトB「今日の放課後遊ぼうぜ。」

クラスメイトC「オッケー。」

ren「悪い、今日俺柔道の稽古あるから。」

クラスメイトB「お前柔道なんてやってんの?すげえ!」

クラスメイトC「道場の中じゃ強い方?」

ren「…まあな。」


 道場…

師範代「勝負ありッ!」

小学6年の門下生「まじかぁ…」

maruta「ありがとうございました。」

周りの門下生A「やっぱmarutaさんはすげえな。」

marutaは特別器用ではなかったが勝負事に対するプライドは高く、自分なりに考えながら練習していたため上達は早かった。

周りの門下生B「それに比べてrenは弱いから学年下のやつとしか練習させてもらえねえなんてよw」

一方renは上達が遅かった。ただがむしゃらにやっていただけで何か考えながら練習していたわけではない。時間を費やせば勝手に上手くなるものだと思っていた。そして何より臆病だった。自分より体格のいい相手には萎縮して戦う気すらなかった。marutaを慕ってる人たちはrenを露骨に嫌った。特にrenとmarutaの間の4年生はしょっちゅうrenをいじめた。marutaはそれを見ても止めようとはしなかった。


稽古終了後…

同学年の別のクラスの門下生「どけよ。そこ俺のロッカーなんだけど。」

ren「ああ、ごめん。」

この門下生はrenをいじめたりはしなかったが、renはこの門下生が自分を軽蔑しているのを感じていた。marutaの腰巾着としか自分を見ていないのだろうと思った。この門下生は学校ですれ違うたびにrenを冷たい目で睨んだ。renはこの門下生が自分の本当の実力を学校中に広めないかという不安と恐怖で心臓を吐き出しそうなほどビクビクしていた。

一人になってから…

ren『ハァ…マジ辞めてぇ。でも辞めたら学校のやつらになんて言われるか分かんねえしな。』

※『』は思ったこと。実際に口に出していない。

2年間そんな生活を続けていた。

 そして2年後にren達一家は父の転勤で引っ越し、renは近くの小学校に転校し、marutaは近くの中学校に入学した。

marutaは柔道部に入ったが、renはこれを機に道場へ通うのを辞めた。renは安堵した。しかし、あの2年間がrenの足枷となることをrenはまだ知らない。


 新しい小学校…

先生「今日は転校生を紹介します。」

生徒たち「ざわざわ…」

renはこのころから同学年の人が歳上に見えて怖かった。

おそらく、あの同学年の門下生の影響だ。

自己紹介も緊張した。

ren「あ、renです。趣味はBL系漫画を読むことです。」

renは有名なやつを一つ読んだ程度で別に詳しくはなかった。それでもそんなのを読む人はいないだろうと思いウケ狙いで言ってみた。友達欲しさと恐怖が入り混じってガチ感のある声が出てしまった。

生徒の一部「あいつやばくね?w」

生徒の一部「それなw」

ウケたというより笑われていた。

高学年になって理科と社会の教科が加わった。理科と社会は担任ではなく別の先生が教えるようだ。

理科の先生は太った男の人だった。

先生が自己紹介をする…

先生「はい、自己紹介は以上。何か質問ありますか?」

クラスメイトの一人がrenに耳打ちしてきた。

クラスメイトD「おいren、妊娠何ヶ月ですか?って聞いてこい。」

ren「えっと…妊娠何ヶ月ですか?」

クラスメイト達「wwwww」

先生「はい、後で職員室に来なさい。」

先生はこの場では穏やかな雰囲気で言ったが、職員室に行ってみると初対面でいきなりなめてんのか?と脅された。

学校では毎日そんな具合で孤立しないように必死だった。

renは生まれた時からずっと自分一人では生きていけないような気がしていた。例えるならrenにとって人は目だった。

人と一緒にいないと真っ暗闇を一人で歩いているかのような何も分からない恐怖と不安に襲われた。

放課後や休日は基本的に家で一人でゲームをするだけだった。

marutaともほとんど話すことはなくなっていた。

そのまま特に何もなく小学校を卒業した。

中学校に上がるときにまた父の転勤で引っ越した。

中学に上がる前の春休みでrenは漫画にハマった。


 中学校…

基本的には小学校と同じスタンスでいったが、中学校では恥を恐れずにウケを狙うことに集中した。

中学のrenは今までとは一味違った。漫画の影響を受けて自信を得たからだ。

体育の授業でジャージに着替えているとき…

クラスメイトE「こいつ、両乳首に1本ずつクソ長い毛ェ生えてんだけど。」

ren「コイツらを馬鹿にするな。」

クラスメイトF「自分のチク毛を他人みたいな言い方すんなw」

ren「俺が次に放つ技が貴様らの心の悪を砕く!チク毛真拳奥義ッ!

         [健気な()()()]。」

クラスメイト達「wwwww」

クラスメイトG「ちく毛よりもお前の性格の方がきめえw」

学校でrenのギャグは好評だった。友達もできた。

renは柔道部ではなく剣道部に入った。marutaと同じ土俵に立ちたくなかった。柔道は忘れ、剣道で強くなれば過去の弱かった自分を許せると思ったからだ。


 剣道部…

剣道部に入部した1年生はkanioかにおという男1人だった。

1年生は閣議場が狭いので廊下で素振りをやらされていた。

ren「毎日素振りばっかでつまんねぇな。」

kanio「部活が休みの日は市の体育館で練習できるらしきぞ。そこなら実戦もできる。」

ren「そりゃあいい。次の休みの日に行こうぜ。」

kanio「オッケー。」

部活が休みの日…

ren「悪い、今日俺提出物出してないから遅れる。」

kanio「仕方ない…」

renが提出物を出した後、市の体育館…

ren「必殺、燕返し!」

kanio「うわ、初心者狩りムーブだ。」

ren「そう言われるとなんかダサいな…」

「そういえばお前兄弟とかいんの?」

kanio「弟がいる。」

ren「道理で提出物をしっかり出せるわけだ。」

kanio「それ関係ないだろ。」

renとkanioはこんな感じでお互い切磋琢磨していた。

1年後、剣道部…

顧問の先生「勝負ありッ!」

先輩「うーん…君強いね。」

ren「ありがとうございます。」

kanio「まじか、すごいなお前。」

ren「やっぱ先輩だからってビビんないの大事だな。」

こんな感じでrenは部活を頑張っていた。

 自宅…

renが中学3年になって部活を引退した後、renはkanioに誘われて市の体育館に剣道をしに行った。


 体育館…

kanio「お前とやるのは久しぶりだな。」

ren「そうだな。」

kanio「じゃあ始めるぞ。」

最初は比較的いい勝負にはなった。しかし、何試合かこなしていくとkanioが圧勝する様になってきた。

kanio「お前の癖は分かりやすいな。」

ren『何でだくそッ…』

renはその後3時間近くハメ殺された。renは一瞬で終わる1試合に何の反省点も見つけられなかった。renは戦意をなくした。しかし、自分からやめようとは言えなかった。ただこの無意味な時間が早く終わればいいと思った。

kanio「次で最後にしよう。」

ren「ああ…」

kanio「最後にいいものを見せてやろう。」

ren「ん?」

renは最後も普通に負けた。

ren「最後のは今までのと何か違ったか?」

kanio「分からないか。まあいい、そろそろ帰るか。」

ren「そうか…」

kanio「俺、大分強くなったよな?」

ren「ああ、そうだな…」

「前よりもなんというか勝利に貪欲になった感じがする。

何かあったのか?」

kanio「お前が強くなって先輩に勝ったとき、俺も頑張ればいけそうだなって思って頑張った。」

ren「なるほどな…」

 自宅…

ren『俺ってこんなに弱かったっけ…?』

renは剣道をやめようかと思った。これ以降もちょくちょくkanioと試合をしたが一向に勝てるようにならなかった。

暇になったので代わりにインターネットの動画で見た生ける伝説ギタリストの人生論に影響を受けて家にあったエレキギターの練習をしていた。そんなある日…


 renの中学校…

先生「ren君、ちょっといい?」

ren「はい…」

先生「なんで呼ばれたか分かる?」

ren「…ちょっと分かりません。」

先生「netoriさんに関することなんだけど。」

ren「…netoriさんをメタルボールディフェンサーって陰で呼んでたことですか?」

renはnetoriというクラスメイトの女子をいじめていた。

netoriに関することはこれぐらいしか無かった。renはそれをあまり深刻な問題だと思っていなかった。

先生「そう。そのメタルボールディフェンサーってどういう意味か分かる?」

ren「…知りません。友達が言ってたからとりあえず言ってただけです。」

しかし…

いじめ当時の回想…

netoriはそのときノーブラで体育ジャージのTシャツを着ていたため、乳首の形が分かった。

ren「おいkyouju、あの軸、防御型か?」

kyouju(クラスメイトの男子)「あれは、メタルボールディフェンサー!こんなところでお目にかかれるとは…

強い回転力を加えると遠心力により中の金属のパーツが外側に開き凄まじい安定性を生み出すパイです。」

クラスメイト達「す、すげぇ…」

(要するに昔流行ったおもちゃに胸の形が似ていて、そのおもちゃの名称から命名された。)

回想終了。

ということをrenは知っていた。だが、重苦しい雰囲気でそれが深刻な問題であることをrenは察して嘘をついた。親に学校でこんな下ネタを言っていると先生に告げ口されたら嫌だったからだ。

さすがに知りませんというのは無理があった。先生はそれについてrenには何も知らせずに親に学校で下ネタを言って女子生徒をいじめていると電話していた。

この後、いじめに加担した生徒は全員改めて呼び出された。

そこには先生もいっぱいいた。怒られるというよりは裁判のような緊張した雰囲気で注意された。来る前は緊張したが、先生の問いに対してはkyoujuが答えてくれたため緊張は和らいだ。話などしたくないとのことでnetoriは謝罪を求めなかった。


 下校中…

renは一体なぜこんなことになったのか考えていた。

ren「俺がいじめ?そんな馬鹿な…陰口ぐらいみんな言ってんじゃん…でもこのままじゃマズいか…最近面白いこと言えてなかったしな。焦ってnetoriのアレをいつまでもネタにしてたのがよくなかったか。なんかみんなに求められてた気がしたんだよなぁ…そうだ、あいつらが求めてくるから悪いんだ。」

renは自分が善人だと思っていた。クラスメイトをいじめたという事実を受け入れられずにいた。


 renの自宅…

renの母「あんた、先生から連絡来たんだけど。何考えてんの?」

maruta「馬鹿が…」

ren「…」

renは無言で自分の部屋にこもった。散々周りの人に怒られて自分はとても酷い人間なのではないかと考え始めた。renはkanioにボコられた件と今回の件で自信を失っていった。


(こっからはrenが自信を失った後の生活をダラダラ書いてるだけなんでめんどくさいなったら飛ばしていいです。)

 ある春の日、renは床屋に行った。何ヶ月ぶりに学校以外で外に出たか分からなかった。見られていたわけではないが道中やけに人目が気になった。自分の歩き方、仕草が自信なさげで嫌だった。もう生きているだけで恥ずかしかった。冷たい風を受けると自分の体の細さが分かった。床屋に着くと客は沢山いた。renはさらに緊張した。

店員「後ろの長い椅子でお待ち下さい。」

そう言われて椅子に座る。不細工で髪も薄くて小太りな中年男性が何気なく本棚の漫画を取った。renは嫉妬した。

店員「次の方どうぞ。」

手慣れた手つきでタオルを使用済みボックスに放り投げる店員を見て吐きそうになった。

ようやく自分の番が回ってくるとあらかじめ用意しておいたセリフを搾り出すように言った。

ren「全体的に短くお願いします。」

それと坊主ぐらいしか注文の仕方を知らなかった。

店員「君中学生?」

ren「はい、そうです。」

店員「何年生?」

ren「中3です。」

店員「家でいつも何してるの?」

ren「…寝てます。」

renは反射的にゲームとかギターをやってることを隠した。ゲームはみんなやってるし別に恥ずかしいものでもないが自分が言うと悪い意味で様になっていて気持ち悪い気がした。ギターもまだ始めて間もないから質問攻めされるのが怖くて言えなかった。冷静に考えると寝てますなんて言うのが一番恥ずかしい回答だったかもしれない。

店員「…そうなんだ。」

会話は終わった。店員を気まずくさせたのは申し訳ないが髪を切られているうちに徐々に落ち着いてきた。(もし財布をすられていたらどうなるのか考えて執拗にポケットを確認したりもしたが。)髪を切り終わり顔も剃ってもらってシャンプー台に案内された。

店員「髪洗うからこっちで待ってて。」

renにはこっちがどこか分からなかった。再び緊張が走り、聞き返す勇気もないので何となくで座った。どうやら当たっていたようで何も言わず髪を洗ってくれた。

店員「痒いところない?」

ren「ああ、大丈夫です。」

シャワーの音にかき消されないように少し声を張らなければならないので変な声が出そうで怖かった。髪を拭いた後…

店員「なんかつける?」

ren「あ、いえ…」

ワックスとかそういうのをなぜつけるのかよく分からなかったし、有料だったらどうしようと思って断った。

店員「スースーするやつつける?」

ren「あ、じゃあ…」

これは無断でつけてくる店員もいるから無害だと思って了承した。でもなんかつける?のときに一度断ってるから違和感ありそうだなと思って恥ずかしかった。

仕上げみたいな感じで髪を少し切って貰うと会計の時間が来てしまった。

店員「会計1800円です。」

renは会計が苦手だった。いつも小銭とか上手く取り出せないし。別に後ろに誰か並んでいたわけではないが焦った。会計中の高齢者の方と同じ気持ちなのではと思った。事前に準備しておくんだったと後悔したが何とか払う。

「ありがとうございました…」

店員「ありがとうございました。」


 帰路…

(こっから話進みます。)

ren『なんてザマだ…この世には2種類の社会不適合者が存在する。ひとつは俺のような陰キャタイプ、もうひとつはグレて不良になるタイプ。俺は不良タイプの方がかっこいいしドラマチックな展開がありそうで好きだったのに。俺はただの腑抜けだ…』

 その後、学校ではrenは自分のギャグをクラスの人たち(クラスの一部)が期待してる気がしてそれに応えようとする欲求と戦っていた。(また他人を馬鹿にしたようなギャグを自分が言ってしまうのではないかという不安と自分のことをよく思っていない人たちの目線が嫌だったため)それは卒業まで続いた。(何回かその欲求に負けたが)

 そしてrenは高校に上がった。renとkanioは同じ高校へ通った。そして2人は同じクラスになった。高校でも剣道は続けた。しかし、renは部活には入らず近くの道場へ通うことにした。kanioと同じ所で練習すると自分が惨めに見えそうなのと勝てない焦りで練習に支障をきたしそうだったからだ。


 renの高校…

クラスメイトH「…だったわ。」

クラスメイトI「お前やばw」

クラスメイトJ「wwwww」

クラスの一部が話している。

renは高校でこそは一人になろうと思っていた。別にもう中学時代のあの事件が、クラスメイトのせいだとは思っていなかったが単純に友達に面白いことを期待されるのに疲れたからだ。しかし、孤独に耐えられずにまたくだらないギャグを言ってしまった。

国語の先生「部屋に入って来た泥棒に対して主人公はどうしたでしょうか。えっと…ren。」

ren「健全な男子高校生なめんなと言って襲いかかった。」

クラスメイトH「エェェェェェ!?」

クラスメイトI「お前renだっけ?(名前がうろ覚えだったため)エグッ!」

クラスメイトJ「爆笑爆笑。」


 その後の学校…

renは完全に彼らに目をつけられた。renは遊ばれた。プライドはズタボロになった。彼らの行為よりもrenは今の自分を同じクラスのkanioに見られるのがたまらなく嫌だった。

 帰路…

renとkanioはいつも一緒に帰っていた。

kanio「お前、クラスのやつらにあんなことされてて嫌じゃないのか?」

ren「ああ、別に嫌じゃない。」

renは平常を装った。

 その後の学校…

ren「俺が悪かったよ。もうやめてくれ。」

クラスメイトH「求めてたんじゃないのォ?」

クラスメイトI「自分から遊んでほしいみたいな態度とっておいてそれはないんじゃない?」

クラスメイトJ「もっと俺たちと遊んでくれよ。」

ren「…」

renはうまく言い返せなかった。自分は構って欲しいなんて態度もとっていない人をいじめたのに自分がやられる立場になったらやめてほしいなんて都合のいいやつだと自己嫌悪にも陥った。それでもやっぱり別に自分が助かってもnetoriに害があるわけじゃないしいいやと思って先生に相談した。先生には自分がいじめられていたことを広めないように言った。結局広まってしまったが。

その後は完全に孤立した。ようやく孤立できたのは例の生ける伝説ギタリストが自分の人生を貫くにはときに孤独になる勇気が必要だなんて言っていたのに影響されてぼっちをかっこいいものだと思っていたからだ。


 5月のある日、高校でバンドメンバー募集中と書いたポスターを見かけた。renはバンドに少し憧れていた。

ren『1-D shitamoriしたもりまで、か…バンドいいなぁ…でも怖い人いたらどうしよう…まあ合わなかったら辞めればいいか。』

renは1-Dの教室まで行った。緊張しながらノックする。

ren「すみません、shitamoriさんはいらっしゃいますか?」

shitamori「はい、私がshitamoriです。」

ren『まじ?女の人じゃん。』

ren「あの、ポスター見て来たんですけど。」

shitamori「それはどうも。で、何志望?」

ren「えっと、ギターだけど。」

shitamori「おお、ちょうどギター空いてたんだよね。あなたで最後だ。」

ren「被ってたらどうするつもりだった?」

shitamori「うーん、話し合ってみる?」

ren「まあ、被らなくて良かった。」

shitamori「とりあえずこのグループ入ってよ。」

ren「うん。」

renはスマホのSMSのグループに招待された。

shitamori「じゃあ予定とかはこのグループに送るから。」

ren「分かった。」

shitamori「そろそろ授業始まるから、またね。」

ren「じゃあ、また。」

 教室…

ren『ふぅ…疲れた。shitamoriさんか…女の人がいると少し安心するな。いやでも俺以外全員女だったら嫌だな。』

先生「テストの結果が出たぞ。」

renはそこそこ上位だった。

ren『ぼっちも大分板についてきたな。孤立して授業を真面目に聞くようになったのが半分、普通にレベル低い学校に来たからが半分ってとこだな。』

チャイム「きんこんかんこん。」

ren『これから稽古だ。』

 道場…

師範代「勝負ありッ!」(renの勝ち)

ren『大体突っ込むか突っ込むのを読んで先に攻撃するかそれをフェイントで釣るかの3すくみになってる訳ね。俺はこんな基本的なことも知らずに今までよく勝てたな。

いやでもこれはお互い距離が近いを分かった上での読み合いで、自分が前に出れば相手は距離が縮まることをまだ知らないけど自分は知ってる状況になるし、この時相手が引いていたら自分は距離が縮まると思っていたのに実際は縮まってないことになる…めんどくさいなぁ…』

renは少しずつ剣道を理解しようとしていた。

ren「ありがとうございました。」

大人の門下生「…チッ!」

ren『うわ…今舌打ちした…でもビビんねえ。どうせガキに負けてプライド傷ついたとかそんなだろ?俺はもっと悔しい思いをしてきたんだよクズが。』

相手を見下してないと怯みそうだった。

こんな感じでrenは剣道を頑張っていた。

 帰路…

kanio「お前、何で部活に入らずに道場なんか通うんだ?」

ren「ああ、それは…お前と戦う時に互いの手の内を知らない状態で戦ってみたいから?」

「それと、俺バンドに入ったんだ。」

kanio「まじか、すごいな。」

ren「まだ何もしてないだろ。」

kanio「いや、入る勇気が。」

ren「合わなかったら辞めるだけさ。」

kanio「学校祭とかでライブすんの?」

ren「多分な。」

kanio「じゃあ、頑張れよ。」

ren「ああ、またな。」

 帰宅後…

ren「ただいま。」

renの母「おかえり。テストどうだった?」

ren「そこそこ。」

renの母「ふーん。で、友達はできたの?」

ren「ああ…まあ、できた。」

renの母「どんな人?」

ren「まだ知らない。」

renの母「どういうこと?」

ren「バンドに入ったんだ。今度その人たちと会う。」

renの母「お金とかは大丈夫?剣道とちゃんと両立できるの?」

ren「ああ…まあ多分大丈夫。」

renが自分の部屋に戻る。

maruta「ただいま。」

renの母「おかえり。ren、バンドに入ったんですって。」

maruta「ああそう。」

ren『ハァ…marutaにも言うかよ。』

renは自分がどう思われているか気になって嫌だった。もともと誰にもバンドに入ったことを言うつもりはなかったが、

今後ずっと隠し通せる自信がなかった。

 renのSMSに通知が来ていた。

shitamori「みんな明日の放課後空いてる?」

明日は稽古が休みだった。

ren「空いてる。」

nekoねこ「俺も。」

miya(みや)「俺も空いてる。」

shitamori「じゃあ明日覇王ガイゼリヤ(ファミレス)集合で。」

ren「おけ。」

neko「(OKのスタンプ。)」

miya「(OKのスタンプ。)」


 翌日…

チャイム「きんこんかんこん。」

ren『今日は集会の日か。ビビっちゃだめだ。』

renが覇王ガイゼリヤに到着。

ren『ここか?』

shitamori「こっちこっち。」

ren以外は全員集まっていた。

nekoとmiyaは先に何か話しているようだ。

ren「ああ、どうもみんなお待たせ。」

shitamori「まずはみんななんか頼もうか。」

「私はブラックコーヒー頼もうかな。」

miya「俺はパスタとウーロン茶。」

neko「俺はチキンとコーラかな。」

ren「俺はゆで卵。」

neko「ゆで卵?」

ren「最近の人気メニューらしいよ?」

neko「ああ、そうなんだ。」

shitamori「すみません、ブラックコーヒーが一つと…(注文する)」

ren「shitamoriさん、ブラックコーヒー飲めるの?」

shitamori「うん、好きなんだ。」

ren「へぇ。俺なんてコーヒーと砂糖の比率逆転してるよ。」

shitamori「フフッ…それじゃみんな自己紹介しようか。」

「1-D、shitamoriです。ボーカル担当で趣味は音楽聴くのと旅行です。よろしくお願いします。」

miya「2-C、miyaです。ドラム担当でドラム歴は3年です。趣味はスキーと釣りです。よろしく。」

neko「1-C、nekoです。ベース担当でベース歴は2年です。趣味は小説と映画です。よろしくお願いします。」

ren『2年生が一人か。みんな俺より歴長いけど。』

「1-A、renです。ギター担当で去年の夏から始めました。趣味は…漫画とゲームです。あ、あと剣道やってます。よろしくお願いします。」

miya「剣道と掛け持ちなの?忙しいねぇ…」

ren「まあ、遅れないよう頑張りますよ。」

shitamori「まずは学校祭でライブする?」

miya「まずは練習してみて曲完成させるペースに合わせて予定組もう。」

neko「そうだね。」

ren「うん。」

shitamori「曲はどうする?」

neko「俺、一応作曲できるよ。」

ren「おお、すげぇ。」

shitamori「じゃあnekoが作曲担当でいい?」

neko「いいよ。」

ren「うん。」

miya「分かった。」

注文していたものが届く。

ren「このゆで卵、形が人の顔みたいでイカすなぁ…」

shitamori「次に練習する場所だけどいいとこ知ってる人いる?」

neko「学校で使える場所ないの?」

shitamori「聞いてみたけどだめだった。」

miya「音楽スタジオとか?」

shitamori「うーん…近くにないし毎回お金払うのも嫌だなぁ…」

ren「それなら銀星駅の線路の下は?あそこなら誰も近寄らないし。」

miya「ああ、そこいいかもね。」

neko「確かに。」

shitamori「うん。それでいこう。」

「バンド名も決めとこうか。」

miya「nekoさんどういう曲作るの?」

neko「ロック系。ポップ・ロックとかハードロックあたり?歌詞は生きてて自分の思ったこと書く感じだけど。」

ren「nekoロックでいんじゃない?」

miya「うん、それでいいよ。」

neko「雑くない?」

shitamori「nekoは嫌?」

ren「ガイゼリック・nekoロックの方がよかった?」

neko「いや、nekoロックでいい。」

shitamori「じゃあ決まり。」

shitamori「nekoは作曲できたら教えて。そしたらみんなに楽譜と曲送るからあとは個人で練習して何週間かしたらみんなで合わせてみよう。」

「また予定はSMSで相談しよう。それじゃあ今日はもう解散しようか。」

ren「うん、またね。」

miya「お疲れ。」

neko「お疲れ。」


 その後、自宅…

ren『あっ、nekoが曲を完成させたみたいだ。』

うーん、イマイチしっくりこないなぁ…俺が基本売れてる曲しか聞かないからか。まあとりあえず練習するか。』

その後何日か練習していると意外と良さが分かってきた。

 その後、道場…

ren「ふぅ、練習終わったぁ…。」

『お?SMSに通知が来てる。』

今日は午後から練習があるようだ。

ren『オッケー、俺も参加するか。』

銀星駅…

全員集まる。

ren「みんなお待たせ。俺以外の人は一回合わせてやってみたんだっけ?」

shitamori「うん。」

ren「ごめんね、あの日は忙しくて。」

shitamori「うん、とりあえず全員で一回やってみようか。」

練習終了後…

miya「ren君、ちょっと早いよ。もう少し周りの音聞いてね。」

ren「ああ、はい。」

『どっかで聞いたことあるアドバイスだ。まあ次は頑張るか。』

時間が空いて…

「nekoの作った曲いいね。」

neko「ありがとう。」

ren「いつか俺にも作曲教えてよ。」

neko「うん、いいよ。」


帰宅後…

ren『動画でも見るか。』

renはまた生ける伝説ギタリストの動画を見る。

ギタリスト「これをやってしまったら今後それをやってしまった人間として生きなきゃならないみたいなことって世の中あるじゃないですか。そういうことは絶対にやらないっていう信念は子供のときからありました。」

ren『子供の頃から信念なんて持ってる人がいるのか…信念って大体後悔からくるものだけど、多分この人は子供の頃からこうありたいっていう理想があったんだろうな。

羨ましいけど今までの俺の人生で俺に非はあったか?人生で本当の意味で一度も頑張ってなかったことなんてなかった。多分他人が俺の頭で俺と同じ環境で生きてもきっと同じ人生を辿ると思う。って俺の頭で俺と同じ環境って俺じゃん。

とにかくもう全部仕方ないじゃん?』


 バンド2回目の合同練習…

ren「最近、エフェクター(ギターの音を加工できる機械)買ったんだけど使ってみていい?」

shitamori「うん、いいよ。」

1回目終了後…

ren「エフェクターどうだった?」

miya「却下。」

neko「うん。」

shitamori「曲の雰囲気と合ってないかも。」

neko「変。」

ren「そっか…」

しょんぼりして外す。

練習終了後…

miya「やっぱren君早いよ。ちゃんと聞いて。」

ren「ああ、すみません。」

renが帰る支度をしていると…

miya「あの人やばいよ。全然テンポ合わせてくんない。」

neko「やばいですよね笑」

ren『うーん、聞こえちゃってるんだよね。周りの音聞きながらやんの難しいのに。みんな何でできんの?』

それからもnekoロックのメンバーは日々練習を続けた。


 時は進み9月…

学校祭前の合同練習終了後…

neko「そういえば明日の学校祭動画撮られても大丈夫?」

shitamori「私はいいけど。」

miya「俺もいいよ。」

ren「もちろん、大歓迎さ。」

neko「ならよかった。友達にお願いされてさ。」

 そして学校祭の日…

shitamori「今日は頑張ろうか。」

neko「うん。」

miya「よし。」

ren「ああ…うん。」

renはこういう試合前の円陣みたいなのが苦手だった。別に暑苦しい雰囲気ではなく挨拶程度だったがそれでも素っ気ない感じになってしまった。

しかし、renはワクワクしていた。演奏よりも昨日考えておいたMCを早く言いたいからだ。

nekoロックの番が回ってくる…

司会「次はnekoロックのみなさんです。よろしくお願いしまーす。」

ren『おおー!人いっぱい集まった。でも学校祭なんて暇だから集まって当然か。』

shitamori「どうもみなさんこんにちはー。今日は集まっていただきありがとうございます。バンドを組んだのは今年の5月からなんですけど、みんな結構前から音楽はやってるんで聴いていただけたらなと思っています。演奏する前に軽くメンバー紹介したいと思います。」

「まずは私、ボーカル担当のshitamoriです。そして…」

renがマイクを貰う。

ren「ギター担当のrenでーす。(例の禁止されたエフェクターを鳴らしながら。)あっ、演奏の時はさすがに使わないよ?(メンバーの方を見ながら)このエフェクター、バンドのみんなに一回聞かせたら速攻で出禁くらいました。MCの時ぐらいは使ってやりたくてですね。(エフェクターに向かって)どう?楽しい?」

エフェクター(ren裏声)「私、ゴール○ンボンバーの喜○武豊のギターに乗りたかったわ。」

ren「いや、あの人エアギター!」

観客「www…」

ren『キマッタァッ!よし、ちょっと笑ってる。最近の学生はませてるから照れて笑ってないだけ、少し笑っただけでも大成功よ。』

「そして…」

miyaにマイクを渡す。

miya「ドラム担当のmiyaです。」

nekoにマイクを渡す。

neko「ベース担当のnekoです。作詞作曲もやってます。」

shitamoriにマイクが戻る。

shitamori「それでは最初の曲…」

演奏が始まる…

ren『いつもより周りの音が聞こえる。やっぱり俺っち本番につよーい!キャッホゥ!』

演奏は無事終わった…

司会「nekoロックのみなさんでしたー。」

帰り際にrenが一回エフェクターを使う。


終了後…

shitamori「みんなお疲れ様ー。」

miya「お疲れー。今日はrenさんよかったね。」

neko「そうですね。」

ren「あざっす…みんな結構余裕であとは俺がミスらないことを祈るだけみたいな感じでした?」

miya「大体そう。」

shitamori「私はちょっと緊張したけど。」

neko「俺も緊張した。」

ren「そうですか。」

「みんなこのあとは友達と店でも回るつもり?」

全員「うん。」

ren『まじか…俺一人じゃん。』

shitamori「じゃあ解散しようか。」

その後、renは一人で店に入る勇気もないので一人校舎裏でギターを弾いて過ごした。kanioのグループに入れてもらう手もあったが、kanioを使って友達を作るなどしたくなかった。というか別に1人でよかった。


 その後…

renは焦りを感じていた。バンドで上手くいったらそのまま剣道をやめてそっちメインでいこうと思っていたが、renにはまだ剣道で試したいことがいっぱい残っていた。剣道でkanioに勝てるならバンドを辞めてもいいと思った。どちらにせよ今の掛け持ちの状態が一番良くないと思っていた。

ren『バンドやめて剣道一本でいくか…』

renはSMSでバンドを辞めるとメンバーに告げた。

詳しい話はファミレスに全員で集まってすることになった。

 ガイゼリヤ…

shitamori「辞めるってどうして?」

ren「やっぱり剣道一本で行こうかなって。」

neko「そっか…」

shitamori「もう戻って来ないの?」

ren「ああ、多分ね。」

miya「じゃあ代わりのギターとか見つけてくんない?」

ren「うーん、俺友達1人しかいないし…」

miya「じゃあもういいよ。俺たちで見つける。」

ren「じゃあ、ごめんね。今までありがとう。バイバイ。」

 店を出たあと…

ren『なんかmiyaさんに陰でまたグチグチ言われてそうだな。まあもういいか。』

それからrenは剣道に専念した。


 道場…

renは同じ人と連戦することで自分の癖を直し、逆に相手の癖を突けるようになった。

ren「師範代、俺がもっと強くなるためには何が必要ですか?」

師範代「貴様、なにゆえ強くなりたいと願う?」

ren「倒さなければならない相手がいるんです。」

師範代「そやつを倒した後、貴様はどうするのだ?」

ren「何もしませんが。」

師範代「では、なにゆえそやつを倒すのだ?」

ren「そいつを倒さないと俺は一生負け犬なんです。そいつに勝たないと楽しく剣道ができないんです。」

師範代「プライドを折られた復讐といったところか。いちいち他人と自分を比べていては劣等感なんぞ一生消えん。」

ren「きっと今回ので最後なんです。これを乗り越えれば自信がつく気がするんです。」

師範代「…そうか、自信なんて要らないと思うんだがな。」

「まあいい、renよ身体操作とは何か知っているか?」

ren「しんたいそうさ?体を動かすってことですか?」

師範代「まあ、まずは見ろ。わしは今から真っ直ぐフェイントもかけずに面を打ちにいく。貴様はわしが来ると思ったら先に打ってこい。」

ren「分かりました。」

師範代「では行くぞ。」

ren『えっ、距離離れすぎじゃない?反応してから打てるぞこれ。』

パンッ!(renが先に打たれる。)

ren『!?』

『…なんだ?一瞬で距離が縮まったような…』

師範代「やはり分からんか。今のは縮地法と言ってな身体操作の一つだ。、重心移動で動く技だ。貴様はわしが前に進みだす時の予備動作を見ていたんだろうが縮地法はその予備動作を隠すための技だ。今の貴様には見切れまい。」

ren「これは…詳しく教えてください。」

師範代「勘のいいやつなら身体操作の使い手と対峙すれば自然と習得できるのだが、貴様はまだ身体操作の洗礼を受けていないか鈍くて気づかんかったかだな。まあいい、教えてやろう。身体操作の極意を。」

ren「ありがとうございます。」

師範代「筋肉にはインナーとアウターというのがあってな。身体操作はインナーの筋肉を使った動きが多い。相手からは見えづらいからな。昔の人間はこのインナーを動かすことを骨を動かすなんて表現をしたが、そっちの方がイメージが掴みやすいかもな。身体操作はイメージが大事だ。」

 稽古中…

師範代「そろそろ上がったらどうだ。集中できてないようだが。」

ren「そんなこと言ったってすごい人は朝から晩まで練習してるんですよ?」

師範代「やればいいというものでもないと思うんだがな…」

 その後…

renは身体操作の極意を叩き込まれた。

師範代「身体操作の極意は教えた。どう使うかは自分で考えろ。」

ren『なるほど、身体操作の習得はあくまで土俵に立っただけ。お互いの手の内が分かるようになってからが真の勝負ってわけか。』

『今思えばkanioが中3の時にいいものを見せてやろうとか言ってたのは身体操作のことだったのか…』


 その後、学校が終わり下校中…

ren「kanio、明日市の体育館で剣道やんない?」

kanio「いいけど俺もう剣道部辞める。」

ren「えっ、まじ?なんで。」

kanio「飽きた。普通に友達とオンラインゲームやってる方が楽しい。」

ren「そうか…」

renは内心、現役のkanioに勝ちたい気持ちより剣道でkanioと会うことがなくなったことの方が嬉しかった。だが、剣道を真面目にやっている自分が嫌になった。

 翌日、市の体育館…

ren「50本先取でやんね?」

kanio「オッケー。」

ren「じゃあいくぞ。」

renは身体操作を使いkanioを翻弄し序盤はリードする。

kanio「お前もそれ身につけたんだな。」

ren「まあな。」

しかし、中盤kanioが対応し始めて状況は五分になる。

ren『対応早すぎだろ。っていうかこんな試合展開早いのになんで俺の技を見切れるんだ?前にやられたことでもあるのか?』

renはその後対応する側に回り、早い試合展開の中で対応に苦戦していた。

ren『前と同じ負け方はしない!対応力はあの時からずっと鍛えてきたんだ。』

renは大幅にリードを取られたがなんとか対応する。

しかし、renは気づく。

ren『こいつ、何も考えてないかのような表情だ。すげえ集中力だ。それに比べて俺は戦ってる最中も自分のメンタルコントロールに脳のリソースを割いている。こいつの思考の早さの秘密はそれか。』

renは結局対応するのに精一杯で心理戦の領域まで踏み込めなかった。renは23-50でkanioに敗北した。

kanio「よし、勝ったー。」

ren「やっぱダメか…」

kanio「どうする、まだやる?」

ren「いや、もう疲れた。帰ろう。」


 その後…

renはkanioが剣道を辞めた後でもいい結果を出せばkanioに勝ったことにしようと決めて剣道を続けた。しかし、kanioの集中力を見て自分はああいうタイプの人間には決して勝てないような気がしていた。そしてrenは高校3年に上がっていた。

 自宅…

maruta「お前も3年だし、そろそろ剣道は引退して勉強したらどうだ?」

ren「ああ、そうだな…」

maruta「お前は昔から感情に道を流されすぎだ。もうそろそろ生活に集中しろ。」

ren「ああ…」

 道場…

ren「師範代、最近自分の強さに限界を感じます。というより、成長のスピードに限界を感じます。」

師範代「負けたのか、例の男に。」

ren「はい。負けて分かったことがあります。私に足りないものは集中力です。強い人っていうのは試合中に負けたくないとかなんとか感情的なことは一切考えてないんですよ。練習中だって疲れたとか思わないんでしょうね。練習を辛いとか思ってる人には多分才能がありません。」

師範代「効率で勝負はせんのか?」

ren「多分効率でも勝てませんよ。」

師範代「辞めるのか?」

ren「はい、高3ですからそろそろ勉強に専念しないといけません。それに最近は剣道が楽しくないですから。」

師範代「そうか…達者でな。」

ren「今までありがとうございました。」

師範代『renよ、わしが身体操作を貴様に教えたのは倒したい相手を倒すためではないのだ…』


 その後…

renは大学受験に向けて勉強をしていた。

ren『案外生活に集中するってのも悪くないか。勉強をやってる間は嫌なことも考えなくてすむ。』

最初のうちはそんなことを考えていたrenだったが集中力が切れるとすぐに投げ出した。

ren『やっぱり集中力が切れた後って何やっても無駄なような気がしてなぁ…』

renはその後、徐々に気力が無くなっていく。

 自宅…

ren「なあ、maruta。お前が前言ってた言葉の意味が分かった。人間ってのは何かに盲目になってないと生きていけないんだな。大人ってのは大体その何かが生活なんだ。仕事頑張って家事をして暇な時に趣味をやったり友達と遊ぶ。そんな優先順位がある。でも俺はそれがぶっ壊れてる。小学校のころは人間関係が1番大事で高校では剣道が1番大事なことだった。それも無くなって今は無気力ってわけだ…俺は集中力がない。剣道でも生活でもなんでも集中できなきゃつまんねぇよ。最近は何をやっても無駄に感じる。」

『柄にもなくmarutaに愚痴っちまった。』

maruta「集中力の話は知らんが、無気力なのはお前がただ疲れてるだけだ。温泉にでも行けばすぐに直る。」

ren「温泉に行くのもだるい。」

maruta「まあ行ってみろ。なんでもやる前に考えるな、やってから考えろ。お前は感覚的に何かすることを忘れている。無駄なことに価値を見出すにはそれしかない。」

renはmarutaの言う通り温泉に行った。

 温泉…

ren『やっぱ人がいるところは嫌だな…』

温泉から上がり、休憩室で牛乳を飲む。

ren『普段はお腹を下すから飲まないが、温泉から上がった後だと腹の調子が良くなるな。』

『…しかし、なんか悔しいが本当に気力が回復した。目の前の問題は何も解決してないのによ。』

そんな感じでrenのやる気は元に戻った。


 高校…

shitamori「あっ、ren!」

ren「shitamoriさん、お久しぶり。」

shitamori「もうバンドはやらないの?」

ren「えっ、新しい人は来なかったの?」

shitamori「入ったには入ったんだけどすぐやめちゃった。それに受験の都合とかもあって今まで休止してたからギターは空いたまま。」

ren「うーん、剣道辞めちゃったし入ってもいいんだけど他のメンバーは俺が入ってもいいの?」

shitamori「他に当てもないし大丈夫だよ。」

ren「じゃあ入る。」

 なんだかnekoもmiyaもよそよそしい感じだったがバンドには入れてくれた。まあ元からそんなに仲良くもなかったかとも思うが。それからnekoに教えてもらっていた作曲もしながらバンドを続け、高校を卒業した。そしてrenは志望していた大学に受かった。頭のいい大学ではなかったがとりあえずこれからどうしようか悩んでいたので入った。大学からはアパートを借りて一人暮らしをした。家から学校まで遠かったし1人で生活できれば多少、社会不適合者感も薄れるだろうと思ったからだ。学校が用意した寮もあったが、寮は他の生徒と一緒になるから嫌だった。


 アパート…

renは洗濯機を回しながら皿を洗っていた。

洗濯機「ウィーン…バン!バン!バン!バン!」

洗濯機に洗濯物を詰めすぎて洗濯機が暴れている。

 ※独り言

洗濯物(ren裏声)「ごっ、ごめんなさい!許して…」

洗濯機(renシャウト)「ちゃんと反省しろオラァッ!」

ren「よくよく考えたら洗濯機の方が壊れる側じゃん。」

洗濯物「もう叩かないで!あなた手が血だらけよ?」

洗濯機「全部お前が悪いんだからな?オラァッ!」

ren「殴ってる洗濯機側がMマ?」

 こんな感じでrenは一人暮らしを始めてからはめちゃくちゃ独り言を言っていた。大学で友達はできなかった。renはその時今まで自分はおちゃらけた態度で変人として扱われることでしか自分を他人にアピールする術を知らなかったのだと思い知らされた。renは学校から帰ってくると疲れてメンタルを病んでは寝て起きたらいつも通り一人ハイテンションに独り言を言う自分に戻る。この生活を繰り返していた。

 

 銀星駅バンドの合同練習後…

ren「なあneko、いい曲できたと思うから俺の作った曲聴いてくれよ。」

neko「ああ、いいよ。」

nekoが曲を聴き終わる…

neko「うん、いいと思う。」

ren「まじ?ありがとう。」

それからrenもバンドに曲を出すようになった。


 休日アパート…

renはshitamoriにメッセージを送っていた。

ren「銀星駅で一緒に練習しない?」

shitamori「いいよ。」

 銀星駅…

練習後…

ren「今日はありがとう。俺基本一人だと集中できないんよね。」

shitamori「ああ、別にいいよ。」

ren「ああ、それと学校じゃ友達いないし。たまに誰かと話したくなる。」

shitamori「意外、友達いないんだ。」

ren「バンドでも俺浮いてるでしょ。それに学校じゃまじで無口。一言も喋らない日もあったかも。人と話すの怖いし。」

shitamori「バンドじゃいつも話してるじゃん。」

ren「バンドは趣味だから。合わなかったらすぐ抜けるつもりで入ったし。今は合ってるかどうかは分からないけどそこそこ楽しいから続けてるけど。」

shitamori「そっか、じゃあ私そろそろ帰るね。」

ren「うん、またね。」

その後、renはよくshitamoriを練習に誘った。

SMS…

ren「今日、自動車免許の技能試験だった。」

shitamori「おつかれ、どうだった?」

ren「20キル15アシスト0デスだった。」

shitamori「え?笑」

ren「受かったよ。」

shitamori「おめでとう。」

ren「教官怖かったから嬉しい。何気に人生で最大のピンチだったかも?いや、昔の俺に聞いたら絶対今の俺の方が辛いって言うだろうなw」

shitamori「それはよかった。」

その後、renは学科試験も受かって免許を取れた。


 ライブ会場…

nekoロックのライブ後…

neko「今日はみんなよかったですね。」

ren「ライブの高揚感エグい。昔は客少なかったからそんなに盛り上がんなかったけど今じゃ4〜50人ぐらい来てるもんな。」

miya「うん、ren君も今日はよかったよ。」

ren「どうも。」

shitamori「今日はみんなお疲れ、それじゃあ解散しようか。」

解散後、SMS…

ren「今暇?」

shitamori「うん。」

ren「よかったらなんか食べにいかん?」

shitamori「いいよ。」

集合する…

ren「トムの木って店知ってる?」

shitamori「うん、卵料理のお店でしょ?」

ren「そうそう。そこ行こ?」

shitamori「いいよ。」


 トムの木…

ren「何食べる?」

shitamori「私はオムライス。」

ren「俺もオムライス。俺はケチャップだけどshitamoriはケチャップ?デミグラスソース?」

shitamori「私はデミグラスソース。」

ren「shitamoriっていつも休日何やってるの?」

shitamori「うーん、歌の練習してるか音楽聴いてるか友達と遊んでるか…あとたまに旅行かな?」

ren「ふーん、shitamoriは自分じゃない誰かが何を考えて何をして生きてるのか気にならない?」

shitamori「うーん、好きな人なら気になるかも。芸能人とか?」

ren「そっか、俺は普通の人の生活が気になる。」

shitamori「どうして?」

ren「普通の人になりたいから。」

shitamori「renは普通じゃないの?」

ren「なんか俺には普通の人はみんな持ってる軸みたいなものがないんだ。うーん、世間知らずに近いかな?極端な話誰も教えてくれなかったら人間は歯磨きをしないだろ?俺はちゃんと歯磨きをしたいって話。」

shitamori「でも休日の過ごし方なんて自由じゃない?」

ren「まあ、そうなんだけど俺が自由に過ごしてたら気づいたら他の人に置いてかれてそうで…」

shitamori「流行りにのりたいってこと?」

ren「それとも違うかも。別に流行りにのってなくてもちゃんと軸がある人はいるし。」

shitamori「そういう人も好きなことやってるだけだと思うけどなぁ。」

注文した料理が届く…

renがオムライスを一口食べる。

ren「トムの勝ちデース!」

shitamori「…えっ?」

ren「ああ、ごめん…」

「で、何だっけ?あー確か俺が普通の人になりたいって話だっけか。普通の人はいいよ。不安なんてあんまりなさそうだもん。shitamoriは何か不安なことってないの?」

shitamori「不安なこと?うーん、バンドが長く続くかとか、これからの人生どうしようとかたまに考えるよ?」

ren「そっか、俺は隙あらば不安だな。隙がなくても不安がって目の前のことに集中できないときもある。ああ、ご飯食べにきたのに俺はなんでこんな話してるんだろ、ごめん。」

shitamori「別にいいよ。」

ren「やっぱふわトロ系のオムライスは美味い。なんなら味感じなくても美味そうまであるもんなー。shitamoriはオムライスの卵ふわトロ派?しっかり焼いた派?」

shitamori「私もふわトロ派かな。」

ren「だよなー。でもたまにはしっかり焼いたのも美味い。オムライスが不味くなることなんてほぼないか。shitamoriは料理とかする?」

shitamori「うーん、たまにするぐらいかな。」

ren「俺は一人暮らししてるからほぼ毎日する。」

shitamori「へぇー、すごい。でもちょっと意外。」

ren「料理するって言ったって難しい料理はしないけどね。大体生姜焼きのタレとか中華系の餡掛けとか覚えた味付けに肉と野菜入れて焼いてるのがほとんどだな。」

shitamori「そうなんだ。」

ren「なあ、これから俺ん家来ない?」

shitamori「え?うーん…」

ren「俺、楽しいことがあると普通の生活に戻るのが怖くなるんだ。今はもう少しshitamoriと一緒にいたい。」

shitamori「うん、じゃあいいよ。」


 renの家…

ren「小さい椅子しかないけど座って。」

shitamori「ありがとう。」

ren「コーヒーでも出すよ。ブラックでいい?」

shitamori「うん。」

ren「shitamoriは何してる時が一番楽しい?」

shitamori「うーん、やっぱり歌を歌ってる時かな。」

ren「単純に歌が好きなだけ?それとも何か目標とかってある?」

shitamori「具体的な目標とかは無いけど上手くなりたいとは思うよ。ずっと同じレベルじゃ飽きちゃうからね。」

ren「ファンとか欲しい?」

shitamori「まあ、できたら嬉しいよ。」

ren「じゃあ世間の評価か、歌仲間とかバンド仲間か、自分が満足できる実力の中だったらどれが一番欲しい?」

shitamori「えー、難しいなぁ…全部じゃだめ?」

ren「じゃあどれがどのぐらいあれば満足か教えて?評価5割、仲間2割、実力3割みたいな感じで。」

shitamori「それじゃあ評価2、仲間3、実力5かな。」

ren「へぇ、実力5か…歌本当に好きなんだな。」

shitamori「ありがとう。じゃあrenは?」

ren「俺は評価3、仲間7かな。」

shitamori「実力は0なの?」

ren「うん。もうギター自体に思い入れはないからだな。それにもう努力するのに疲れた。これからは今までしてきた努力の貯金と才能だけでやっていきたい。でもshitamoriが俺に努力して欲しいならやらんくもないけど。」

shitamori「努力するのは好きじゃないの?楽しくない?」

ren「もう努力するのが怖いから。」

shitamori「なんで?」

ren「俺は友達が一番欲しいものだったから子供の頃は友達作ったんだけど、交友関係めっちゃ下手でメンタルボロボロになってこれはまずいと思って頑張って孤立したんよ。そっから孤独紛らわすために生き様にこだわり始めた。ついでにかっこいい生き方してれば人って寄ってくるんかなって思ってた。でも、自分からいかなきゃ友達なんてできんくて、生き様にこだわるのひと段落着いて我に戻ったらただのぼっちだったんだ。それで無駄な努力したなぁって思って努力が怖くなった。」

shitamori「本当に無駄なの?生き様にこだわってる人って優しそうだから友好関係上手くなってそうだけど。それに私今renといて楽しいけど。」

ren「shitamoriだから話せてるけど他の人にはそうはいかんよ。俺は基本めんどくさいことしか考えてないからめんどくさい会話しかできないし、人と話すのは怖い。それに3〜5人ぐらいで遊びたい。確かに100%無駄ではないかもしれんけど遠回りしてる感じする。」

shitamori「renには独特の魅力あるし自身持っていいと思うけどなぁ…」

ren「そっか、自身持つのは難しいけどありがとう。」

「あと、努力するのが怖くなった理由はもう一つある。俺が剣道をやってた時、同学年の友達がいて最初は俺の方が強かったんだ。でも途中から抜かされたんだけどそいつが強くなった理由をそいつに聞いたら俺が学年上の人とかに勝ってるの見て意外といけそうだなって思ったからって答えたんだ。俺は今まで本気で相手にされてなかったと思うと悔しくて努力したんだけど、焦りから練習時間闇雲に増やして結局負けてそっから他の何にも集中できなくなった。何時間練習しても辛いと思わない人もいれば俺みたいなのもいるから今思えば無理しない方がよかったな。辛いことなんてやっても次の努力の足枷になるだけだし。辛いと思わない人からはそんな熱量使うところじゃなくね?って冷めた目でみられるし。」

shitamori「そんなことがあったんだ。じゃあもう無理しなくていいよ。もう十分renは頑張ったよ。」

ren「なあ、今日はもう泊まっていかない?眠るまでshitamoriと話してたい。」

shitamori「え?…うん、いいよ。」

renとshitamoriが一緒のベッドに入る。

ren「shitamoriといると安心する…」

shitamori「そう?」

ren「俺、shitamoriのこと好き。もうshitamoriがいないと生きていけない。」

shitamori「私もrenのこと好きだよ。」


 その後、銀星駅…

nekoロックのメンバーはあれから動画配信サイトに自分たちの演奏をアップしていた。

ren「おおー!この曲再生回数1000万超えてる!」

neko「まじか、すご!」

miya「おー!これでライブの規模ももっと大きくできそうだな。」

shitamori「うん、すごい!」

ren『やっぱ俺作曲の才能あるわ。きたこれきたこれ。』


 その後、SMS…

ren「スペイン町(遊園地の名前)行こ!」

shitamori「いいよ」

ren「shitamoriん家まで車で迎えに行くわ」

shitamori「うん」

shitamori家前…

インターホン「ぴんぽん」

shitamori「はーい。」

ren「迎えに来たよー。」

shitamori「今行くー。」

shitamoriが玄関を開ける。

ren「おー!shitamoriー!」

shitamori「やっほー。」

ren「お土産持ってきた。」

shitamori「何ー?」

ren「はい。」

renが変顔をした男の顔面がプリントされたTシャツを渡す。

shitamori「…何これ。」

ren「俺の推し。」

shitamori「ああ…普段着で使うね。」

ren「それからこれ。」

renはゴスロリの服を渡す。

shitamori「…これは家でも着ないよ?」

ren「恥を忍んで買ってきたのに…まあいいんだけど、最後にこれ。」

renはサーターアンダーギーを渡す。

shitamori「唐揚げ?」

ren「いや、サーターアンダーギーだね。」

shitamori「何それ?」

ren「どっかのお菓子。味はオールドファッションだね。」

shitamori「へぇー、ありがとう。お金は大丈夫なの?」

ren「まあ、バンドで儲かってるしいいよ。行こ?」

shitamori「うん。」


スペイン町…

ren「スペインって付いてるだけあってそれっぽい雰囲気あるね。」

shitamori「うん、テンション上がるねー。」

ren「あー、空気ウマウマ。」

shitamori「フフッ…」

ren「あっ、パレードやってる!見に行こ!」

shitamori「うん。」

ren「すげえ!あのおじさんめっちゃ足長ぇ!どうなってるんだ?」

shitamori「厚底ブーツでも履いてるのかな?」

ren「あの高さの靴どうやって履くんだ?w」

ren(裏声)「あっ、今手を振ったわ!私よ!絶対私に振ったんだわ!」

shitamori「フフッ…だといいね。」

パレードが移動して遠くへ行く…


 ren「よし、じゃあどれ行く?」

shitamori「なんでもいいよ。」

ren「うーん、じゃあジェットコースター乗ろう!」

shitamori「うん、いいよ。」

ren「ジェットコースター昔は怖かったけど今なら乗れるかな?」

shitamori「ホント?実は私も同じ状況。」

ren「前乗ったときはビビりすぎて下るときに息が止まって気絶しかけたんだけど今回は悲鳴をあげることによって息が止まるのを回避する作戦でいく。」

shitamori「フフッ…気絶したら置いてくね。」

ren「ひどい!前まで怖かったんじゃないの?」

shitamori「私は昔って言っても結構前だしもう大丈夫だと思うよ?」

ren「凄い自信だね。」

renたちがジェットコースターに乗る。

スペイン町で働いてる人「それでは、いってらっしゃい。」

ジェットコースターが下り始める。

ren「あっ、まっずい…」

「ィ"ヤ"ア"ァ"ア"ァ"ア"ァ"ァ"!!(シャウト)。」

shitamori「ウッ…!」

ジェットコースターが上り始める。

ren「あれ?shitamori?」

shitamori「…」

ren『固まってる、これ息できてないんじゃ…』

「shitamori!息吐いて息吐いて。」

shitamori「ッハァ…ハァ…」

ren「次はちゃんと声出して?」

shitamori「ハァ…ハァ…」

ren『これまじやばくね…?』

ジェットコースターが再び下り始める

ren「来るよ!?」

「ィ"ヤ"ア"ァ"ア"ァ"ア"ァ"ァ"!!」

shitamori「ギャア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!」

なんとかジェットコースターを終える。

ren「大丈夫?一旦ベンチで休もう。」

shitamori「うん…」

しばらく休んでから…

ren「なんで最初声出さなかったの?w」

shitamori「ちょっと恥ずかしかったから声出さなくてもいけるかなと思って…」

ren「www。もうジェットコースターは乗らんでいいか。」

shitamori「いや、次は多分乗れるよ…」

ren「意外とタフなんだね。」


 ren「次はどこ行く?」

shitamori「メリーゴーランド行かない?」

ren「うん、いいね。」

「やっぱこの遊園地、めっちゃ人少ないね。」

shitamori「うん。マイナーな遊園地だからかな?」

ren「ちょっと寂しい感じするなぁ。」

shitamori「そう?でもアトラクションの待ち時間が無くなるのはいいね。それにrenがいれば楽しいし。」

ren「うん。そういえばメリーゴーランドって内側より外側の方が速いのかな?」

shitamori「ああー、確かにそうかも。」

ren「内側と外側どっち乗る?」

shitamori「じゃあ外側。」


 ren達がメリーゴーランドに乗る。

スペイン町で働いてる人「それでは、行ってらっしゃい。」

ren「あぁ…程よい揺れ加減じゃ。」

「ところで、いつになったら遊園地に着くんじゃ?」

shitamori「じいさんや、もうここが遊園地ですよ?」

ren「ばあさん、ワシをからかっておるのか?

そうかそうか、お主ジェットコースターでチビっておったもんなぁ。本当は遊園地に行きたくないだけじゃろ?」

shitamori「ああ、そういうこと言いますか。じゃあ孫に昔爺さんは甘えん坊で夜になるとしょっちゅう私に抱きついてきよったこと言いますよー。」

ren「ああ、間違えた間違えた。ばあさんはよく安全バーを下げ忘れてジェットコースターに乗っておった常連なんじゃった。最近物忘れが酷くてのぉ…」

メリーゴーランドを終える。


 ren「そろそろなんか食べる?」

shitamori「うん、どこ行く?」

ren「せっかくだしスペイン料理でも食べるか。」

ren達がスペイン料理店に到着。

ren「この店パエリアばっかりだな。」

shitamori「でも美味しそうだよ?」

ren「確かに、俺パエリアにしようかな。」

shitamori「私はシーフード系のパエリアにしようかな。」

ren「俺はこのスペアリブ乗ってるやつにする。」

店員に注文する。

shitamori「renって兄弟いる?」

ren「うん、兄貴いるよ。」

shitamori「へぇー、どんな人?」

ren「うーん、真面目な人?」

shitamori「何歳差?」

ren「2歳差。」

shitamori「お兄さんとはよく話したりする?」

ren「いや、全然。」

shitamori「なんで?仲良くないの?」

ren「仲良くもないけど仲悪くもないかな。兄貴は恥にうるさかったね。俺がイキってたり情けないことをしてたらめっちゃ叱ってきた。それで喧嘩とかもしてたけど俺が兄貴に叱られるの嫌になって距離置いてたらそのままお互い無干渉になったって感じ。」

shitamori「2歳差で弟叱るってすごいね。」

ren「プライド高いから弟が自分の顔に泥を塗るのが嫌だったんだろうね。」

shitamori「へぇー…」

ren「shitamoriは兄弟いる?」

shitamori「いや、私は一人っ子だよ。」

ren「じゃあ子供の頃何してた?」

shitamori「本当に小さい頃はお父さんが歌を歌ってるところをよく見てた。小学生の頃は一人の時は歌を歌ったりゲームしたりしてたけど友達と外で遊ぶことが多かったなぁ。」

ren「俺は昔は兄貴によくくっついて遊びに行ってたな。小学校はほとんど家にこもってゲームしてた。」

「小学校の友達と何話してた?」

shitamori「アニメとかドラマとか動画配信サイトとか?」

ren「へぇー、言うてあんまり俺のとこと変わらんかも。」

「中学とか高校ではどんな感じ?」

shitamori「中学も高校も小学生の頃の友達と遊んでたなぁ…中学や高校からできた友達もいるけど、遊びに行ったりはあんまりしなかったなぁ。」

ren「あっ、そっか。俺転勤族だったから友達はその都度使ってた。中学から高校まで遊んでた友達もいたけど最近は遊んでないな。」

shitamori「へぇー、転勤族だと大変だね。」

ren「まあ黒歴史を知ってる人がいないのは良いところだけどね。」

shitamori「フフッ…」

注文していた料理が届く。

ren「めっちゃ美味そうな匂い。」

shitamori「ああー、出来たての香り。」

ren「スペアリブめっちゃデカい。一口食べる?」

shitamori「うん、じゃあ頂こうかな。」

renはスプーンで肉を骨から剥がしてshitamoriの皿に乗せる。

shitamori「ありがとう。じゃあ私もエビ一つあげるね。」

ren「ありがとう。」

「美味い。意外と肉が柔らかいし、さっぱりしっとりしてて食べやすい。ご飯に味ついてるからバランスいいね。」

shitamori「へぇー、シーフードも美味しいよ。」

食べ終わって店を出る。


 ren「ふぅ…結構お腹いっぱい。」

shitamori「私も、次はどこに行く?」

ren達はその後も遊園地を楽しんで夕方になる。

ren「次が時間的に最後かな。どれ行く?」

shitamori「観覧車行こ?」

ren「うん、いいね。」

ren達が観覧車に乗る。

shitamori「こんなに遊んだのは久しぶり。なんか子供の頃に戻ったみたいだった。」

ren「子供の頃ってそんなに楽しいもんだっけ?」

shitamori「子供の頃の方が楽しい思い出多くない?」

ren「あんま覚えてないや。期待しすぎて空回りして楽しいこと全部破壊してたからかなぁw」

shitamori「そっか。でも今日は楽しかった?」

ren「うん。」

shitamori「今日は誘ってくれてありがとう。いつもrenと話せてたまにこうしてrenと遊べれば私はそれで満足かも。」

ren「え?ああ、そう。」

shitamori「ん?どうかした?」

ren「いや、流石に疲れた。」

shitamori「そっか、今日お風呂入ってベッドで寝たら凄い気持ちよさそう。」

ren「うん。」

ren達が家に帰る。


 2年後、renの学校…

測量の講義。

先生「今日は外で実習をしたいと思います。そして先生が選んだ4人でチームを組んでやります。」

ren『うわっ、これ作業遅いと迷惑かかるやつだ。しかも知らん人しかいねぇ…』

先生「7月には自然公園で大規模な実習を行いますからそれまでの実習でしっかりとやり方を覚えましょう。その時に作業が遅かったりすると他のメンバーも遅くなります。例年それで度々喧嘩になったりするので喧嘩にはならないように。」

ren『喧嘩なんて起きんの?』

先生「外に出る前に少し自己紹介の時間をとります。」


 renの班…

cheriちぇりい「cheriっす。えー、趣味はゲームと漫画っす。よろしく。」

youよう「youです。趣味はゲームです。って言っても今はFPSばっかやってます。よろしくお願いしまーす。」

hiroひろ「えー、趣味はゲームと動画配信を見ること、キモいやつは大体友達、hiro、よろしく。」

ren『へぇー、みんな意外とゲームとかするんだ。高校のときは大人びた趣味の野郎ばっかだったからなぁ…別にゲームやってる人を見下してるわけじゃないけど。』

「えー、renです。趣味はゲームと漫画です。よろしくお願いしまーす。」


 全員外に出る。

cheri「先生、喧嘩って殴り合いとかなったことあるってことですか?」

先生「実際あった。暑いし再測になったらめんどくさいからね。」

cheri「あったw 実習に魂かけすぎだろwww」

hiro「あー、俺は敵に回さない方がいい。あんまそん時のこと覚えてないんだけど俺がキレた時気づいたら視界赤くなってたから。」

ren「それ多分お前目ェやられただけ。」

you「ふーん、俺も職人魂見習お。」

cheri「俺ミスるかも知んないからよろしく。」

you「お前ミスったら手ェでるぞ?ゴラァ。」

cheri「先生、他の人とこいつ入れ替えて下さーい。」

先生「だめです。」

cheri「やべぇやつとチームなっちまったなぁ…」

趣味が合うお陰で4人はすぐに仲良くなった。

その後、renは休日にその3人と遊ぶことが多くなった。

SMSでグループを作り、よく4人でオンラインでゲームをしていた。


 SMS…

shitamori「ライブのチケット当たったんだけど今週末一緒に行かない?」

ren「ごめん、忙しい。」

shitamori「オッケー、また今度ね。」

その後…

shitamori「ライブめっちゃ盛り上がってて楽しかったよ。いつか一緒に行こ?」

ren「うん。」


 休日、renの家…

renはグループのトークで例の学校のメンバーとfpsをすることになっていた。

ゲーム中…

物資収拾、移動中…

hiro「俺のよく見てる配信者fpsやってるんだよね。」

you「へぇー、誰見てんの?」

hiro「すね毛ピーク。」

you「ああ、あの人おもろいよね。」

hiro「fpsやってる配信者見てる人いる?」

ren「名前覚えてないけどちょっと見たことある。」

cheri「fpsでぶち切れてキーボード破壊してる動画なら見たことある。」

hiro「ああ、膝で真っ二つにするやつね。あれめっちゃ手際よくてかっけぇwww」

cheri「スタイリッシュぶち切れw」

hiro「fpsの配信者も結構おもろいよ?」

renとcheri「ふーん。」


 you「敵いる敵いる!」

他のメンバー「オッケー。」

you「一人やった。(距離を)詰めるよ。」

「オッケー俺ダウン。」

ren「一旦引いて回復するわ。」

hiro「俺ダウン、二人ロー(もう少しで倒せる)。」

cheri「オッケー行くわ、renカバー頼む。」

ren「あっ、再接(ネット回線が再接続)…」

renが再接続中で変な動きになる。

hiro「なんか逃げてるやついない?」

ren「ごめん助走つけてた。」

hiro「助走www」

you「プロレスラーおらん?w」

cheri「助走オッケー、俺死んだ。」

you「終わったw」

ren「いや、お陰でいい助走つけれたよ?」

renダウン。

「うん、余裕で無理。」

ゲーム終了後…

you「じゃあみんなおつかれ。」

hiro「おつかれー。」

cheri「ばいばーい。」

ren「おつかれー。」


 その後、SMS…

shitamori「今週は空いてる日ある?」

ren「ああ、日曜日なら空いてる。」

shitamori「どっか行こ?」

ren「うん、どこ行く?」

shitamori「じゃあ銀星駅の近くにナエギってカフェがあるんだけどそこ行かない?パンケーキが美味しいらしいよ。」

ren「いいよ。」


 ナエギ…

ren「shitamori、お久しぶり。」

shitamori「うん、久しぶりだね。とりあえず何頼むか決めよっか。」

ren「うん。」

shitamori「私はコーヒーとパンケーキ。」

ren「俺はオレンジジュースとパンケーキ。」

注文する。

shitamori「歌手のeggyって分かる?」

ren「うん、分かるよ。」

shitamori「あの人中学時代に飼ってた猫に宿題のプリント破られて仕返しに猫のチュールを食べたんだって。」

ren「へぇー、すごいね。」

shitamori「renは今までの人生で変わったエピソードないの?」

ren「うーん、ない。」

shitamori「ないの?意外。じゃあ今までで食べたもので一番変わってるものは?」

ren「えー、雑草。」

shitamori「雑草?なんで食べたの?」

ren「学校で雑草抜いてた時に食べたらウケるかなぁって。」

shitamori「そんなことしてたんだ。私はカレー味のアイス食べたことあるよ?」

ren「へぇー、そんなのあるんだ。」

会話している間に注文していたものが届く。

shitamori「美味しそー、厚みがすごいね。」

ren「うん。」

shitamori「おお…ふわふわだし生地にバターが染み込んでて美味しい。」

ren「うん。」

その後も会話しながらパンケーキを食べる…

shitamori「あのさ、今日renの家行っていい?」

ren「うーん…ああ、いいよ。」


 renの家…

ren「コーヒーいる?」

shitamori「さっき飲んだからいいよ。」

ren「そっか。」

shitamori「最近なかなか会えないね。」

ren「うん。」

shitamori「なんか忙しそうだけど学校?」

ren「ああ…いや、友達と遊んでるんだ。」

shitamori「え?そうだったんだ。でも私寂しいよ。もっとrenと会いたい。」

ren「ああ…うん、分かった。」

shitamori「今日はずっと一緒にいて?」

ren「うん。」

shitamori「私、バンド始めるまで結構孤独だったんだ。友達はいたけど表面的な付き合いしかなかった。それからバンド始めて孤独を紛らわすことができた。音楽は好きだからこのまま一生バンドやって生きていけたらなぁなんて思ってた。でもrenと出会ってから孤独感は完全になくなったんだ。初めて素で人と話せて本当に楽しかった。だからもう元の生活には戻れないよ。renなしじゃ生きていけない。」

ren「素ってそんなに大事かな…?」

shitamori「renだって最初は私に甘えてたでしょ?それって素じゃないの?」

ren「ああ、そうだっけ?」

shitamori「え?覚えてないの?あのとき私だけにrenは素顔を見せてくれてるって思って嬉しかったのに。」

ren「冗談だよ。覚えてる。」

shitamori「フフッ…ねえren、たまにはまた一緒に寝よ?」

ren「ああ…別にいいよ。」

一緒にベッドに入る。

shitamori「ren、私を安心させて。ずっと一緒にいるって、私のこと愛してるって思わせて。」

ren「え?ああ…ずっと一緒にいるよ。愛してる。」

shitamori「ねえ、言うだけじゃだめ。」

ren「うーん…具体的にどうすればいい?」

shitamori「私にいっぱい話しかけて?今からずっと。会えないときはSMSで何か送ってよ。」

ren「うん、分かった。でも今日は疲れたからもう寝る。」

renが眠りにつく。

shitamori「どこにも行かないでね、ren…」


 その後、銀星駅でバンドの合同練習…

ren「俺、バンド辞めようかな。」

shitamori「えっ!?何で?」

ren「もう気力がない。他にやりたいこともできたし。」

shitamori「やりたいことって?」

ren「…」

miya「また辞めるの?だったら今度こそ代わりのギター探してきてよ。代わりが見つかるまでは辞めさせない。今いいとこなんだから。」

ren「ああ、うん、分かった。」

neko「そっか。」


 解散後、renの家…

ren『代わりかぁ。どうやって見つけりゃいいんだ…』

shitamoriからSMSがくる。

shitamori「ガイゼリヤに来て。」

ren「分かった。」

ガイゼリヤ…

shitamoriは先にコーヒーを頼んで待っていた。

ren「すみません、ゆで卵とほうじ茶下さい。」

店員「かしこまりました。」

shitamori「バンド本当に辞めちゃうの?」

ren「ああ、うん。」

shitamori「詳しく説明してよ。」

ren「多分言ってもshitamoriは理解してくれない。」

shitamori「とりあえず言ってみてよ。」

ren「やっぱり友達と遊んでたいんだ。」

shitamori「バンドじゃだめなの?」

ren「うん。バンドは自分一人だけはしゃいでるみたいで寂しかったから。」

shitamori「一人じゃないよ。私ちゃんとリアクションしてたよ。」

ren「shitamoriはいいんだけどやっぱmiyaさんと nekoといると気まずい。」

shitamori「じゃあ二人でやろう。足りない楽器はオーディションとかすれば集められるよ。」

注文していたゆで卵とほうじ茶が届く。

ren「もうバンドはいいよ。今は友達と遊びたいんだ。」

shitamori「…じゃあ、私に割いてくれる時間は?」

ren「それもなくなる。」

shitamori「…えっ?」

ren「…shitamoriが最初に家に来たとき俺がなんて言ったか覚えてる?」

shitamori「…」

ren「俺は3〜5人ぐらいの人と遊びたいって言ったんだ。」

shitamori「でもそれは交友関係の話で友達より私の方が大事でしょ?」

ren「俺にとって恋人なんてのは二番目。一番大事なのは友達なんだよ。友達は俺にはもう手に入らないかもしれないと思ってたから二番目を手に入れたまで、確かにあのときは俺が持ってるもので一番大事なのはshitamoriだったが、一番欲しかった友達が手に入れば乗り換えるのは当然。今度はもっと相手の欲望の優先順位を見極めることだな。」

shitamori「…」

renがゆで卵とほうじ茶を片づける。

ren「お金、置いとくよ。お釣りはいらない。」

「ふぅ…なんか疲れた。」

renが店を出る。


 その後…

ren『miyaとnekoは俺の家を知らない。そしてshitamoriの性格からしてもう俺の家には近づけない。バンドのグループから抜けて友達からも削除すればもう俺は俺の代わりを探さなくてよくなる。よし、今日から俺は自由だ!』


 renはそれから友達と仲良く遊びましたとさ。おしまいおしまい。














コメントって書けますよね?よかったらコメントしていってもらえると嬉しいです。変なところがあれば訂正しますのでよろしくお願いします。

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