表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/41

第18話

「ここにいると、たまに懐かしくなるんです」

「懐かしい」

ゆかりと朝顔は、二人で神社の階段に腰掛けていた。

木漏れ日の中、晴れた初秋の昼下がりである。

「そう。来たこともないのに」

「既視感ってやつかな?」

「うーん、少し違うと思います……。イメージの中のノスタルジーっていうか、なんていうか……」

人という種が地球という土壌を覚えているのか。

あるいは、文化的に刷り込まれた共同幻想なのか。

言いようの無い懐かしさ。

存在しない思い出への郷愁。

「朝顔ちゃんは、ここで育ったんですよね」

「そうだよ」

「縁も?」

「縁くんは、私が4歳くらいの頃に村に来たの」

朝顔は、懐かしそうに顔を綻ばせる。

それは本物の郷愁だろう。

「縁のこと、どう思ってるんですか?」

「ど、どうとは」

「気になります。妹として」

ゆかりがじっと目と目を合わせる。

「う―……。そりゃ憎からずは思ってるけど」

「けど?」

「向こうが気を遣ってるっていうか。そういう距離感はさ」

「でも、10年以上の付き合いなんでしょう?」

「まあ、そうだね。人生の三分の二くらいは一緒に居るからねぇ……」 

「気を遣ってるって、昔何かあったとか?」

「昔っていうか、これからっていうか……。明石さんの事があるから」

「明石さんって?」

「私の結婚相手だよ」

「……え」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ