第13話
「縁くん、それまさかかけないよね」
今日のメニューは唐揚げと白身魚のフライの揚げ物定食だった。
白身魚のフライにソースをかける。
当然の行為である。
添えてあるキャベツにも、ドレッシング代わりにソースをかける。
これはまあ、少しものぐさだが人によるだろう。
そのままソースでぐるっと皿を一周しようとした時、朝顔にガッと腕を掴まれた。
本来なら僕がこの家の料理の当番なのだが、今日は朝顔が作るというのでお言葉に甘えていた。
そんな中での一幕である。
「唐揚げにソースかけるなんて味付けした人への侮辱だよ。尊厳の破壊だよ」
「いや、そんな深い意味は……」
ゆかりは、あせあせしながら様子を見守っていた。
「別に今までだって普通にかけたりかけなかったりしてたけど」
「今日は別なの。特別なの」
「特別」
別に、唐揚げにもフライにも変わった様子はない。
朝顔の料理にしては珍しく2度揚げしていないのか少し油がベチャついていたが、気になるというほどでもなかった。
「美味しいでしょ」
「……美味しいけど」
ゆかりは何故かテレテレとしていた。
「……あー」
なるほど。
台所が何か騒がしいと思ったら。
「意外とにぶちんだなぁ」
「ゆかりが作ってくれたんだ」
……『ちょっとベチャついてる』とか言わないで良かった。
「ほとんど朝顔ちゃんに手伝って貰ったんですけど、この前のお礼といいますか……」
珍しくモジモジとしている。
照れくさいのかもしれない。
「美味しいよ」
「……お粗末さまです」




