空から降ってきた何か
【第1章の1】享年24才、ただしその自覚無し
「つ…疲れたよ…」
別に今流行りの社畜ではないが、部署の移動で慣れない仕事に翻弄されてはや一週間。
それなりに仕事に慣れ始めた頃が一番疲れると言うものだ。
新しい取引先に対する気苦労とかが重なり、コンビニ袋には独身女性には少々多い量の缶ビールとおつまみが歩く度にカサカサと音をたてながら夕暮れの帰路についていた。
彼女の名前は(本田ユカ)。
学生時代は、特にいじめの経験も無ければモテモテだった訳でもない。
合コンに例えると一番最初に声を掛けられなくて3~4番目くらいで世間話される感じだ。
親友はモテていたので一部の男子からモブとアダ名されていたが、そのアダ名はユカの耳には届いていない。
専門学校を卒業後はビジネス向けパソコンの卸売り企業に就職し現在に到ると言う訳である。
家賃7万円の必要最低限のセキュリティである現在独り暮らしをしている川辺マンションまで500メートル辺りで「ヒュ~…」と笛の音色のような音が聞こえて来た。
「ロケット花火?」
周辺は下町なせいか子供も多く、チョイ悪なお子様が花火や爆竹て遊ぶ様子をよく見かけるからだ。
その甲高い笛の音色は次第に音量が大きくなるにつれてユカは嫌な予感が脳裏をよぎった。
自分に向かってる!!
そう思ったユカはとっさにしゃがんで防御体制になった。
だがユカに向かって降ってきた物体はユカの後頭部にクリーンヒット。
パーン!!!べちゃっ!!!
もし近所のチョイ悪お子様が今の光景をみたら一生のトラウマ物の惨劇が繰り広げられている事だろう。
だが幸いな事にユカ以外は降ってきた物体のみで周囲には誰も居なかった。
そして、ユカの首から上が破裂しユカの前には血糊と脳が広がっていた。
本田ユカ。享年24歳独身彼氏無し。
短い人生の幕を閉じたのであった。
そんな惨状の現場に似つかわしくない動物が血まみれで踊っている。
「やっと到着したね。そして何と!第一村人発見!
ここは原住民でいう所の地球で日本国で間違いないね?」
動物は隣にしゃがんでいるユカに気楽に話しかけているもののユカは無反応だ。
いわゆる[返事がない、ただのしかばねのようだ]なので当然である。
「おや?私が話しているのに失礼ね!もしかして私の日本語間違えているか?
ハロー、ニーハオ、アニョハセヨ、ボンジュール、アッサラーム、オブリガード?」
無反応である。
「むむ、これはもしかして生命活動停止?原住民の耐久性低いね。」
普通、約50センチくらいの物体が音速近いスピードで頭部を直撃したら頭部が破壊どころか周囲数キロは破壊されているのだが、被害はユカの頭部で済んでいるのは幸いだ。
「仕方ないね、最後の資源を使って活動再開させるね。」
動物は背中のリュックらしきポケットから金色の玉を取り出すとユカの頭部に近付けたのであった。