十話 鴉人間VS武器少女《ウェポンガール》
「これは…何!?」
家に帰ってきた、二人はすぐに帰ってしまった。
そのあと、階段に血がベットリついていた、二階は私が小さい頃からずっと使われてなかったし、入っちゃ駄目と言われてきた。
初めて、階段を踏んだ。
無機質な廊下、不自然に真新しいドア、ボロボロに破られた突き当たりのドア。
そこに居たのは、昔突然居なくなった、お兄ちゃん。
「ふん… これは、魔力喰い、だね」
「魔力喰い…?」
縫血さんがいうには、人に寄生するモンスターらしい。
「勘付かれた、多分、学園の誰かだ」
そういうと縫血さんは、心臓を取り出した。
「コレを使うと良い」
心臓の管が、私の中に入ってくる、やめて、やめて。
「やめて!!!!!?!?。?。。。。。。。。、。。。。?。」
中央騎士養成学園、校内。
「うああああああ!!」
「やめろ! やめてくれ!」
そこを埋め尽くすのは、血肉と、悲鳴。
いわゆる阿鼻叫喚である。
その中心に居たのは、辛うじて面影を残した怪物。
「………はぁ」
そう、縫血に心臓を埋め込まれたソイルその人であった。
顎はクワガタのようにグロテスクに開き。両腕からは銃やら刃やらが飛び出していた。
怯え、疼くまる生徒への凶弾を、火球が包み込んだ。
「ソイル! お前…!?」
そこに居たのは、レヴィオスと、抱えられているフェーズ。
ソイルは銃を引っ込め、刃を出すと、二人へ切り掛かってきた。
それを躱しながら説得を試みる。
「ソイル! なにやってんだよ!?」
「なっちゃったからには仕方ないじゃ無いですかなんですか何すればよかったですか」
言葉と刃を畳み掛け、それがレヴィオスの頬と脚を掠めた。
「じゃあ… 残念ですけど」
ソイルの全身から銃身が飛び出、辺り一帯が孔の群れと化した。
それを防いだ黒い翼が、二人を鴉人間『ゲノム』へと変質させる。
ゲノムがソイルに飛びかかり、そのまま窓を突き破り、落下。
中庭に降り立った二つの怪物、片方は鉛弾を撒き、もう片方はそれを防ぐ。
鴉人間は武器少女の右腕を掴み、もう片腕の羽刃で切り裂く。
その切り離した腕から生えた銃を構え、胸元に銃弾を数発撃ち込む
しかしソイルは怯むそぶりも見せず、左腕の銃の先端をゲノムの脳天に定める。
どうやら弾は自身の肉体由来で、本人に効果は無いらしい。
銃弾の発射と同時、ゲノムは超速で重心を下げ、蹴りでソイルの両脚を切り裂いた。
足を失ったソイルは俯せに倒れるが、断面から複数の銃身が飛び出、再び立ち上がる。
「あ」
「…ッ! ソイル…」
既にソイルの自我は見えない、辛うじて残っていた面影も、徐々に武器と化し、もう残っていない。
目玉から小銃の銃口が飛びだし、カタツムリの触覚のように蠢く。
更に頭部を突き破り、剣や銃も蠢く。
それを素早く切り落とし、左胸を掴む。
そして腕を徐々に減り込ませていく。
「!? レヴィオス! 口の中」
フェーズの叫びで、目線を上にやる、十字に裂かれ、大きく開かれた口の奥からは、黒い棒がてらてらと光っていた。
「体内にも銃を生やせるのか!?」
すぐさま腕を突き出し、心臓を掴む。
それと同時に、口の銃から発射された銃弾が、ゲノムの脳天を貫いた。
だがその弾は、レヴィオス本体にたどり着く前に、その羽毛で勢いを殺されていた。
貫通した腕を引き抜くと、ソイルの身体が後ろに倒れ、その身体にゲノムの頭部にあったと弾が落とされる。
心臓を口に放り込み、ソイルの亡骸を抱えた。
「ソイル… もっと早く…気づいていれば…」
「…レヴィ、多分、心臓を埋め込まれた時点でソイルの死は確定してたと思うッス」
「…なんでそう思う?」
「その方が、楽じゃないッスか」
続く言葉は無かった。
「武器少女はよくやった、あんなモノを発現させるとはな…」
それを遠くから見ていた焼灼が、そう呟いて顎を撫で、そのたびに灰が零れ落ちる。
「ヤァ〜! すごいねぇっ」
生徒のパーツを縫い付けながら現れた縫血を、ゲノムの鋭い真紅の瞳が睨み抜ける。
それを腹立たしいほど爽やかな微笑で返し、ゲノムに飛びかかる。
「アッハァ!!」
2mを軽く越えるほど伸びた腕が、ゲノムの顔を捉えた。
その威力は凄まじく、ゲノムは壁に叩きつけられ、校舎内に放り込まれる。
「さあ、見せてよ、あの力、使えるでしょ?」
その言葉を微塵も聞かず、全身の羽を逆立たせて縫血に飛びかかる。
「テメエは! 殺す! 絶対に!!」
十話です。
とうとう2000文字を切りました()
バトルは短くなりがちですね…
次回は3/12です。