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3・チートの見本市

 

 ただ、突っ立っている。

 三人がしていたのは、それだけだった。

 しかし見た瞬間、オレは感じた。

 こいつら、ヤバい。

 邪悪さがあるとか、敵意があるとか、そういう訳じゃない。

 だが、なんていうか、雰囲気が違う。存在感が違う。

 例えていうなら、厳重に保管された大量の火薬みたいなものだ。安全と分かっていても、隣にあるだけで緊張せずにはいられない。

 これは、感じたというよりも、本能が警告を発した、というべきなのかもしれない。

 四天王を前にした時も、魔王と対面した時も、こんなのはなかった。

 オレと同じレベルの、ひょっとしたらそれ以上の強者。別次元の生物、いや、『存在』がそこにはいた。

 間違いない。こいつらもチートだ。

 久しぶりの緊張感に少々戸惑いつつ、彼らの元に向かった。目の前にした所で気がついた。

 こいつらも、同じ事を感じている。

 何気ない素振りでいるが、三竦みのようにお互いを警戒しあっているのが伝わってきた。


「皆さま、お待たせいたしました」


 そんな空気など気づいてすらいないかのような笑顔で、グラスがいった。

 まあ、彼女が集めたメンバーなら、敵って事はないだろう。オレは多少、緊張を緩めた。


「それではこれより、ご説明させていただきます」


「すみません、その前にひとついいですか?」


 三人の内の一人、小柄な男が小さく手を上げた。

 緩やかにカールした栗毛のベビーフェイスに、銀糸の刺繍が入った濃紺のローブを羽織った、魔術士風の男だった。


「あ、はい。どうぞ」


「最初に、お互いを紹介していただけませんか? 知らない同士だと、なんか緊張しちゃって」


 はにかんだ表情が、ただでさえ幼く見える男をさらに幼く見せていた。

 ただ、見た目通りの実力かといわれると、そんな事は絶対にない。


「そ、そうですね。まずはご紹介ですよね。すみません、気がつかなくて」


 グラスが何度も頭を下げた。


「そんなに謝らなくても大丈夫ですよ」


「は、はい、すみません。それでは……」


 グラスが、それぞれを紹介した。

 要約すると、こんな感じだ。



 異世界名:ルキト

 前世名:神咲(かんざき)流樹人(るきと)


 十九才の元ヒキニート。

 神様の手違いでトラックにはねられ死亡してしまったため、お詫びとして前世の記憶を持ったまま伝説の勇者と大賢者の息子として異世界に転生する。

 勇者の力、技、スピード、体力、持久力、防御力と、大賢者の魔力、魔法、魔術を持ち、両親から全てのスキルを引き継いでいる。

 目立ちたくなかったので魔法学校では実力を隠すよう気をつけていたのだが、入学式中に学校を襲った古代龍(エンシェント・ドラゴン)をうっかり究極剣と究極魔法の複合奥義で一刀両断して式に参加していた姫様を助けてしまったため、国王から魔王討伐を命じられる。

 そして旅に出て可愛い仲間や美人の仲間や巨乳の仲間や貧乳の仲間やケモミミの仲間やツンデレの仲間やヤンデレの仲間やすごい仲間に誉められながら魔王を倒した。



 異世界名:ルキフル

 前世名:ルシフェル


 元、神話の魔神王。

 あまりに強すぎたため挑んでくる勇者すらいなくなり、闘いの神となった。

 しかし、崇められているだけの生活が窮屈で退屈だったため、人間の村人として異世界に転生する。

 真の力を隠し、畑でも耕しながらスローライフを満喫しようと思っていた矢先、村に現れた四天王をうっかり殴り殺した事が魔王軍に知られてしまったので、魔王を倒す旅に出る。

 そして可愛い仲間や美人の仲間や巨乳の仲間や貧乳の以下略。



 異世界名:レイ

 前世名:龍宮寺零


 元、十七才の高校生でボッチのゲームオタク。

 道で拾った携帯型ゲームのスイッチを入れた瞬間、画面に吸いこまれ、気がつくと玉座の間にいた。

 そこは人間と魔王が争う異世界で、レイは魔王を倒すため国王に召喚された選ばれし者のひとりだった。

 しかし、なぜかスキルが何もなかったためすぐに勇者のパーティーから追放されるが、たまたま助けた少女が実は全知全能の女神で、お礼にたまたま隠されていたチート能力を目覚めさせてもらいすぐにLv9999の大魔術士になる。

 そして旅に出て可愛い仲間や美人の仲間や巨乳の以下略。



 異世界名:ノエル・ハミット・ロードウィル

 前世名:伊藤新太郎


 元、ブラック企業の冴えない中年サラリーマン。

 ある日酔っぱらって階段から落ちて死んでしまうが、気がつくと前世の記憶を持ったまま、王家の九男に生まれ変わっていた。

 ヒマつぶしに世界中の剣術や体術や魔法や魔術やスキルを習得し、ブラックドラゴンをペットにしつつ悠々自適の王族ライフを楽しんでいたのだが、兄達に流星が落ちて死んでしまったため、国を継がなくてはならなくなった。

 しかし面倒なので、妹に王位を譲ろうと本気を出さないようにしていたのだがなんか旅に出る事になる。

 そして以下略。



 以上が、オレを含めた四人の経歴だった。で、一通り聞いた所で思った。

 何このメンツ。

 これは、あれかい?

 今回倒すのは、神の軍勢かなんかなの?


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