1・気がつけば例の部屋
「はああああああぁぁぁぁぁ~……」
長く、深く、そして重いため息を俺はついた。
聖剣を護っていた『世界に巻きつく古代龍』より長く、地下迷宮の底にあった魔王城に通じる『深淵』よりも深く、『賢者の魔石』を守っていたギガントゴーレムロードより重いめ息を、だ。
そりゃあそうだろう。
だってさ、やっと魔王を倒して英雄になって、可愛いパーティーメンバー達とキャッキャウフフの異世界ライフを満喫しようとしてた矢先に、これだよ?
しかも、祝賀パレードの最中に意識を失って、気がつけばこの部屋にいたんだよ?
もうね、見た瞬間に分かったね。
だって、似たような場所に来たことあるから。
無駄に広くて、ちょっとした宮殿みたいな内装の生活感がない部屋。
しゃらくさい、小洒落た調度品。
なにで描かれてるのか未だに分からない魔方陣。
前回は間違いで死んじゃった、だったけど、今回はこれ、召喚だよな。
とすると次に出てくるのが誰かなんて、考えるまでもないって話だ。
でまあ、お約束のように可愛くてスタイルのいい、露出度高めの衣装を着た、いかにもな女神様がご登場するわけさ。
バックには、キラッキラのエフェクト付きでさ、画面全体に紗なんかかけてあったりして。
で、お綺麗な顔をこっちに向けて、いうわけよ。
女神ックスマイル全開で、クソラノベの始まりを告げるみたいな、あのセリフを。
「はじめまして、勇者様。異世界ナーロッパへようこそ(はぁと」
いや、(はぁと、じゃねぇよ。