被告人、前へ、2
どうしてだろう。それぞれに意思を持ち、個々の自由があるはずなのに、どこかで互いに制御を受ける。僕が渇望してやまない「同じ生き物」いわゆる「仲間」同士が争い、「捕食する側」「される側」に分かれる。一定の区間内で増殖しすぎたねずみの共食い。
共食い。本来食の対象ではないはずの同属に手を出す、その異常。仲間ではないのか。絆、ではないのか。種を守るために個を捨てるのか。そうして魂に最も近いはずの己を裏切るのか。
どうしてだろう。それぞれに意思を持ち、個々の自由があるはずなのに、どこかで互いに制御を受ける。
この海は安全か。それを調べるために、群れを成したペンギンは、試しに仲間の一匹を海につき落としてみる。特に問題がなければ皆が皆、次々とその海に入っていくのだ。つき落とされた一匹は、無事であってもその集団の中で生き続ける。そうして
あの最も傲慢な生き物もまた、同じなのだろう。
己の安全のために個人を排他。そうでなくても多数だけが光を享受する。正しいことなど存在しないにも関わらず、けれども多数が高慢を勝ち得る。全く後ろめたさを感じない、どこにも疑いをかけない、思考の「し」の字にも触れない能無しが、高らかに笑う。その耳障りな音に、騒音に、裁きは下されない。資本もまた、光を好む。その場所に、影の中から届く場所などに、光はとどまらない。
どうしてだろう。体の色が違うだけで、骨格が違うだけで、一部何かが足りないだけで「特別」扱いするのに、そんな少数がうらやむ多数は共食いを始める。それは一体、どんな感覚なのだろう。




