表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
被告人、前へ  作者: 速水詩穂
10/14

被告人、前へ、2

 



 どうしてだろう。それぞれに意思を持ち、個々の自由があるはずなのに、どこかで互いに制御を受ける。僕が渇望してやまない「同じ生き物」いわゆる「仲間」同士が争い、「捕食する側」「される側」に分かれる。一定の区間内で増殖しすぎたねずみの共食い。

 共食い。本来食の対象ではないはずの同属に手を出す、その異常。仲間ではないのか。絆、ではないのか。種を守るために個を捨てるのか。そうして魂に最も近いはずの己を裏切るのか。

 どうしてだろう。それぞれに意思を持ち、個々の自由があるはずなのに、どこかで互いに制御を受ける。

 この海は安全か。それを調べるために、群れを成したペンギンは、試しに仲間の一匹を海につき落としてみる。特に問題がなければ皆が皆、次々とその海に入っていくのだ。つき落とされた一匹は、無事であってもその集団の中で生き続ける。そうして


 あの最も傲慢な生き物もまた、同じなのだろう。

 己の安全のために個人を排他。そうでなくても多数だけが光を享受する。正しいことなど存在しないにも関わらず、けれども多数が高慢を勝ち得る。全く後ろめたさを感じない、どこにも疑いをかけない、思考の「し」の字にも触れない能無しが、高らかに笑う。その耳障りな音に、騒音に、裁きは下されない。資本もまた、光を好む。その場所に、影の中から届く場所などに、光はとどまらない。

 どうしてだろう。体の色が違うだけで、骨格が違うだけで、一部何かが足りないだけで「特別」扱いするのに、そんな少数がうらやむ多数は共食いを始める。それは一体、どんな感覚なのだろう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ