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後宮恋物語  作者: あいまいみー
第三章 寵妃
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二人の友人

就活でたまったストレスをここでぶつけてます。


あれ?確かこっちだったよな……?


きょろきょろしながら、商人のいる部屋を探していると、部下を怒鳴り付けている武官らしき人物を見つけた。


部下をぶん殴り、腹に蹴りまでいれている。


何をやらかしたのか知らないが死なない程度にしておけよ……。


しばらくすると、部下は解放されたようで、俺も道に迷っていたため、部屋を尋ねることにした。



「あのーすみません?今日商人が来ていると思うのですけど、どちらにいるか分かりますか?」


俺を見た武官は頬を染めながらニヘラと気持ちの悪い笑みを浮かべた。


「あ、ああ。そこの角を曲がった小部屋にいるよ。」


「ありがとうございます。じゃ。」


嫌な予感がしたのでさっさとお別れしようと思い、そいつの横を通りすぎようとすると、ガシッと肩を掴まれた。


「どこの部署で働いている宦官だ?別嬪じゃないか。今日の夜、酒を持って俺の部屋へ来い。」


鼻息荒くそう言われ、俺の額に青筋がたった。



「あー悪いけど、俺、宦官じゃないし、そっちの趣味もねーから。」


なるべく穏便に済ませる為に、素で話して諦めてもらおうと思ったが……。



「宦官じゃない!?まさか、女なのか!?こんなに綺麗な男が陛下以外にいるわけない!男と偽って王宮で働いているんだな!」


「いや、違うし……。」



どっちかって言うとその反対だし……。



「ふっ俺の目はごまかせねーぞ。丁度今、暇になったからな。一発しに行くか。」


「は!?おい、ふざけんなっ……てやめろよ!!」



俺の手を思いっきり引っ張って行く武官に抗議するも、全く聞き入れられず、「拒否したらばらすからな」とまで言われた。



いや、俺、マジで男なんだけど……?


ふざけんなよ?いい加減キレるぞ?



手を振り払おうにも、相手は武官だ。筋肉馬鹿に俺の細腕が敵うわけもない。



嘘だろマジかよ!!こんなやつに俺は犯されるのかよ!!!



泣きそうになりながら何とか抵抗しようとしていると、






「何してる。」





角を曲がった所で、呆れた顔の王様が立っていた。



「へ、陛下!!!」


「お、おーさま~!!!」



俺の顔を見た王様は「またか」と言って、ため息を吐いた。



「この者をどこにやる気だ。」


厳しく睨まれた武官は目を泳がせながら「えっと……」と返答を考えていた。



「ぐ、具合が悪いらしく……」


「具合なんかわるくねーよ!!ヤられそうになってんだよ!!」



俺がそう叫ぶと、武官は俺の口を急いで塞いだ。



「いや、あの……陛下……これは……。」


「仕事中に情欲を我慢できず抜け出そうとしていたのか。厳罰ものだぞ。」



王様に言われた武官は俺を話すとその場で土下座をした。


「も、申し訳ありません!!!」


「お前には婚姻前の恋人と幼い妹がいたな。」


「ヒッ!!!!!ど、どうか!!どうか御許しください!!!」



冷や汗をダラダラとかく武官に王様はまたため息を吐き、「もう、いい行け」と言った。



「但し、この者の事は他言しないと誓え。」


「ぎょ、御意に!!!」



走って逃げていった武官にあっかんべーと下を出していると、ガシッと凄い力で頭を掴まれた。



「それで?お前はここで何している。」



明らかに怒っているのに、笑っているから尚恐い。



「あ、えと、道に迷って……。」


嘘はついていない。王宮に来て道には迷っていたのだから。



「そんなことは聞いていない。何故王宮にいるのかと聞いている。」


更に頭を掴む手に力を入れた遊瑧に「痛い痛い!!」と灑崋は叫んだ。


「レチナの商人に会いたかったんだよ!!」


仕方なく本来の目的を言うと、「そんなことだろうと思った」と言って頭を抱えた王様。



「香辛料を買いたいんだよ。会わせてくれよ。」


「それは別にいいが、王宮内で面倒を起こすな。」


「悪かったよ。俺が美人でモテるのは、もう、しょーがねーだろ。」


「`男´にモテて羨ましいよ。`男´にな。」


「うるせーな!!男男言うな!!鳥肌立つわ!!」


気持ちが悪く、両腕を擦っていると、「何してる。早く来い。」と王様はさっさと行ってしまった。







――――――――――――――――――――

――――――――――――――



そういえば、昨日は鈴妃を寵妃だとか明らかな独占欲を目の前で見せられたが、あの後どうなったんだ?



因みに、昨日のクソガキを押し付けて来た件に関しては先程の武官から救出してもらった件でチャラにしてやった。



「今日、玉蘭に会ったか。」


唐突に言われた質問に驚き、玉蘭?と思ったが鈴妃のことだとすぐに思い出した。


「ああ。会ったけど?」


「様子はどうだった。」


声色からはあまりはっきりとは分からなかったが、何かが二人の間にあったのだろう。


じゃなかったら、俺にそんなこと聞くわけないした。


「あー、何か調子悪そうだったかな……。」


「そうか……。」



物憂いげに俯いた王様に嘘でも元気だと言うべきだったかと後悔しつつも、そんな嘘を言って、実際に会いに行かれたりしたら、誰も得しないからな。



「何かあったのか?」


「別に……。」



いや!!明らかに何かあっただろ!!!


まさか、青蘭が言っていた事が起こり始めているのか!!??



「ただ……」



何があったか言わないと思っていたが、言ってくれるのか。



「口付けをして……」


「………………。」



あ、惚気話か?



それで二人とも照れ臭くて顔を合わせづらいってか?



「なんだよ。口付けぐらいで……。」


「泣かれたんだ。」


「………………は……?」



悲しげに眉を寄せる王様。



「え、何……。そんな息出来なくなるほど激しいのしたわけ?」


「そんなんじゃない。……あれは……拒絶だ。」



拒絶……か……。



何だかんだ言ったって王様は容姿は極上にいいわけだし、寵愛している鈴妃には今は凄く優しい。彼女の方も王様を好きになっているのでは?と、勝手に解釈していたが、そうでは無かったのか。



そういえば、王様は知っているのか?


鈴妃に恋人がいたこと……。



「泣かせたいわけじゃなかった。俺はどうやっても、彼女を傷つけることしか出来ない……。」


「…………。」


「元々、俺を想ってなどいないと分かっていた。彼女は他に愛する者がいるのだからな。」


「っ!!

王様、鈴妃に恋人がいたこと知ってるのか!?」




俺が驚いた顔でそう聞くと、目を細めて「ああ。」と言った。


「紹家の一兵士だ。」


「はぁ~、身分差の恋だったわけか……。」


でも、そうか。


そりぁ、あの鬼婆は大騒ぎしそうだ。


自分の目をかけて育てた娘が使用人なんかに誑かせたと思ったに違いない。





「それを分かっていて後宮にあげたんだ。」



恋人がいると分かっていても後宮に召した。




王様は父帝の指示でと言っていたが、心の何処かでその男と鈴妃を別れさせたいと思っていたんじゃないだろうか。



次期皇帝に進御するよう命じられ拒否できるわけがない。


(それにあの鬼婆ならそんな一兵よりも自分の甥っ子を選ぶに決まっている。)



最低なやり方をしたなと罵ってやりたいが、恋とか愛とかそんなものを俺が語るには、物事を知らなすぎている。


第一そういう感情を持ったことの無い奴に諭されても何も響かないだろう。




「俺は……あんたのやり方を正しかったとは言わないけど、あんたと鈴妃が結ばれればいいとは思ってる。」


そう言うと、王様は顔を上げて少し笑った。



「慰めか……?」


「そうじゃなくて、俺は鈴妃の恋人とか知らないから、知り合いのあんたを応援してるってこと。」



嘘ではない。


誰も幸せになれない結末じゃなくて、その一兵には悪いが、王様と鈴妃に幸せになって欲しい。


俺の友人二人が想い合える日がくればいいと、思っている。


「俺にとってあんたは命の恩人だからな。」


家を助けてくれた事や、俺が後宮にいても黙っていてくれている。


根が優しい奴だってことはちゃんと分かっている。


「別に、ただ退屈凌ぎに生かしているだけだ。」


「冗談よせよ。飽きたからって捨てんじゃねーぞ。」



こうして話しているとよく分かる。


王様は鈴妃の事になると弱くなる。


惚れた弱味だとかそういうのではなく、何かがきっかけで壊れてしまうのではと怯えているようだった。


ただ大切に、慎重に鈴妃に触れる。


鈴妃にもその気持ちが伝わればいいと思うけど、自分の事になると彼女は疎くなるからな~。


王様から好意を寄せられているっているっていう自覚は未だに無いようだし。







◇◇◇◇




このときの俺はこの二人なら大丈夫だと思っていた。


今でも思ってる。


何が悪かったのか、どこで間違えたのか……。




誰もが誰かをただ純粋に愛していただけだったんだ。



誰もあんな結末を望んだわけではなかった。



それでも彼女を殺したのは、紛れもなくその純粋な愛情であった。





次回もお願いします。

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