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後宮恋物語  作者: あいまいみー
第二章 後宮での日々
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涼の宴 後編

続きです!


憂鬱だ…。


つまらなそうに遊瑧は目の前で披露される妃たちの舞を観ていた。


あまりのつまらなさに、灑崋をからかいに行こうかと思ったのだが、どうにも見当たらない。



あいつ、飽きたから部屋に帰ったな…。



それにしても、自分の妃だとはいえ、呆れて溜め息をつきたい気分になったぞ…。



今日の彼女たちは何故だか下着も着けず、肌の透けた着物を着ている。


はしたないという言葉を知らないのだろうか。


まあ、官僚らは嬉しそうにそれを観ているから、いいか。



遊瑧は飽きたので拐功に適当なことを言い、その場を抜け、一人になれる場所を探した。





回廊を歩きながら空を見上げると満天の星空が広がっていた。


こんなことを言うのは失礼だが、妃たちの舞よりもこの星々の方がよっぽど美しいな。





そう思いながら手摺に腰かけると、長く続く回廊の先からトタトタと何かがこちらに向けて走ってくる音がした。



護身用に持っていた懐の短剣を取り出し、暗い回廊の先をずっと睨んでいると…。




「あ、へ…?遊瑧さま…。」



息をきらした玉蘭が二胡を抱えて遊瑧を驚いたように見ていた。



遊瑧も足音の正体がまさかの人物で思考が停止してしまい、何も言えず固まってしまった。


加えて、いつもの質素な出で立ちでなく、金魚のような美しい着物姿に艶やかな髪を高価な簪で結い上げた彼女に見惚れてしまった。



自分を見て固まっている遊瑧にどうすればいいのか分からない玉蘭はあたふたしながらも、取り敢えずは拝礼しなければとその場に膝をついた。



「しゅ、主上に拝礼いたします。」


「…………。」



玉蘭は怒られるのではないかと内心ビクビクしていたが、予想は大きく裏切られる事になった。



遊瑧は膝をついて拝礼する玉蘭の腕を掴むと、その場に立たせた。



玉蘭は驚いて、思わず遊瑧を見上げたがその距離の近さに咄嗟に目を逸らした。


「それ……どうして持ってきたんだ。」


遊瑧の視線の先にある二胡を見て、玉蘭は答えた。



「宴で……弾こうと思って……。」


「………………。」


目を逸らし続ける玉蘭にイライラしながらも、彼女の二胡を他の者に聴かせたくないという気持ちの遊瑧は床に置かれた二胡を持ち、玉蘭の手を引くと回廊の手摺に座らせた。



何事か分からない玉蘭は二胡を渡され、目を丸くしていた。



「宴には行くな……。」



やはり遊瑧は怒っているのだと思った玉蘭は二胡を握り絞めた。


「あの……わたくし……」


邪魔にならないようにするからと言おうとしたその時、遊瑧からの思いがけない言葉に玉蘭はまた驚かされた。



「ここで弾け。」



え?と思い玉蘭が遊瑧を見上げると遊瑧も真っ直ぐ玉蘭を見ており、二人は見つめあった。



「聴いてくださるのですか……?」



玉蘭がそう問うと、遊瑧は星空を見上げた。



「今夜は星が綺麗だからな……。まだ、星を見ていたい気分なんだ。」



そう言った遊瑧に玉蘭は微笑んだ。



ゆっくりと弦を引き、弾き始めると遊瑧は星空から玉蘭へと視線を移した。



美しく切ない二胡の音が二人の世界を包んだ。


優しい音色に政務に疲労した遊瑧の心も癒されて行くようだった。




目を閉じ、音を奏でる彼女を見つめ、遊瑧は彼女と出会った時から今までの事を思い出していた。



最初からこの想いの正体には気づいていた。


他の女に興味を持てないのも、何をしていても満たされない心も全てはここにあったのだ。


姿を捉えれば激しくなる動悸、逢えなければ目が自然と彼女の姿を捜している……。



幼い頃から抱えたこの感情を言葉にしてしまえば




ーー愛しい……ーーーー





熱の籠った瞳で玉蘭を見つめる遊瑧はそう心で思った。












ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー


二胡を弾き終わった玉蘭は遊瑧が自分の事をずっと見ていた事に気づき、急に恥ずかしくなった。



上手い下手を関係なく自分が思うままに弾いてしまったのを少し悔いた。



遊瑧は皇帝なのだ。



そんな方の前で自由に演奏するなんて、不敬だった。



何も言わずじっと見つめられ、居たたまれなく変に汗が出てきた。



何か言っても良いのだろうか……。



玉蘭が冷汗をかきながら考えていると、



「……良い音色にだった。」



優しい声と微笑みを遊瑧は浮かべた。



あまり誉められる事はないので、嬉しく、玉蘭も頬を赤くし遊瑧に微笑み返した。



「ありがとうございます……。」




その笑みにまた激しくなる動悸を感じながら、遊瑧は彼女から視線を外さなかった。



それは遊瑧自身の想いからもう目を背けないことの表れである。



自分はこの女を心の底から愛しているーー





何故かと問われれば分からない。


絶世の美女であるわけでもなければ、群を抜いた才があるわけでもない。



でも他のどんな女よりも彼女が欲しいと思った。



理屈で考えられない感情なのだ。




星明かりだけの回廊で、ただ静かな時間が流れていた。







やっと恋愛っぽくなってきた汗

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