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後宮恋物語  作者: あいまいみー
第二章 後宮での日々
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陽青蘭という男 前編

お久しぶりです!なかなか話が進まなく申し訳ないです。今回は前中後編に分けます!


「嶺妃さま、ご実家から文が届いております。」


朝起きて顔を洗っていると俺付きの侍女が部屋の前で待っていた。



「ええ、ありがとう。」


出来るだけおしとやかに応え、それを預かるとすぐに部屋に戻った。





灑崋へ


後宮の暮らしに大分慣れた頃だと思います。

私たちは今胡疚にいます。灑崋のお陰で夫婦水入らずの旅行です。

嶺崋は今だに見つかっておりませんが、美味しいキュウイは見つかったので送ります。あなたのことだから後宮でも沢山お友達がいるのでしょう。沢山あるのでみんなで食べてくださいね。

いつもあなたの健康を祈っています。

それではまた。

父母より。





何をやってんだあの能天気夫婦…。


怒りのあまりグシャリと握ってしまい、しわくちゃになった紙をビリビリに破いて屑籠に捨てた。




「旅行って…俺が嫁いだときの王宮からの金だろ…。ったく…キュウイ見つけてねーで、あんたらの馬鹿娘を見つけろ!!」



俺はいつまでこんなとこで禁欲生活続ければいいんだよ!!!



「嶺妃さま、こちらにお手紙と共に送られたキュウイを置いておきますね。」



さっきの侍女の声が扉の向こうからして、俺の独り言が聞かれてないか心配したが、大丈夫そうだった。



「あ、台所に持っていってくれる?氷で冷やしておいて。」


「畏まりました。」



着物を取り出し、腕を通すと少し袖が短くなったように感じた。


まぁ、成長期でガツガツ食ってるわけだし、でかくなるのは当たり前か…。



俺付きの侍女は後宮に来てから雇ったから俺が男だということは知らない。



だから、着替えや化粧は自分でいつもしている。


小遣い稼ぎで遊郭で働いていた頃の技術がこんなところで発揮されるとは思わなかった。




支度を整えると視界の隅にさっきの屑籠が入った。




はぁ~…、どうしようも無くても親は親だよな…。



屑籠からビリビリに破いた文を取り出し、棚にしまった。





「嶺妃さま、ご機嫌よう。」




池の近くの回廊を歩いていると、宦官の男たちに声をかけられた。


「こんにちは。お勤めご苦労様でございます。」



男たちは俺の言葉に頬を染め、「本日もお美しい」とかなんとか俺を口々に誉め出した。



うるせーな。男が俺に欲情してんじゃねーよ。


惚けてねーで、仕事しろ。



適当に笑って通りすぎようとすると、その前を更に塞がれた。


今度は誰だと睨みながら見上げれば、上等な着物の綺麗な男が俺をニコニコと見下ろしていた。



「何かご用ですか?青蘭さま。」



この男は楊青蘭と言い、筆頭の宦官だ。



「ご機嫌よう。寵妃さま。本日も大変お美しい。」


「ありがとう。青蘭さまこそ本日も麗しいお姿ですわ。それじゃあ、そこを退いてくださる?」


俺が笑っているうちに退いてくれ。


こいつの前だと顔がひきつるんだよ。


俺がここに来てこの一年、やたらと俺に絡んでくる。


正直男とバレているのではないかと思うこともしばしばある。


いったい何の用があるんだよ。


どうでもいい話をしてきたと思ったら、謎の言葉だけを残して去っていくから不気味なんだよ。



「お着替えと湯の準備をしておくと善いと思います。頭上にはお気をつけください。」



それだけ言うと、礼をし、横を通りすぎて行った。



いつもこんな風に何かを告げられた日は決まって不幸に見舞われる運命にある俺。


今日も何かが起きるということか…。


ハァ~と頭を抱えその場にしゃがみこんだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


昼食を終え、鈴妃の部屋へ向かっている時だった。



「あら、嶺妃ではないの。」



回廊を歩いていると、明慫殿に妃たちが集まっているのが見えた。



「皆さん、何をしていらっしゃるの?」


「今度催される涼の宴で皆で、金魚を真似た着物を着ようと話していたのよ。今年は暑くなりそうだから、せめて陛下の御眼だけでも涼を感じられればと思いましたの。」



広げられた朱や白、黒等を散りばめており、素材も薄いものを使っているのでかなり涼しそうに見えた。



こちらも似合うわよ。あなたはこっちのほうがいいのでは?と妃たちは互いに合うものを客観的に言い合い自分に合うものを決めている。



後宮に来てこんなに楽しそうな彼女たちを見たことがあっただろうか…。


いつもいつもギラギラと王様を狙っているようにしか見えなかったからな。



「嶺妃さまはこのお着物が似合いそうですわ。」


手渡された着物はガッと胸元が開いているもので、さすがにまな板の俺には無理なやつだった。


ここに置いてあるものは全て生地が薄すぎて素肌が透けるのでは?と思う。


誰がチラ見せの男の裸体に興奮するんだっての。


まあ、その前に周りが俺が男と知って卒倒するだろうけど。



「ありがとう、後で考えておきます。」



彼女らをその場に残し、俺は明慫殿から出た。





そういえば、やっぱり鈴妃はいなかったな…。




あいつは友達が欲しかったと言うわりに友達をつくろうとしない。


というか、つくりたくてもつくり方を知らないんだろうな。


俺とは秘密を知られた仲で、たまたま仲が良くなっただけだもんな。





鈴妃の部屋の前まで来ると、彼女の侍女の念珠と会った。



「おはようございます。嶺妃さま。」


「ああ、おはよう。」



この人には男ということはバレていないが、俺の素のしゃべり方がかなり品がないということはバレているので気を使わなくていいから楽だ。



「鈴妃は?」


「姫さまは公主さまがいらしておられるので、ご挨拶に向かわれました。」


「公主…って紹家の奥方か…。」


「はい。澪鮮さまです。」



そうか…。あいつの義母親は元は皇族だからな。


後宮に出入りできて当たり前だもんな。



「部屋で待っててもいいか?」


「はい。姫さまにもそうしてもらうよう言われております。」



鍵を穴に差し込み、鈴妃の部屋に入ると前に来たときよりも沢山の書物が所狭しと置かれていた。


「まったく姫さまは…。昨日片したばかりなのに何でこんなに汚せるのでしょうか…。もう一種の才能としか言えませんね…。嶺妃さま、すみません、少しお待ち頂いてもよろしいでしょうか?今片しますので。」


「あ、ああ…。」


額に青筋を立てた念珠に苦笑いしながら、座れそうな椅子を見つけたのでそこに腰かけた。


重ねられた本の山の一番上のを見てみると、『極東見聞録』と書かれており、何やら難しいことがズラズラと載っていそうだった。



元々、勤勉家であることは知っていたが、こんなに文献を読んでいるのか…。


科挙でも受けそうな勢いだぞ…。



「あいつ、何になるつもりだよ…。」


俺が呆れながら呟くと、念珠も「私も毎日そう思います」と言った。




本棚に一通り整理し終わった頃に鈴妃は戻ってきた。



続きます!

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