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後宮恋物語  作者: あいまいみー
第二章 後宮での日々
31/59

嶺妃と鈴妃 後編

久々更新です!



「ほらよ。」


「ありがとう。」


床にぶちまけられたワンタンを片し終わった後、直ぐに夕餉の時間になった。


夕餉も女の量だから案の定足りなく、台所を物色し、籠に入った桃を見つけた。


俺はそれを切り、鈴妃の部屋まで持って行った。




ワンタンを片していたときも終始無言で、かなり気まずかったから変に気になった。




「今夜は満月だそうよ。よかったら、夕涼みしながら食べましょ。」


「へー。満月なら酒でも持ってこようかな~。」


「月見酒!わたくしも飲みたいわ!」




興奮気味に桃に匙を刺した鈴妃は眼を輝かせていた。


酒好きなのか…意外…。




侍女を呼んで部屋から酒瓶と盃を持ってこさせ、二人で乾杯した。


つまみが桃ってのはあんまり良くないけどな。




鈴妃は本当に好きなのか直ぐに盃を空にし、次をよそっている。



「ぷは~!生き返る~!」



頬を密かに染め、暑いのか少しはだけさせた着物の襟元から胸の谷間が露になっている。



前々から思ってたけど、胸でかいな…。


俺も男だ。


胸は大きい方が好きだし、こういう光景は正直興奮する。



俺が鈴妃の胸に夢中になっていると、


「嶺崋さま、全然飲んで無いじゃないの!!飲まないと!!!」


そう言って俺の盃にじゃぶじゃぶと透明な液体が注がれていく。


「おい。ちょ!!はぁ~…俺はちょびちょび飲むのが好きなんだよ。」


「そうなの?喋り方と違って可愛いわね。」


「うるせーな。酔いやすいんだよ。」



「あー暑い!!」と言い出した鈴妃は帯を解いて、肌着だけの姿になった。



さすがにヤバイだろ!!!と思い、俺が止めに入ろうとすると、何を考えたのか抱きついてきた。



肌着から伝わる温かい体温と柔らかい胸の感触が生々しく一気に顔に熱が集まるのが分かった。



「う~ん…」


「ちょ!!おい!!ヤバイって…」



健全な男児であったらこんな美味しい状況物にしてやろうと思うだろう!!!



だがそれが今は出来ない身なのが悔しい…。


このまま鈴妃を襲えば俺が男という事だけじゃなく、女装趣味があると誤解されかねない。




「おい…起きろよ…。」


「…………。」



色っぽい唇から漏れる吐息にクラクラしそうだ。


ちょ、ちょっと触るだけなら…。



頬に手を当てると俺の手が冷たく気持ちいいのか頬擦りしてきた。


不意の可愛らし姿に心臓が激しく動いていた。



すると、閉じられた瞼の間から一つ、滴が流れた。







「……こ、くう…」




悲しそうに呟かれたその言葉は何なのか分からないけど、王様との関係と言い、色々訳ありっぽいよな……。










暫くして、起きた鈴妃は俺の膝の上で眼をパチクリさせていた。




「起きたか。」


「ご、ごめんなさい!!わたくしとんだ失礼を!!!」


「いいって。それより身体冷えて来ただろうから部屋戻ろうぜ。」


そう言って立ち上がろうとした俺の襟元を鈴妃が急に掴んだ。



「ちょっと待って!!って、ぎゃ!!」


「おい!!ちょっ!!!」



その場に転んだ俺は鈴妃に襟を掴まれ、まるで押し倒されているかのように倒れた。



「いてぇ…」と頭を擦っていると、上に乗る鈴妃の眼がある一点で止まっていることに気づいた。





「……あなた、男なの。」



はだけた襟元から胸に見えるように入れておいた布が落ちて、華奢な胸板が露になっていた。



「あ、え、えっと………。」



ダラダラと流れる汗を誰か止めてくれ。



泣きたい……。王様に脱がされそうになった時並みに泣きたくなった。


俺は急いで鈴妃を押し退けて襟を直した。



その間も呆然と俺を凝視する鈴妃は何も言わない。




「わ、笑いたきゃ笑えよ!!!」


「え、え?」



気が抜けたように返されたその声にキッと眉を上げた。




「俺だってな!!こんな格好したくてしてんじゃねーんだよ!!」


「そ、そう……。」




俺の剣幕に推されるように鈴妃は少し後ずさった。



もう、終わりだ。


王様に知られたことだけで、最悪だったのに……。


他の妃にまで知られるなんて……。



「驚いただけなの。泣かないで嶺崋さま。」


「泣いてねーよ!!それに俺は嶺崋じゃない!!」


「え、じゃあ…。」


「按灑崋。嶺崋の兄貴だよ。」


「灑崋さま……。泣かないで?」


「だから泣いてねーよ!!」



頭を撫でようとする鈴妃の手をバチンと払った。



「あやそうとすんな!!」


「ご、ごめんなさい…可愛らしかったから…。」


「嬉しくねーよ。」



ったく……。



「でも、本当に凄いわ。」


「何が。」


「だってこの一年誰もあなたが男だって気づかなかったのよね?凄いわ!!」


「王様は知ってるけどな。」


「あ、そっか。寵妃だものね。え、てことは夜は……!!」


「変なこと想像すんなよ!!王様は他の妃のとこ行きたくねーって言うから俺のとこ来て博打するだけだからな!!」


「あ、そうなの。」


「当たり前だろうが!!俺は男色の気はねぇ!!」



ふふふっと笑った鈴妃は俺の剣幕にツボッたのか暫く笑っていた。



「俺のことは…その…」


「大丈夫!言わないわ!!わたくし口は固い方だから!!」


「心配だな……。」


「信じてとしか言えないわ。」



はぁと俺がため息をつくとまたクスクス笑い出した。



「それじゃあ、これからも改めて宜しくね。灑崋さま。」


出された手に俺は自分の手を重ねた。



「まあ、宜しく。」





灑崋、情緒不安定やな。

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