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後宮恋物語  作者: あいまいみー
第一章 出逢い
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味のしない酒


「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」


王宮に訪れた美姫たちは順々に遊瑧の前に拝礼し、未来の自分の夫をうっとりと見つめた。


十八になった遊瑧美しさと色気に拍車が尚一層かかっていた。


「ああ。ゆっくり宴を楽しんでくれ」


綺麗に造られた仮面の笑顔に倒れる者が現れるほどである。




「遊瑧殿下、紹翠華でございます」



"紹"という姓に一瞬心臓が跳ねたが、その後ろに続いた翠華という名前に何故だか酷く落胆した。


眼前に拝礼するのは紹家の当主とその奥方と三人の姫に跡取りの長男。


玉蘭の姿は無かった。



「ああ。今日は無礼講だ。皆楽しんでいってくれ」


「はい」


頬を染め、遊瑧の盃に酒を注ぎ入れる翠華は絶世美女だ。

実際遊瑧の兄弟の皇子たちは皆、一度は求婚の文を出していた。


注がれる透明な酒に視線を落としながら、遊瑧は口を開いた。



「紹家の四の姫は来ないのか…」



その言葉を聞いた翠華の眉はピクリと反応し、苦笑いしながら答えた。



「ええ。あの子はあまり宴が好きではないみたいですので」


「そうか……」



自分で姿を現すなと言ったのに、何を言っているんだ俺は……。


玉蘭はあの夜の誓いを守り、遊瑧の前に姿を見せなくなった。


紹家を訪れたときも話しかけてくることはなくなった。


不意に視線が彼女の姿を捜してしまう。



「それにあの子最近奴婢の一兵と仲が良いらしいですわ」



口に運ぼうとした盃を持つ手が止まった。



「私付きの侍女に聞いたのですけど。二人で何処かから朝帰りしたこともあったそうですわ」



こそこそと遊瑧に耳打ちする翠華の声がずっしりと彼の中に何か不快な物を落とした。


心臓が嫌な鼓動を打ち、それを掻き消すように盃を煽るも味がしない。



「気分が悪い…少し夜風に当たって酔いを醒ましてくる……」


立ち上がり宴会場を出ていった遊瑧はあの夜最後に玉蘭と話した回廊に無意識のうちに向かっていた。




何だって言うんだ……。


どうしてあの女のことで俺が動揺してるんだよ…。




手すりに腰掛け、玉蘭が立っていた場所を見つめた。


どうしてあの夜からこんなに憂鬱なんだ……。




「拐功」


「はい」



側に控えていた拐功は今も俺の忠実な臣下だ。



「紹家の四の姫と親しいという奴婢を調べてくれ」


俺の言葉に拐功は一瞬何か言いたげに眉を寄せるも、臣下が主に口答えすることは許されていない為言葉を飲み込んだ。


「御意」






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