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THE GAME IN DREAM~睡眠中はゲームの世界へ~  作者: 高鷹隆貴
第一章
9/13

双刃の舞

 颯の前に突如現れた謎の銀髪美少女は、膝を曲げ腰を低く構えた。彼女が片手に持っている、全体が約一メートル、剣身の幅約十五センチ程の銀色の両刃剣の樋の部分には、颯が持っているパーガトリー=アルソウルのものとよく似た、龍を(かたど)った紋章があった。その龍は口から尻尾の先端まで一直線に伸びており、樋の上を沿うように刻まれている。樋と刃先の間には、直線の凹みが見られ、剣身全体が剣身に沿ってそうなっている。凹みの横幅は、子供の人差し指の横幅と同じくらいだ。

 構造は、元々単純に()()()()()()()()()()()()()()()()()に、上からその形に合うような盾で覆ったようになっていると思えばいい。


「なんでこういうときに邪魔が入るのよ…」


 一方スピカは愚痴を零すとその銀色の剣士をキッと睨みつける。銀色の剣士は真剣な表情で睨み返す。少し和らいでいるようにも見えた。

 目の前の敵を業火で焼き尽くさんばかりに紅く燃えた瞳。

 目の前の敵の行動を全て見透かしているように澄んだ蒼穹の瞳。

 二つの視線が交差し、冷たい風が二人の長い髪を揺らす。

 颯は回復手段がないため、地面にぐったりと倒れたままだ。傷口から血が少しずつ流れている。銀髪剣士はそのことに気付き、スピカと交わした視線を逸らす。

 彼女は自身のインベントリから、青汁のような緑色の液体が入った、掌サイズの試験官のような容器を取り出した。回復薬だ。背中のほうにスピカがいるのにも関わらず、すっ、としゃがみ込んで颯の右手の掌に回復薬を置くと、颯に話しかける。


「すみません、これでよければ回復してください。相手のお方はとても強そうです。戦闘の被害を受けないように少し離れて頂くと、わたしは遠慮なく戦えますので、回復後は任せます」


 それはスピカから見れば挑発行為にしか見えなかっただろう。彼女は燃えるように赤いその眼を、更に赤く輝かせると、動きを止めていたケルベロスと三頭のベヒモスに命令を出した。


「ベヒモス、あの女を捕まえて身動き一つできないようにしなさい。ケルベロス、ヤツ(はやて)に止めを刺しなさい。ま、ヤツに止めを刺すのは誰でもいいわ」


 四頭の召喚獣は低く唸ると、ご主人様の命令に従い、それぞれの行動を開始した。


 一方、銀髪剣士はまだ颯に言葉を投げかけていた。


「それと、わたしの名前はフィル=ストークといいます。以後お見知りおきを。では」


 銀髪剣士フィルは、バッと立ち上がり再び両刃剣を構える。彼女の位置から三メートルほど離れた位置に、それぞれ視界の右、前方、左とベヒモスたちが並んでいる。

 颯と話している間にフィルを三方向から襲うように行動をとっていたベヒモスたちは、フィルが彼らを見ると、三頭のうちの真ん中にいたベヒモスが身を低くかがんで跳躍の体勢をとった。先ほど颯を襲ったようなやり方ではないようだ。三秒も経たないうちに、そのベヒモスは砂埃を上げながら地面を蹴り、フィルに向かって一直線に跳んだ。同時に右にいたベヒモスが口を開き威嚇しながら駆けてくる。三頭目の左にいたベヒモスは…颯の回復中を狙っていた。そのベヒモスは他の二頭よりほんの少し遅れて獲物に当たる距離だ。

 だが、もちろんフィルはそれを許さない。

 まず左手から魔法を無詠唱で発動。風属性魔法、風砲だ。目の前で風砲を発動させられたベヒモスは避ける術もなく「キャイン」と甲高い声で鳴いて後方に吹き飛ぶ。次に地面から六十センチほどの高さまで腰を下ろし、元々移動速度上昇を足に発動していたため、一気に大地を蹴る。その間一秒。

 そして、大地を蹴った瞬間に右手の剣で二頭目のベヒモスの顔面に袈裟斬りを放つ。それをすぐに逆袈裟で返し、ぎりぎり剣先がベヒモスの上顎を捉えた。ベヒモスの顔の二つの大きな傷から鮮血が噴き出す。悲鳴を上げ、そのベヒモスは動きを止めた。

 フィルは動きを止めるどころか、速度を増し、颯と彼の近くのベヒモスの下まで即座に駆けつけた。彼女は、身動きが取れない颯に向かって口を大きく開いて飛びつこうとしたベヒモスに、颯の上をまたいで剣先を突き出す。ベヒモスの下顎から心臓に向かって容易に貫通し、三頭目のベヒモスを串刺しにした。返り血でフィルの胸辺りと右腕が赤く染まる。

 次に串刺しになったままのベヒモスの眼前で魔法を発動する。左手に浮かび上がる魔法陣から炎が噴き出す。火属性の上位魔法、マグマピラーだ。以前、颯が魔法剣の鞘を作るために最初に発動したあの魔法だ。渦を巻いて直進する炎の柱は、ベヒモスを炎で包み込む。ベヒモスは悲鳴を上げる暇もなく、焼き尽くされた。黒焦げになり命を絶ったベヒモスはその場で蒸発するように空気中に消えていった。

 それを確認したフィルは颯の無事を確認しようと下を見る。


「大丈夫ですか? って、いったいどこ見てるんです……はっ!」


 颯はとにかく上を見ないようにと顔を横に向けていた。フィルは颯の顔の上をまたいでいる。つまり、フィルの股の真下に颯の顔が位置している。動きやすいとはいえ、フィルが着ている防具はコートのようなものだ。下から覗くと何かが見えるのは言うまでもない。


「すっ、すいません! すぐどきます!」


 フィルは顔を赤くして慌てて足を引っ込んだ。颯は顔を正面に戻して上半身起き上がり、回復薬を飲む。せめて狙われた時をガードで防げるように、右手で剣の柄は握っておく。傷が治り始め、底を尽きかけていたヒットポイントもだんだん回復してくる。


「で、では、残りも倒してきますね」


 フィルが前を向き、剣を自身の前に構えたときだった。立ち上がって後ろに振り向いた颯の瞳には、彼女を背中から襲い掛かる一頭のベヒモスが映っていた。彼女はそれに気づいておらず、颯が気付いた時には、ベヒモスからフィルまでの距離が二メートルに縮まっていた。

 颯は手にしたままだった左腰の剣の柄をギュッと握りしめ、精一杯引き抜く。一緒に地面も蹴り、鞘からは刃を光らせ、ベヒモスの横っ腹をめがけて居合切りを放つ。それは見事に命中した。剣先はベヒモスの脇腹を捉え、数本の毛を散らせながら傷口を開いた。とたんに血が飛び散る。

 さらに颯は、追撃をしかけていた。斬りつけた瞬間、颯の手は柄から離れ、親指が下だった状態からパッと上に変えた。そして、再び柄を掴む。つまり、その剣を、一瞬にして空中で逆手持ちに持ち替えたのだ。その剣先は、ベヒモスを捉えていた。颯は力を籠めてそれを突き下ろす。ブシュッと、ベヒモスを貫く音が耳に入る。そのまま勢いを保って、剣先を地面に突き刺す。ベヒモスは悲鳴を上げ、地面に刺さって前に進めない自身の体をじたばたと動かす。が、串刺し状態のベヒモスは前に進むことができない。

 フィルは颯が動いたことにに、一体何が…と、首だけ回して後ろを見た。颯が地面に剣を刺してベヒモスを串刺しにしている姿が視界に入る。


「あっ…」

「フィル、気を抜くな。あとベヒモス一頭とケルベロスが残ってる」


 颯はフィルと同じく無詠唱でマグマピラーを発動し、串刺しにしたベヒモスを焼き殺した。


「すいません…」

「さあ、俺も戦うぞ」

「え? でも…」

「なんだ? 美少女に助けられてそのまま見てろってか? そんなの嫌だね。せっかく回復薬まで貰ったんだ。もちろん俺も戦うさ」


 この台詞言ってみたかったんだよな…今の結構よかったと思うが?

 颯は内心そう思いながらフィルを見ると、フィルは訝しげな表情をしていた。


「え、えぇ~そうですね、はい…」


 ちくしょーやっぱアニメみたいな世界じゃないな、ここは!

 颯は心で涙を流し、すぐに表情を硬くすると、あることに気が付いた。


「なあ、ケルベロス…どこいった?」

「確かに…あの巨体が見つからないとは、透明化でもしてるのでしょうか…」


 フィルが口にした透明化とは、文字通り発動したプレイヤーが対象(自身も可)を透明にして全く見えなくなるようにする、聖属性と陰属性を合わせた魔法だ。それを成功させるには、かなりの手練れが必要だが、スピカなら何の問題もないだろう。


「感が鋭い女ね…ま、今更分かってももう遅いわよ……だって、あなたたちはもう包囲されているのだから…」


 そう、颯とフィルの周りには、既に召喚されていた八頭の透明化ベヒモスが円の形で囲んでいる。無論、草は無く、地面は土で覆われており、月も雲が覆って月光をもたらしてくれないため二人は全く気付いていない。そして、二人を見据える透明化ケルベロスが一頭のベヒモスの背中に鎮座している。

 

「そうなると厄介ですね…」

「いや、そうでもないぞ」

「それはどういうことですか?」

「今からやるから見てろ」


 颯は左手を天に掲げると、無詠唱で魔法を唱えた。

 颯の掌に浮かぶ魔法陣から、一筋の光が漏れだす。それは瞬く間に周囲に広がり、辺りを光で埋め尽くす。

 聖属性の下級魔法、ライトニングフラッシュ…とまあ、なんともわかりやすい名前。

 颯がこれをしたのは、透明化の弱点を突くためだ。その弱点とは、透明化は自身を隠せても、影だけは隠せないこと。さっきは透明化使いにとって絶好の場所だったが、この閃光を浴びれば影が浮かび上がる。颯はそう考えたのだ。

 案の定、八頭のベヒモスたちと、ケルベロスの影が地面に映る。


「全部で九頭かよ…こりゃつらいな、くそっ」

「これほどの召喚士がいるなんて初めて知りましたよ。辛いですが、ここは絶対に切り抜けますよ」

「わかってるって」


 颯は転移を使おうと思ったが、このまま転移を使うと魔力が尽きてしまい、剣だけで戦うのは酷なため転移魔法の使用を躊躇った。転移を二度も使用して多くの魔力を消費した挙句、下級魔法や上級魔法もいくつか使用しており、魔力が全体の一割しか残っていない。故に、颯は剣と下級魔法を駆使して切り抜けなければならない。また、パーガトリー=アルソウルを使おうと思っても、なぜか起動しなかったのがオチだ。


「そういえば…」


 と、何かを思い出したようにフィルが目を開いた。


「あの…わたし狙われやすくなると思うので、二十秒間守ってください」

「? …お、おう、わかった」


 颯が返事をすると、フィルは銀色の両刃剣の剣先を天に向けてそれを自身の胸の前に立てると、そっと目を閉じた。同時に彼女を中心として、直径がフィルの肩幅の大きさの、青い輝きを放つ魔法陣が浮かび上がり、とてつもない量の魔力を感じる。

 光を放つ銀色の両刃剣。それに縦に刻まれた龍の紋章と、樋と剣身の間できた凹みの両方が空色に輝いている。魔法陣から放出させる水色の光は、銀色の髪を大きく揺らすフィルを包み込み、一時的に彼女に膨大な量の魔力を与える。


 その間、ベヒモスたちの陰はすべてフィルへ向いていた。フィルが言った通り狙われているのだ。おそらく、今フィルがしていることを発動している間はヘイト値が以上に上昇するのだろう。

 一緒に戦ったことすらないのに、颯を信じてその行動に移るなんて自殺行為だ。颯自身もこの数を相手にしてフィルを守るなんて不可能だと感じているというのに。

 颯はチッと舌打ちをつくと、自身の足に移動速度強化、両腕に攻撃速度強化をそれぞれ発動し、インベントリから最後の一本の剣を取り出す。おそらく、魔法をあと一つ使えば颯の魔力は底をついて彼は倒れてしまうだろう。

 腰を低くして両手に持った剣を構え、神経を研ぎ澄ます。この攻撃でベヒモスたちの動きを止める!

 次の瞬間、八匹のベヒモスが一斉に駆けだした。

 彼らとほぼ同じタイミングで地面を蹴った颯は、後ろに残像が見えると錯覚してしまうような尋常じゃないほどの速度で、最もフィルに近い、彼女を背中から襲うベヒモスに急接近する。そのベヒモスはまだ二歩しか走っていなかった。一瞬で目の前に敵が現れ、混乱を招く――が、それより颯の剣撃が襲い掛かる方が早かった。


「おらぁ!!」


 颯の声と共に二本の剣がそのベヒモスを右に薙ぐ。攻撃速度強化の影響か、それらは肉眼では捉え切れない程早く、風に乗ってベヒモスの邪眼を眉間ごと横に切り裂いた。まるで鎌鼬(かまいたち)のようだった。と、それを受けたのは最初の一頭だけではなかったようで、そのベヒモスの左右にいたものまで、視界をつぶされていた。

 三頭のベヒモスの視界を奪った颯の次の一歩は大きかった。大地を踏んで大きく膝を曲げた彼の左足にグッと力が籠る。颯は少々右を向いていた胴を無理やり左へ向ける。それと一緒に、体全体が両腕を引っ張りながら回り始める。しっかりと腕に力が入っていたため、遅れてついてきた二本の刃が四頭目のベヒモスを闇の世界へと誘う。


 颯は時間を稼ぐために、フィルに近い敵から順に両眼を潰しているのだ。いくら颯のように早い双剣でも、ベヒモスは何回も斬撃を与えなければ倒せない。だから、二本の剣なら一撃で潰せて、時間を稼ぐことができる、眼を狙うことにした。


「ふっ…!」


 颯の左足が地上から離れた。彼が跳躍したためだ。勢いのまま左に半回転した颯の体は、一頭目、二頭目、三頭目、四頭目と連なって並んでいた五頭目のベヒモスの目前にその身を下ろした。同時に、縦に二本の光の線が奔る。十個目の眼を潰した。

 が、颯の目は六頭目を捉えている。地面を(えぐ)って駆けだした颯は視界の左から右へ、二本の剣を微妙に交差させながら、獲物を正確に捉える。それぞれの剣がそれぞれの邪眼を斬る。

 颯はその勢いに乗って、旋回する。膝を曲げて腰を低くし、両手の剣が地面を削りながら体ごと右に回転していくのがわかる。彼は七頭目の前に足を大きく踏み込んで、同時に上顎から両目にかけて持ち上げるように双刃で斬りつける。七頭目の視界を奪った。

 残り一頭――そう考えたときには、自分も驚くほど速く、その体は八頭目の右隣りに移動していた。

 八頭目とフィルの距離は、残り五十センチも無かった。それでも、届かなかった。八頭目のベヒモスは、二つの何かが自身の首と両目を貫通しした感触を覚えた。とたんに視界が闇に包まれる。何も見えない。


 颯の二本の剣はものの見事に八頭目の首と、眉間と一緒に両目を貫通した。


 颯が斬るたびに顔から鮮血を噴き出すベヒモスたちは、みんな視界を奪われて突進を止めた。

 舞うように剣撃を繰り出す颯の剣舞は、その速度故、だれにも止めることはできなかった。これを凌駕できるものは、この世界では存在しないのかもしれない……一人を除けば。


 四秒で舞い、八頭の突進を阻止した。だが、ここで安心してはいけない。ベヒモスたちもいずれ視界を取り戻すが、なによりあのケルベ――


 ガギイイィィン!!


 金属と金属のようなものが激しくぶつかり合う鈍い音が辺りに響いた。

 ケルベロスだった。奴はその立派な鉤爪で颯を切り裂こうとしたが、ギリギリ双剣を交差させてガード行為に移った颯が後退しただけに終わった。

 颯はすぐに反撃に出る。狙いはケルベロスの腕。斬り落とせれば上出来だ。


 ――残り十三秒。


 三つのうち一つの頭から、灼熱の炎が吐き出される。アルギエルが使っていたマグマブレスと同じものだ。颯は蛇行して次々に放たれるそれを回避しながらケルベロスに近づく。


 ――残り十秒。


 左腕まで近づいた颯は、横薙ぎで鉤爪を試す。ギャリギャリと鈍い音を立てて弾かれ、やはり腕ごと切り離す必要があると悟る。そのまま前に移動し、ケルベロスの左肩の辺りに近づくと、右手の剣を縦に振り降り下ろした。肉質が固いようで、イマイチ手ごたえが感じられない。


 ――残り六秒。


 だが、颯は諦めない。もう片方の刃でも左前脚に追撃を入れる。やはり、刃が通りにくい。それでも、必死にもがき、右手の剣を突き刺す。


 ――残り三秒。


 そこで、颯はよくあるミスを犯した。攻撃に夢中で、ケルベロスの口がこっちをむいてカパッと開いていることに気付くのが遅かった。しかも、既に魔法は放たれ、颯に直撃した。


 ――残り二秒。


 颯の体が炎に包まれ、体全体を燃やされる。

 フィル、あとは任せた。


 ――残り一秒。


 元々同時に溜めていたらしい。あとの二つの頭が、フィルに向けて高火力のマグマブレスを放った。


 ――残り零秒。

 毎度読んで頂き感謝します。

 攻撃方法があまり変わらなくて、すみません。もっといろいろなバリエーションを考えて、精進致しますので、これからもよろしくお願いします。

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