沈黙
あるところに、ある4人がいた。
そこへ、ある1人がやって来た。
「そこに入れてくれ」
「駄目だ」
「駄目よ」
「駄目ってことはないけど…」
「…」
雨が降り止むと、また、ある日その人はやって来た。
「そこに入れてくれ」
「駄目だ」
「駄目よ」
「…」
そして、その人は言った。
「おや、今日は少ないのか」
「そうか」
「そうでしょうか」
「…」
「おい、お前黙ってないでなんとか言え」
「…」
「もう、いい!俺は他の街へいく!」
そういって、その人は闇へ消えた。
そして、またある日、今度は違う人がやって来た。
「おや、一人かね」
「…」
「話し相手になってくれんかのう?」
「…」
「黙ってないで、なにか言わんか!」
ただ、その人は頷くだけ。
「もう、いい!ただ、隣にはいさせてもらうぞ。いい、雨宿り場所なんじゃ」
雨が降り注ぐ。滴が落ちる。
しかし、その滴はひどく汚れている。
その、沈黙を続ける人の横に瓶がある。
ワインのラベルがついた。
その瓶には、たっぷりと赤い液体が入っている。その人は、飲み方が下手くそなのか、あちらこちらに液体がついている。
口や、手。そして全身に。
しかし、雨が降ると決まってその瓶は、補充され無くなることはないのだ。
そして、雨が止むとその人は瓶を持ちながら歩き出す。次の街へと歩き出す。そして、良い雨宿り場所を見つける。そしてその人は、そこにいる、3人組に話しかける。
「そこに入れてくれ」