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帰宅部へようこそ!  作者: 神堂 劾
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プロローグ(的な)

 僕たちはこの場所で出会ったんだ――


 ……そんなこっ恥ずかしいことを言ってのけたのは誰だったろう。


 とりあえず最初に言っておくと俺じゃない。

 だいたい、その認識は間違ってる。俺と凛はイワユル幼馴染みっていう関係だ。

 それもまぁ……家まで寄り添うくらいに隣同士なんだから、こりゃもう何の言い逃れもできない立派な幼馴染みだ。

 フツー、男女の幼馴染みなんてぇのは小学校高学年か中学の辺りには気恥ずかしくなって疎遠になってしまうようなもんなのかもしれないが……。

 俺と凛に限っては、もうそこまでガチガチのマンガじみた幼馴染みっぷりに、疎遠になるタイミングさえも逸してしまってた。

 ついこないだも、あれはもう半ば諦観の域にも近かったかもしれないなぁ、と凛と当時を述懐しながらタメ息をつきあったものだった。

 しばもーについては、とある事情でちょっとしたブランク期間はあったものの、概ね幼馴染みって事でいいと思う。

 少なくとも凛としばもーは幼稚園年長組からの、切っても切れない程に強固な幼馴染み関係なのは間違いない。

 俺は……ホラ、小学生くらいのガキの時ってあるでしょ? 「女と遊ぶと女がうつるー」みたいな、フェミニスト団体が聞いたら膝がもげるくらいの長時間、正座で説教されるんじゃないかっていう謎の言い草。

 そういうのがあったせいで、とか言うと俺まで先の言い草に与した咎で正座説教させられそうではあるけど……。

 まぁ、それを否定も肯定もしない程度の在り方で、若干の距離感はあったのは、まぁ事実だろうと思う。

 それでも凛をパイプ役として(半ば強引な形で)それなりに一緒に遊んだ記憶もあるのだから、一応の形で幼馴染みの枠組みに入れてもらってもいいんじゃないだろうか。

 越仲は――うん、まぁ確かにこの高校に進学してからの付き合いではあったものの、それでも別に「ここ」で出会ったわけじゃない。

 っていうか入学式が終わり、クラス分けが済んで、取り急ぎ名字の五十音順で並べられた席に腰掛けるや否や――

「く」である俺のすぐ後ろの席に座ってた「こ」の越仲に話しかけられ、すぐさま打ち解けたのだ。

 だから俺と越仲の出会いは教室――いや、越仲が話しかけたのは「入学式でも近い列に居たのを覚えてたから」という理由だったんだから、突き詰めれば式の行われた講堂なのかもしれない。


 うん、やっぱり突き詰めると「ここで出会った」は全くもって事実にそぐわない。とんだ嘘八百もあったもんだ。


 だけど――


 そう、だけど。


 それでもやはり、改めて思ったりするのだ。


 俺たちは――


 ……いいや。


『僕たち』は、やっぱりこの場所で出会ったのだと。

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