表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリンから頑張る神の箱庭設定集&SS  作者: リーズン
ショートストーリー
20/21

道路工事の一週間~前編~

前後編です

「さて、道のりは長いな~」


 現在私はアリスベルの入り口から少し離れた道に居る。


 それと言うのも今日の昼の事、会話の流れでアリスベルとフープを繋ぐ道の整備の話になった。


 そこで私は土魔法を使えば普通にやるよりも早く綺麗に終わるのでは?と、提案した。



 ・・・・・しかし、言い方が悪かった。



 と、言うよりも言葉が足らなかった。


 前々から澪や瑠璃達に「頭の中で結論を出して端折り過ぎだ」と、言われてはいたが・・・・まさか・・・人数揃えば一週間で行けるんじゃね?と、考えて言ったら〈一週間あれば一人で出来る〉何て意味に取られるとは思わなかったよ!


 断ると言う手段も勿論あった。だが・・・私にはどうしてもあの三人の純粋な尊敬の眼差しを裏切る事が出来なかったんだよ!


 譲れない物が!裏切れない物があそこには確かにあったのだよ!


 その結果私はここに居るんだけどね!


 〈回想は終わりましたかマスター?〉


 あっ、はい。ありがとうございました。


 現在ヘルさんは少し前の様に身体をスリープモードにして私と共に居る。


 もう前みたいに戻れないのかな?と、思って試してみたら意外にすんなり何とかなった。


 そんな訳で私のサポートとして付いて来てくれたのだった。まあ、実際は一人にすると何をしでかすか分からない。と、全員一致の意見の元、監視役として付いて来たんだけどね。


 私の信用が全く無いのは何故なのだろうね?解せぬ。


 因みに私がアリスベル側から始めるのは、最終的に疲れきっている筈なので介抱してくれる人間が居る方を目的地にする。と言う後ろ向きの決意から来る物だ。


 そんな訳で、もしかしたらこの世界初の土魔法を使った公共工事がスタートしたのだった。


 ~1日目~


「やるのは良いけどどんな感じにしようかな?」


 〈マスターの世界のアスファルトの様にするのでは?〉


 理想としてはそれなんだよね?まあ、まずはやってみよう。


 私は簡単に土魔法を発動させ地面の表面部分を石で覆ってみる。


「あっ、駄目だ」


 出来立ての道を見て少し力を強めに踏みつけてみると、案の定パキッと直ぐに割れてしまう。


 〈恐らく道として使うなら、もう少し弾性が有った方が良いのでは?それに道の上にそのまま石の道を乗せるのでは無く、少し埋め込み多少の厚さは欲しい所ですね〉


 だよね~。


 その後も私は、試作として少し作ってはヘルさんと確認しながら何とか完成させ、寝場所として簡易ドームの様な小屋を作り1日目を終了した。


 あれ?結局進めて無い!?


 ~2日目~


 その日の目覚めはとても爽やかな物でした。


 モンスター襲来によるヘルさんの警告と共に目覚め、小屋を飛び出ると共に壊される住まい。


 そんな素敵な朝をくれたガドゥルゥと言う、サイの様なモンスターを返り討ちにして、ただいまステーキにして朝食を取っている最中です。


「・・・お店の様に美味しく食べたい」


 焼いただけだから大雑把と言うか、肉!って感じはあるけど物足りない。


 〈店の物はソースがありましたからね〉


 ソースかぁ。後で考えよう。


 朝食を終えると昨日改良した通りに魔法を使い道路を作る。


 うん。結構良い感じじゃね?


 〈はい。これなら余程の事が無い限り壊れず、補修も簡単でしょう〉


 その日も夜までひたすら道を作り続け、ガドゥルゥステーキを食べながら就寝した。


 ~3日目~


 その日の朝は何事も無く起きれた。


 今日の朝は事前にフープの食糧庫から失敬していた野菜を使い、サラダとガドゥルゥの骨から出汁を取り調味料で味付けしたスープを食べた。


 うん。物足りん。


 作業を続け休憩しながら昼を食べて居ると、フープに向かう行商人と遭遇した。


「この道はお嬢さんが作ったのかい?」


「うん。そうだよ。実際どう?」


「ああ、正直助かるね。平らだから揺れも少ないし、この子も走り安そうだ」


 行商人のおっちゃんがそう言いながら、竜を撫でると「クェー」と気持ち良さそうに鳴いた後、私に頬擦りしてきた。


「ははは、この子も有り難うだとさ」


「ん、そっか、どういたしまして」


 その後、おっちゃんと一緒に昼飯を食べ色々話した。


 フープ主導の工事である事、土系魔法を使っての工事である事、フープでは学校の建設予定がある為、それをそれとなく広めて欲しいとお願いもしておいた。


 その時、最近ここでは行商人を狙った盗賊が出るから気を付けた方が良いと忠告も貰った。


 何かフラグが立った気がするがまあ良いか。


 因みに、おっちゃんが行商で扱って要るのが、香辛料や調味料だったので色々と買い込んで置いた。


 これで私の食がグレードアップ出来る。


 その日の夕食はおっちゃんから買い取った香辛料のお陰でウハウハな食事だった。そのテンションに任せて深夜まで続けて結構進んだ。


 ~4日目~


 朝起きて飯を食べると共に行動開始。


 流石にずっとやっているので、効率良く作れる様になってきたが正直飽きて来た。


 何かイベントが起きない物か?


 〈マスター、例の盗賊がこちらに向かって要るようです〉


 私のフラグ回収率半端ねぇな。


 私はしゃがんで歩いての繰り返しで固まった身体を柔軟しながら解していく。


 腕を伸ばし、アキレス腱を伸ばし、少し痛む腰を回していると盗賊がやって来た。


「こんな所で何してるんだ?女一人で居たら俺等みたいのに襲われちまうぜ」


 三人のリーダーらしき男が私にそう言うと、残りの二人がケタケタと下品に笑う。


 そんな三人にか弱い私は何も言えずに黙りこむ。


 ホラ?私か弱い元ミニゴブリンだしね?


「って、いつまで準備運動してる積もりだ少しは怖がれよ!なめてんのか!あぁ!」


 全く怖いな~。人に怒鳴るとか最低だよね?


 何か怒られたのでしょうがなく準備運動を止めて盗賊達に向き合う私。


「さて、死にたく無かったら身ぐるみ置いてさっさと去れ!」


「・・・・・・・それ俺達のセリフだろ!!」


 あれ?そうなの?


 〈状況的にはそうですね〉


 しまった。世界が私に求めていたのはヒロインポジションだったのか。でももうやっちゃったしな~?


「クソ!なめやがって!おいテメェ等!この女ここで犯してやろうぜ。って、どうしたお前ら!?」


 男が驚くのも無理は無い。


 私を脅すのに夢中になっている間に、後ろに居た二人には怠惰の魔眼で動けなくなって貰ってるからね。


「テメェの仕業か!って、何だこれ?!あ、足が動かねぇ」


 今にも掴み掛かって来そうだった盗賊リーダーは、準備運動中に待機状態にしていた土魔法で、あっさりと足を固定されてしまった。(他のふたりも拘束済み)


「さて、人の事を襲ったんだから覚悟は出来てるよね?」


 私が微笑み掛けると何故か命乞いを始める盗賊達。


 まるで私が悪役みたいではないか。


 〈実際そうとしか見えませんよ?〉


 解せぬ?


「まあ良いや。取り敢えずケジメに一発行っとこうか。新必殺!純潔散らし(ヴァージンブレイク)


「「「ぎゃぁぁぁぁあ!!」」」


 ・・・・・・


 ・・・・


 ・・・


 ・


 足を固定された状態で、円錐状の石柱を尻に突き刺された盗賊三人組は、現在私の足元でお尻を両手で押さえながら、何か大切な物を失ったかの様にさめざめと泣いていた。


「さて、君等には幾つかの選択肢がある。一つ目は私に自分達のアジトを教えて見逃して貰う。二つ目は自分達以外のアジトを教えて見逃して貰う。三つ目は全部喋った上で男としての尊厳を全て失うコース。さあ、どれが良い♪」


「こ、この、悪魔!誰が仲間の情報を売るか!」


「そうだ!そうだ!俺達は仲間を売るほど腐っちゃいねぇ」


「仲間を売るやつは最低だ!」


「そうか。そうか。今度はもう少しガッツリと刺して欲しい・・・と?しょうがないな」


「何でそんなにウキウキしながら言ってんだよ!」


「や、止めろ。もうやめてくれ!」


「・・・次は優しくお願いします」


 一人目覚めてないかい?


「じゃあ吐け。お前等の所以外のだったら良いだろ?」


 それでも言わなかった盗賊達は二回目の必殺技で涙を流しながら快く教えてくれた。


 これぞ人徳。


 〈違います〉


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ