オバチャン?
それは少し前、ハクア達が初めて進化をした時の事、安全対策の為アクアが先に進化を果たし、その後ハクアが進化している時の話である。
アクアの進化が終わり、ご主人様が進化を始め繭に包まれてから、少し経ちましたけど、どうしましょう。ご主人様が居ないと、何を話せば良いのか微妙に分かりません!?あぁ、じ、時間が長く感じますよ!!
私は一人沈黙に耐えきれずそわそわする。
そもそもですけど、ご主人様とアクアは姉さんの娘、私にとっては姪に当たるんですよね?ご主人様は別の世界の方ですが、アクアは紛れもなくこの世界の出身者、と言う事はある意味で正真正銘私の姪に当たる。でもここには勿論姉さんは居ませんし、ご主人様も今は繭の中な、何故私はこの状況をピンチの様に感じるんでしょう?
私が一人思考に耽って居ると不意に服が引っ張られる。私がその事に気が付き見詰めると、等の本人は不思議そうに首を傾げている。
う~ん。可愛いです。やっぱりご主人様も私みたいなのより、こんな可愛くて守って上げたくなる子の方が良いんでしょうか?
私がアクアの顔を見ながらそんな事を考えていると、アクアの顔が不安そうになる。
いけない、何も喋らず見てるだけだから不安になってる。
「あのどうしましたアクア?」
「ゴ、コブ・・・・・・・オバチャン?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
「ゴブッ!?」
私が返事をすると、何故かアクアが怖がります。
あれ?何でですかね?なるべく笑顔で接して居る筈ですが?
「ふふふっ、何を怖がっているんですかアクア?可笑しな子ですね?ふふふふふ」
「ゴ、ゴブ~!!」
「さて、取り敢えず先の言葉はどう言う意味ですか?分かるように説明出来ますかアクア?」
「ゴ、ゴブ~」
「ゴブ、では分かりませんよ?確かに私は貴女よりは永く生きていますが、エルフの中ではまだまだ子供、それでも私をそう呼ぶのですか?私はそんな年に見えますか?」
「ゴブ、ちが、おね・・・ちゃん、ア・・クア、おか・・さん、いっしょ、ゴブ、その、いもう・・・と、は、オバ・・チャン?」
スガーン!私の中で何かが音を立てて崩れた気がしました。た、確かに二人は姉さんの子供、私は二人からしたら叔母でした。
私がそのショックから抜け出せずに居るとアクアが更に畳み掛けてくる。
「ちが・・・うの?」
「うっ!」
違わない、違わないですが、オバチャン・・・・それは、それだけはダメです。このままアクアの考えを正さなければ、もしかしたらご主人様にまで・・・・・・・・ハッ!ダメです・・・・・・・そんな事になったら・・・・・ここは何とかするしかない!
「良いですかアクア」
「ゴブ?」
「私は貴女とは対等の関係でいたいと思っているんです。だから私の事は呼び捨てでアリシア、と呼んで下さい」
「でも?オバ・・・」
「アクア!良いですか、ア、リ、シ、ア!です!はい!」
「アリ、シア?」
「そうです。アリシアです。わかりますか?大丈夫ですか?何度でも言いますよ?アリシアです。はい!」
「あ、アリシア、ゴブ」
「その調子です」
こうして私はご主人様の進化が終わるまでずっと、アクアに言い聞か・・・・もとい正しい言葉を教えたのでした。
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その後のアリシアは。
「ご主人様が進化して繭状になっている間は、アクアと二人きりだったので色々話していましたが、格段にコミュニケーション能力が上がって今したからね」
と、説明していた。