表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

男の仕事

作者: 東山 果奈

男は、人通りの多い街中をなにをするわけでもなくただ呆然と歩いていた。

ケータイの画面を見ながら歩く人、友達と喋りながら歩く人、食べながら歩く人など皆何かに夢中になりながら歩いるからか、平日の昼間から仕事でもないのに街を1人で歩いている中年の男を不審に思う者は1人もいなかった。

男は道の脇で1人佇んでいる少女を見つけた。

小学校低学年ぐらいだろうか。平日なのにこの時間帯にこの辺りにいるってことは開校記念かなんかで学校が休みなんだろう。男はそんなふうに勝手に見当をつけた。

「こんなところに1人でどうしたの?迷子?」

男は芝居がかった笑みを浮かべながらそう少女に話しかけると、

少女は首を横に振り、泣く一歩手前なのか目をしょぼしょぼとさせながら男の顔を観察するようにじっと見た。

「おじさんどっかで見たことある」

少女がそう言うと

「…そりゃあね!僕は一時期テレビにもよく出てたし、今だって街中とかに僕のポスターが貼ってあるよ」

少し間が空いたが男はそう返答した。

すると少女は緊張が解けたのか自然と微笑んでいた

「ところでどうしてこんなところに1人でいるの?」

さっきと似たような質問を問いかけるとあまりに少女らしい答えが返ってきた。

「パパとケンカしたの」

そうかそうかと男は言いながら、少女の可愛さに唇から笑みがこぼれていた。

「今日は私と遊園地に行くって約束したのに急に仕事が入ったって言って連れてってくれなかったの。きっとパパは私の事なんか大事じゃないんだ!」

少女が寂しそうにそう言うと男は、はぁとため息をついてこう言った

「そんなことない。どんな親でも自分の子どもは大事に決まってる。

君のお父さんも本当は君と遊園地に行きたかったはずだ」

少女は涙目だった

「なんでそんなこと分かるの?」

「そういうのを仕事柄、間近でよく見てきたからだよ」

男は穏やかな表情で少女に、家に帰ってお父さんと仲直りしなさいと言った。

「…わかった。」

少女は頷いた

「良い子だ。」

そして少女は気持ちがさっぱりしたのか、今日男と会ったなかで1番の笑顔で手をふって帰って行った。


数日後、少女は父親と手を繋いで遊園地に向かって歩いていた。

「あれ?」

交番の前で立ち止まると、ある1枚の指名手配のポスターに目が止まった。

「どうしたんだ?」

父親が不思議そうにそう聞いた

「これ…」

少女は驚きのあまり胸の底で悲鳴が上がったような気がした。

指名手配のポスターに書いてある『連続少女誘拐殺人犯』という言葉の下にある写真には、こないだのあの男の顔が写っていた。

初めて書いた小説です。

見苦しいところがあったかもしれませんが最後まで読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ