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第8話 アーデウスとイデウスの記憶



部屋に独り籠った俺はベッドで横になりながらイデウスの記憶をまさぐり始めた。


彼が話している言語は【サンテ大陸語】だった。

国の名前はマニナ聖国。マニナ教を国の根幹とし、教皇が国政も執り行う。



時代は聖始二一四年だった。聖始一年にこの国は誕生したのか。

元年という概念というかそれに当たるものはないんだな。


イデウスの記憶から歴史を調べてみた。



大きな災害で大陸が割れる前を【古紀】

大陸が割れてからが【分世】これが一五〇〇年続いた。

その後【暗黒】が五〇〇年。


暗黒っておどろおどろしいけど、どんな時代だったんだろう。


そして今の年号である【聖始】が始まった。



アーデウスの時代を思い返した。


時代は【正義】一七年、イデウスの記憶と比べる。

アーデウスの頃【正義】となっていた年号が、後から【暗黒】と呼ばれるようになったとわかった。

 

アーデウスの時代はイデウスの時代つまり現世より六九七年も前ってことか。

その頃の支配者たちはてんで勝手に我こそが正義だと名乗っていた。

で、平和のために統一を目指すとかなんとかいって、戦に明け暮れていたらしい。


懸命にアーデウスの色々な情報を引き出そうとしても無駄だった。

アーデウスに転生している間、つまりアーデウスの中に俺の意識が出現してから掘り起こした物しか出てこなかった。


アーデウスになってわずか一時間も経たず隊長に殺されたのだ。

まあ右も左もわからない状態だったから仕方ないか。

だから情報は少なかった。


しかも綺麗な女性の思わせぶりな態度に発情していたし。


しかしあの展開は謎だった。

なぜ殺されなければならなかったのか。


なんか転生がこの世界ではとてつもなく悪いことなのかもしれない。


しかしいい女だった。


いつの間にか前世で見たアーデウスと隊長のいやらしいシーンをリピートしていた。

他にもアーデウスは彼女とスケベなことをしていたはずだ。

だがやはり同じシーンしか出てこなかった。

あの時視た物しか出てこないのかも。

もっと沢山アーデウスの過去を、せめてスケベなシーンを掘り起こせばよかった。


それでも何度も同じシーンを飽きずに視ていた。


我慢して視続けると違和感を感じた。

前世で接触した綺麗な隊長の映像を掘り起こし、いやらしいシーンに出てくる女性と比べた。

顔はそっくりだが雰囲気が違うような。

いやらしい女性の方がなんとなく線が細く幼い感じだ。


二人の女性の左手を見てわかった。

片方には三つの三角形のようなほくろがあった。

完全に別人だ。

そこから推し測った答えは、妹と間違え姉を襲ったいうことだった。



もう少し用心して行動すれば、今頃妹とラブラブだったかもしれないのに。


今度こそ現世で『聖なるイデウス』という立場を使い…… ヒッヒッヒ。

いかんいかん、また妄想が。


イデウスの知識と比べてみるとアーデウスの言語はどうやら【ミシュ大陸語】で間違いなかった。

これを会得というか獲得出来たのはラッキーだったかもしれない。

なんせ何の苦労もせず【サンテ大陸語】と【ミシュ大陸語】が話せるんだから。

まあ日本語も話せるけど。




それから教会の中を怪しまれない程度にうろつき探し物を見つけた。

剣だ。


アーデウスは確かかなりの腕前だったよな。


俺はこっそり剣を部屋に持ち帰り鏡の前で構えてみた。

目の前にいるのは確かに柔和な表情の男だった。

腹も出てない。


佐藤龍よりはずっとましじゃん。


しかし剣に関してはイデウスはさっぱり。

振りまわしてみたが自分でもてんで駄目だとわかる。



アーデウスが優秀な剣の遣い手だってことがフラッシュバックのような映像でわかった。

これをイデウスで再現できないのだろうか。



なんとか俺も剣の遣い手になりたい。

試行錯誤したが結局あきらめた。



『危険が迫った時勝手に体が動くとか覚醒してアーデウスの能力が……』

自分が大活躍する戦闘シーンを思い浮かべた。


いかんいかん!

また妄想モードに入ってしまった。



魔法はどうだろう。

アーデウスとして小川に落ちて死ぬ時、火の魔法の記憶を垣間見た。


まず唱えずに念じる映像記憶があり試した。

これが無詠唱ってやつか。

何も起きなかった。



俺はこれに関しては期待していなかったから次の行動に移った。



アーデウスの唱えたとおりに試してみた。

何度やっても駄目だった。

詠唱魔法も駄目か。


瞬間的な映像があった。そこには何か書かれていた。


アーデウスに俺の意識が出現してからのことは俺は隈なく覚えているらしい。

何度も脳内で再生してアーデウスの記憶を辿った。


変な図形というか紋様が視える。

これはもしかして魔法陣ってやつか。

この通りに記してみよう。



しかし部屋には書くものがなかった。もう暗い。


この時代は電気・ガス・水道もない。

明りとしてはわずかに灯るランプしかなかった。

ほぼ闇に近かった。


一旦あきらめた俺は現世イデウスの記憶をまさぐった。

そうやっていつの間にか寝てしまった。

  










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