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第2話    瀕死の状態なのに知らない世界に飛ばされた?

 

「ソコノ メガネブタヤロウ  ジャマダ 」



突然どんよりとした暗い声が頭の中に響いた。

日本語に慣れてないようなたどたどしい喋り方だ。



って、えっ? メガネブタヤロウって俺のことかい?

俺は確かに眼鏡かけたデブだけど、でも豚じゃないぞ!


あっ! そういうこと言ってる場合じゃない。

第二マネが俺に気づいたってことか?


しかし第二マネにそんな素振りはない。


第二マネの声はもっとドスが利いてて覇気があるよな。



 

第二マネは油断することなく眼光鋭く周囲をチェックしている。




おおっ! なんか急に神々しい感じが、と思ったら三人の女神様がが出てきた。

先頭にいるのが我が愛しの泉理李様だぁ。

そして春野響子様、岡本香奈様という順番でお出ましになった。


ああ可愛いなあ。


おっと、見とれてて忘れるところだった。


神々しいお姿お姿をいつものようにスマホでカシャッ。


「そこっ! いつもいつも撮ってんじゃねんぞ」


第二マネがこっちを軽く睨んだ。


えっ誰のこと?


見渡すが俺しかいない。


もしかしたら以前から気づいていた? 不覚。

恐るべし第二マネ。



 ネット情報によれば第二マネは剣道やってて全国大会で3位になるほどの猛者らしい。

なるほど、あやつ気が読めるのか。フフフ。

相手にとって不足なし……


いや、やっぱり素直に謝って退こう。


決して怖気づいたのではない。

戦略的な撤退だ。


「ごめんなさーい!」



俺は情けない声を出していた。







そこへ!

突然縁石を越え黒いバンが歩道に突っ込んできた。


エエエエエエエエエッ!

第二マネは気づいて跳んだが衝撃音がした。

避け切れなかったらしい。



第二マネはうつ伏せに倒れたまま呻いていた。


生きてる! 死ぬなよ。今、救急車呼ぶからな。



 トラックからからゆっくりと人が降りてきた。

降りてきた男の目はイッチャッてた。


手にしているのはもしかして銃か?

マジやばい。女神様たちが危ない。




その時華奢な第一マネージャーが駆けてきた。


第一マネは

「テメエー」

と甲高い声で叫びながら暴漢に飛び掛った。


バンバンバン! 第一マネが撃たれた。

それでも第一マネは暴漢の銃を握ったまま離さない。



「キャー」「ギャアアアアア」「嫌ああああああ」

女神様たちの悲鳴が響き渡る。


暴漢は銃から手を離した。あきらめたらしい。


ホッ。

と思ったら暴漢は背中に手をまわしてる。

長いものを左手に持った。

 

それ刀じゃねえか。

お前忍者か。


そして呆然としている女神様たちを見て男はニヤリとした。




「ウォォォォー」


叫びながらいつの間にか俺は知らず知らずに走り出していた。


止まれって思っても自分の足なのに止まらない。

なぜだ。


もしかして自分自身を過小評価してた?

こんなに正義感が強かったか。


っていうか死ぬぞ。

お前は馬鹿だ! 

と言うかお前=俺だから、俺は馬鹿だ。

頼む、止まれ、死にたくねえよ。



あれっ気がつけば理李様に向かっていく暴漢との間に俺が割って入っていた。


犯人に対峙したがイッチャってる目を見て思わず回れ右をした。

五十センチ先に理李様の唇が。


「ヒィーッ」


理李様が怯えた。


違う違う 

俺は暴漢じゃない。女神様たちを。特に理李様あなたを助けに……


あれ?


ズブズブ


刀が後ろから俺を刺し貫いた。


理李様には届いてない。ヨシ



「キャーッ誰か助けて」


「ギャアアアアア」



響子様、香奈様が再び絶叫していた。


それを聞き暴漢はそっちに向かったようだった。




重い、と思うと理李様は気絶して俺に持たれかかってきた。


痛い! 重い! ふわふわ? 痛い! 重い! ふわふわ?  ふわふわ?


ん? この柔らかい感触は。理李様のおっぱい? オッパイ!!!!。

なぜだかジーパンの前が突っ張る。


だが刺されたせいかジーパンの前以外の部分には力が入らない。


理李様に突起物が当たってしまうじゃないか。

気絶しているからいいか。

俺は理李様を抱いたまま後ろに倒れた。

そして調子に乗ってキスをした。





「ちょったした手違いがありましたわ。本当なら無傷のまま向こうの世界に行ってもらうつもりでしたのに」

突然声が聞こえビクッとした。



「しばらく痛みが続きますけどこの傷だと一時間ぐらいで死にますから。そしたら痛みも消えますわ。

御迷惑かけますけど悪いようにはしないつもりです。

あっ、そろそろ始まるようですから失礼します。またいつかお会いしましょう」


ヒソヒソとした感じの鈴が鳴るような声だった。


この声は喫茶店で会った超美人さんの声だよなあ。

自称神様なら助けてくれないのかよ。






今度は変な言葉が聞こえてきた。

聞いたことないような変な言語だ。何語だろう。

リズムと抑揚があり部族が儀式の時に歌うっぽいやつみたいだ。

まじないか何かか。

どんよりとした暗い声だ。

この声、聞いたことあるぞ。


なんか場の雰囲気が変わったような。

もしかしてこれが臨死体験か?

そう思ってると馴染みのある音が聞こえた。


「サ ト ウ リュ ウ」


今俺の名前が聞こえたような。

いや確かに聞こえた。

すると「エエエッ」という悲鳴よりは驚きに近い声が聞こえてきた。

響子様、香奈様の声だ。


うん?

振り向こうとしたが突然スーッと体が持ち上げられたような気がした。


お迎えがきたなあ。

天国へ行けますように。







目を覚ますと大きな木にもたれかかっていた。

あたり一面は草原だ。

ここがあの世か。随分辺ぴなところだ、想像していたのと違う。

と同時に上半身、特に背中から腹部にかけて激痛が襲う。


自分のお腹を見ると血だらけだった。

しかもなぜだか真っ裸だし。



えっなんで! さっきの続きかよ。

あの世に来たら治るんじゃないのかよ。



横を向くと十メートルぐらい離れたところに三十人ぐらいの人が縛られていた。

いや、よく見ると人ではない。

みんな青い肌で顔は人間ぽい。

だが頭から二本角が生えていた。


鬼だ、青鬼だ。

俺はとっさに逃げようとしたがもうそんな元気は残ってないらしかった。

青鬼たちは口々になんか言ってたがさっぱりわからない。



なんかザワザワした。

気がつけばかなり遠巻きに沢山の人が見ている。

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