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第166話 本編Ⅰ-55

忙しくてなかなか更新できずすみません。


「帝神様、助けにきてくださったんですね」

俺はわざと弱弱しい声を出した。


「何を言ってるのですか。あなたに命の危険があれば止めますが、王神はあなたに対し手加減していていたのですよ。

そして最終的には負けるつもりだったのでしょう」

そして王神に声をかけた。

「王神、そうですね」


「はぁ、いえ、まぁ」


「まさかあなたは私に偽りを申すつもりですか」


「いえ、そのようなことは決して。帝神様が仰るとおりでございます」



帝神はおれの方を振り向いた。

「だからラデウス、あなたもひとまず怒りを鎮めてください。神剣モルダウも王神と統ノ神を討とうとはしないではないですか」


「それは無理な話です。俺は王神に何度も酷い目に遭っているのです」


「ではそれについて今ここで話してみてください」



俺はまずギルダス王の時のことから話した。

「俺がギルダス王に転生し、争いと貧困に塗れた世界を救おうとしたのを王神は邪魔したのです」


王神は反論した。

「あの時のギルダス王のやり方はひどかった。

侵略に侵略を重ねて、そのせいで不幸になる者が世界中に溢れかえったではないか」


「俺は、いや私は自分が知り得る知識をすべて吐き出して、文明が前進し民が豊かになるように尽くしたのです」


しかし王神は俺が気にしていたことにズバリ踏み込んだ。

「その後の世界はどうなった。文明が急激に進み、幸せになったか。

大量殺戮兵器を用いた戦争により世界は滅んだだろう」


確かに俺がクーリアに転生した時その結果は見た。

そしてクーリアも敵のダークマター光線により一瞬のうちに死んだのだった。

だが俺は反論した。

「私がギルダスとして最後までやり切ることが出来たら、もっと違った結果になっていたはずです」


「あくまで自分の過ちを認めないのか。文明とは与えられるものではなく、自分たちの手で学びながら少しずつ形成するものだ」



帝神がここで口を挟んだ。

「ラデウス、いや佐藤龍と呼んだ方が正確ですかね。あなたが王神をここまで嫌っているのは誰かによからぬことを吹き込まれたからです」


そう言うと帝神は片方の手を俺の頭上にかざし、もう片方を宙に掲げた。

すると映像が宙に映し出された。


ケイティになっていた頃の俺と邪神のやり取りが記録映画のように宙のスクリーンに映し出された。





【 俺はギルダスとクーリアの頃のことを邪神に詳しく説明する羽目になった。

そしてついでにケイティになってからのことも詳しく聞かれた。

最後まで話を聞いた邪神は王神を強く非難した。


「王神ってホント自分勝手な奴なんだよ。あいつのせいで暮らしている者がどれだけ迷惑を被ったか。

今回のお前の件もそうだ。王神にギルダスが殺されなければ後々クーリアのいたような悲惨な世界にはならなかったはず。

ギルダスによる統一を王神が邪魔したおかげで、ハイテク機器による殺し合いが行われるような世界になったのだ。

王神は自分こそが絶対の王であるから、ギルダスがこの星の民を統一するのが面白くなかったのさ」


こんな感じで王神への悪口は続いた。

「お前の話を聞くと獣ノ神は不正を行おうとしていたようではないか。

それを王神は気づいていたようだな。

そして獣ノ神をその場から追い払うだけにとどめ罪を見逃した。

王神は自分の配下に甘いのだ。だから将神も愛想を尽かしたのだろう」

聞いていた俺は邪神が王神に対し感情的になっていることに気づいた。


「王神と何かあったの? 彼の話をする時って全然冷静じゃないよね」


「許せないのだ。王神はいつもその立場を使って、周りの者を従わせるだけだ。

神の王としての資質に欠ける。奴を今の地位から引きずり降ろさねばならない」



邪神は王神を悪く言い続けた。

「キャットラ王国の後ろで糸引いてるのも獣ノ神だぞ。そして獣ノ神は王神の配下にある。つまりケイティがいた孤児院の焼き討ちも王神に責任があるんじゃないか。

これからも王神には気をつけた方がいいぞ」


「王神と獣ノ神は今どこにいるんだろうか」


「キャットラの都で暴れたり、王宮を襲撃すれば獣ノ神も姿を現すと思うが」


「邪神は手伝ってくれない? もしくはブルデッドを貸してはくれないか」


「オレサマは他にも沢山やることがあるのだ。だがお前の頼み、特別に聞き届けてやるぞ。この恩を忘れるなよ」


彼はそう言うとブルデッドを呼び出した。】






そこまででシーンは終わった。

すると統ノ神が指摘した。

「王神様に対し悪い印象を持つように邪神様が操作してますね」


ああ確かに統ノ神が言うとおりだった。

自分の過去を映像として客観的に視ればそうなる。

俺が王神をここまで憎んでいるのは邪神の話を聞いたことの影響も少なからずあるはずだ。



だがコデウスに転生している時俺は王神と人間による非道を目の当たりにした。


「帝神様、俺は龍人コデウスに転生時、王神の悪行をこの目でしっかりと見ました」


王神は当惑しているようだ。



またもや帝神は片方の手を俺の頭上にかざし、もう片方を宙に掲げた。

すると映像が宙に映し出された。


コデウスに転生している俺が王神と人間の悪行を知ったシーンだった。





【「これはいったいどういうことだ」

俺は一人の魔人に尋ねた。


「もしやそのお姿、あなた様はコデウス様で」


「そうだが、そんなことはどうでもいい、この荒れ果てようはいったいどうしたのだ」


「はい、この辺一帯を大勢の人間が突然襲いまして」


別な者が言った。

「ここらへんだけでなく他も人間にやられとると旅の者が言いおったぞ」


「そうそう、獣人の村落も襲われたとか」



そこへ三メートル近くはありそうなでかい男が近寄ってきた。

それを見て、このへんにいた者は皆かがみ地に頭を擦りつけた。


「ああ、よいよい。こういう事態だから堅苦しいことはしなくていいぞ。皆の者大変だったな」


この大男は何者だと思い、ネームの術を使い調べた。

大男の上に『魔ノ神』と表示された。



魔ノ神は話を続けた。

「皆、信じがたい話だが襲ってきた人間たち、その後ろで糸を引いているのは王神という噂がある。確かなところから聞いた情報だ。

人間を使い、亜人種を滅ぼそうとしているらしい」


「王神様というのは魔ノ神様の上司に当たられるお方なのでは」

一人の軽傷を負った魔人が聞いてきた。


「うむ、そのとおりだがこのようなことを王神が引き起こしたとなると別だ」

そう言いながら俺の姿を見つけこちらへ近づいてきた。


「もしや君は龍ノ帝の息子で、最近悪者退治で有名なコデウスではないかね」


「ええ、そうですが」


「やはりそうかね。お父さんともよく似ているよ。ここであったのも縁だと思う。もし急ぎの用があるのじゃなかったなら我々の手伝いをしてくれないか」


「どういった内容でしょうか」


「世界の各地で人間による亜人狩りが行われていてな」


「それは本当ですか!」

側で話を聞いていた魔人が信じられないといった感じの表情をした。


「それが事実なのだ。王神に直接仕えていて私や鬼ノ神、獣ノ神、龍ノ神を統括している将神様も憤っておられた」


俺は魔ノ神に続きを促した。

「私に手伝ってほしいというのはなんでしょうか」


「ああ、このままでは魔人だけでなく他の亜人や生物も滅ぼされるか、奴隷扱いされる。だから人間に反撃したいのだが」


「諸悪の根源は王神なのでは?」


魔ノ神は頷いた。

「その通り王神が原因だ。人間に対し攻撃を加えれば王神は姿を現すはずだ」】






そこでそのシーンは終わった。


「これは魔ノ神の得意な催眠術ですね。催眠術で一時的に亜人たちを操り、人間に襲われたという証言をさせたのです。

そしてそれを聞いたあなたは信じ、人間の居住区で大暴れした」

帝神が解説した。


「なるほど。魔ノ神はなかなかの策略家ですね。だが私が至らないばかりに彼らを増長させるような隙を与えてしまうのが一番の原因です。責任を痛感しております」

俺が見てきた今までの王神からするとらしくない、しおらしい発言だった。


「仕方がないことです。邪神の存在がなければ他の者もここまで表立った行動はしないでしょうに。

それに責任というならば、監督責任は地神、黄泉神にありますし、それらを監督するのは私の務めです」


帝神の反省の弁を聞き俺は疑問に思った。

「これらの件には邪神が絡んでいるようだけど、邪神は摩ノ神とザデウスの時に揉めていたのではないですか」


「それはザデウスの時代には摩ノ神が君臨する魔人の一族の勢力が圧倒していたからです。

それは邪神の考える世界とは違った。だから反発したのです。

そして陰神の理想とする世界とも異なった」


その後色々語り合い最後は王神へのわだかまりも消えた。

完全に和解できた。


王神と厄ノ神がその場を去ろうとすると帝神が止めた。

「ちょっと待ってください。厄ノ神は先程も身を挺して王神を護ろうとしましたね。

あなたの常日頃からの務めは殊勝であります。名前を少し変えましょう」


俺はネームの術を使った。

すると彼の頭上には『統神』と表示されていた。

「あっ『ノ』がない」

思わず俺は叫んだ。


「そうです。統神よ。あなたはこれからは更に責任ある立場になりました。

一応不死身とはなりましたが絶対ではありませんので油断しないように。

これから先は力が弱まらない限り記憶が途切れることはありません。

王神の右腕となり、今はラデウスとなっている佐藤龍を補佐してください」


それから王神に向かい忠告した。

「このことを知ったら将神が激怒して何か仕出かすかもしれません。

気をつけていてください。

黄泉神への配慮はいれませんから、いざとなったら将神を罰してください」


最後の件は俺にはなんのことかわからなかった。


「私はラデウスにもう少し用がありますので」


王神と統神は帝神に恭しく礼をしてその場から去った。

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