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第163話 本編Ⅰ-52

いつの間にか文章評価してくださった方もいたみたいで、ありがとうございます。

200ポイントまでもう少し、少しでも面白くなるように…… と思ってます。



俺の打ち込みは統ノ神によって防がれた。


「おいゴリラ邪魔だ、どけ!」


統ノ神は苦笑いするだけだ。


俺がまた打って出ると統ノ神が再び剣で止めた。


「遅い、遅すぎる。それでは王神様を倒すなど絶対不可能だ」


頭に血が昇った俺は「うるさい!!!」と叫びながら回り込んで王神を襲った。

が、またしても統ノ神に邪魔された。


「王神、どこまで汚いやつなんだ。そんなことだから他の神々に嫌われるのだ」


それまで黙っていた王神が口を開いた。

「俺は自分の信念に従い行動するまでよ。他の者の評価など気にしてはおらんわ」


「だが自分の配下であるべき者たちの造反の動きはどうする? 将神っていうのはお前の部下のはずなのに、邪神と仲がいいぞ。お前にそれだけ魅力がないってことだろうな」


王神の顔色が変わると一気に俺へ踏み込んだ。

統ノ神が慌てて王神を止めようとするが間に合わない。


すべてがスロー再生にように見える。

これが死ぬ直前の現象なのか?


俺は目を瞑った。

次の転生の自分ににすべてを託そう。


しかし金属がぶつかり合うようなすごい音がして俺は目を開けた。


「この場であなたは死んではならないのです」

全身銀色に輝いた帝神が尻もちをついた俺に手を差し伸べた。


「何者だ! 王神様に敵対する者か」


統ノ神の怒りに対し帝神は一瞥しただけで王神に向かい告げた。

「これは星神様の御意思であります。王神堪えてくれますか」


「勿体なきお言葉、そして心ならずとも帝神様の身に剣で触れたことどのような処分でもお受け致します」


その言葉を聞き『忌ノ神』改め『統ノ神』が土下座して地面に頭をめり込ませた。


「統ノ神とはいい名前ですね。うん先程のことは気にしないでづださい。暗くて何も見えないでしょう。そのめり込ませた頭を地から抜いてください」


そして王神んお方を向いた。

「あなたは私に剣を振り上げたりなどしてませんよ。勝手に私があなたの剣の前に飛び出しただけです。それにしても剣の腕前は神々の中でも一番ではないかと言われる腕前、鋭かったです」


俺はハッとした。


「えっもしかして帝神様は体で剣を止めたのですか?」


王神が恭しい物言いをした。

「お前のために御身を挺して防がれたのだ。お礼の言葉を言わぬか」


「帝神様助かりました。有難うございます。今度こそ憎い王神を倒します」


俺はそれだけ言うとその場から去った。


気まずい雰囲気のその場からなるべく早く去りたかったのだ。

しかし心臓は破裂しそうだ。

もっとダイエットして、もっと敏捷にならねばと俺は自分に言い聞かせた。










それから俺は死にもの狂いで色々な経験をした。

用心棒、冒険者、探偵など。

それらはいい生活費になり、俺の剣の腕をあげ、ダイエットにもなった。


王神襲撃の失敗を除けば、ルーマの剣は最強だった。

あきらかにルーマの剣だから打開できたという局面が沢山あった。




そんなある日人間の集団を奴隷扱いして移動している魔人の組織と出くわした。

俺は奴隷にされた人間たちをなんなく助けてやり、解放した。


その者たちはサンテ大陸のとある魔法使いの集落に住んでいたのだが、もっと優れた魔法を学びに集団でラオ大陸にやってきたとのことだった。

「すみません、何もお礼するようなものはなくて」

皆そう言いながら身につけていた装飾品などを差しだそうとした。


「いや、これから大変でしょう。私は何か頂くために皆さんを助けた訳じゃありません。どうか、気にしないでください」

カッコつけて俺はそう言った。


「何か伝授できるような魔法があればいいのですが生憎そのような技は誰も会得しておらず」

長老らしき人が俺に対し申し訳なさそうに言った。


「長老、例の剣を差し上げたら」


言われた長老は苦い顔をし、言った者を睨んだ。

「馬鹿者、あれは本物かどうかもわからんのだぞ」


それから俺を向き恥ずかしそうに述べた。

「代々我が集落に伝わる神剣と言われるものがあるのです。しかしどうやっても鞘から抜けず、誰も剣を見た者はいないのです」


「ほう、今ここにあるのですか」


「はい、しかし本物かどうかもわかりませんよ」


そう言いボロ布の包みを取り出した。


「ちょっと見せてください」

そう言い布を取るとなんとも粗末な木で出来た鞘が出てきた。


ルーマの剣が小刻みに揺れ出した。


俺は何事かと気になったが、神剣といわれるものの柄、いわゆる握り部分に見覚えがあった。

まさか!


俺が柄を握ると、誰も抜けなかったという剣はなんなく抜けた。

光り輝く剣はまぎれもなく俺が知っている神剣『モルダウ』だった。

そして剣の部分にそう彫られていた。


ルーマの剣が怪鳥のように鳴きだした。

これはどういうことだ。

まるで神剣モルダウを嫌がっているかのようだ。


ルーマの剣は新しい流れの世界になる度に新たに作られるのだろう。

摩ノ神の持ち物であったこともあるし、だが大抵は邪神がルーマの剣の持ち主だった。


それに対し、神剣モルダウは俺がザデウスの時に名工ダダンヌに創らせたのだった。

俺がオーデウスに転生している時に出会ったダダンヌは国ノ神だった。

ずっと後の流れの世界でザデウスに転生した俺がその世界では神になっていなかったダダンヌに創ってもらったのが神剣モルダウ。

彼は命懸けでこの剣を創りそして果てた。

剣には彼がずっと密かに想い続けた女性の名からモルダウと付けた。



だが今は別な流れの世界だ。

ここに神剣モルダウが存在するということは、モルダウは時空どころか、『流れ』を超えて存在するのだろう。

俺が『流れ』を超えて転生するように。


まさしく神剣だ。



モルダウを鞘から軽々と抜いた俺は正統な持ち主と見なされそのまま剣を献上された。






モルダウを鞘に収めている限りはルーマの剣は鳴かなかった。

しかし小刻みに震えていた。

それはまるで面白くないと言っているかのように俺には感じられた。









突然地響きがした。

ルーマの剣が暴れている。

そう、いつもより震えが大きい。

まるで喜んでいるように俺は感じた。


そこへ一撃が。

俺は無意識に神剣モルダウを抜いていた。


ブルデッド!

なんとなく眠そうにみえる。

機嫌が悪い。



彼の動きは以前の記憶している姿に比べて緩慢だった。


モルダウはなんなくブルデッドの攻撃を躱した。

しばらくそれが続くと邪神がその場にやってきた。


「邪神様、いったいどういうことです」


俺の問いに応えず、ブルデッドに何か命じた。


ブルデッドの表情が屈辱的にみえたのは気のせいか。



奴は火器を俺に向けてきた。

いわゆるマシンガンのようなものだ。

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