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第147話 本編Ⅰ-36 宿敵



諸国から色々な救援物資が届いた。

多くの国が位の高い者をお見舞いの使者としてブルック国に派遣した。

度々紛争になっていたサンサーバ国も前国務大臣アンサバを派遣してきた。

アンサバはサンサーバ国では珍しい穏健派で、ブルック人が多数いた土地をサンサーバ国の領土と主張することに異を唱えていた。

そのことでサンサーバ国内では裏切者とか国賊とか言われ、サンサーバ国の神人に罷免されたのだった。

ちなみに神人とは普通の国で言う国王や教皇のような存在らしい。




各国の使者が慰問に訪れた。

人と比較的近い、あまり位の高くない神々も次々に見舞いや視察に来た。

都ミュラーも少し活気を取り戻した。


しかし突然騒ぎが大きくなった。

なんでも大変偉い神が降臨して位の低い神々が畏まっているらしい。


俺も好奇心から見に行った。

そこにいたのは、憎っくき相手『王神』だった。

俺は奴に以前ギルダス転生時を始めケイティ、コデウスと計三度も殺されている。

そればかりかなり煮え湯を飲まされてきた。


ギルダスの時は平和のためにと、世界を統一するその半ばで志を挫かれたのだ。


ネームの術で確認しても奴の頭上には『王神』と表示されていた。

俺はいつの間にか剣を抜いて王神に斬りかかっていた。

王神はこちらを向こうともしない。


よし、今回こそ!


するとなんなく剣は弾き返された。


えっ?


俺は頭に血が上っていて周りが見えてなかったのだ。

王神の横にはイケメンゴリラのような男が立ち護衛をしていた。

ゴリラの胸には三本の筋になった傷跡があった。


忌ノ神だ。

こいつは赤山で俺を助けてくれたし、今までの経緯から考えても悪い奴じゃなさそうだ。

しかし王神の手下になったのが間違いだ。


俺は忌ノ神に何度も斬りかかったがすべて簡単に返された。


「忌ノ神! 邪魔だからどけ!」


「ほう少年よ、お前とはどこかで会ったことがあるようだな。だが今は王神様の計らいで統ノ神と名乗っておる」


ホントかよと思いながらネームの術で確かめた。

確かにイケメンゴリラの頭上には『統ノ神』と表示されていた。



王神は俺を見て笑った。

「もしかするとお前はあの転生者か」


「ああそうだが、何がおかしい」


「いや今まではそれなりの男前や綺麗な女性だったのに今回はデブに転生したのか。なんとも気の毒な。今後もさぞかし大変な転生だろうよ。

統ノ神よ。適当にあしらえ。ただし傷をつけぬようにな。大人と同じぐらい重いだろうが、なんせまだ少年だ。相手が仕掛けてきたとはいえ、我らが傷でもつけたらみっともないことだぞ」

王神はちっとも気の毒に思ってない感じでそう言い放った。

かしずいていた統ノ神は頷くと俺を手で追い払う仕草をした。


くそっ馬鹿にしやがって。



見ていた周りの者たちが騒ぎ始めた。

俺がラデウス=ベントールだと気付いたのだろう。


石が飛んできた。

それを合図に石やその他色々な物が飛んできた。


「この罰当たりが」

「所詮成り上がり者よ」

「恐れ多くも神々の中の神である王神様に盾突くとは」

「自分は何様のつもりなんだ」

「御自らお見舞いに来られた王神様になんということを」

「ベントール家はついに正体を現したぞ」

「まさに天に唾を吐くような行為じゃ」



もう戦うどころではなくなった。

王神と統ノ神はいつの間にかいなくなってしまった。



ベントール家に反感を持っていた勢力はこの機会に一気に動き出した。

国もベントール家に対し態度を変え、財産はすべて没収された。


ベントール家に少しでも関わりのある者は暴言を浴びせられ、時には暴力も受けた。

ベントール家は迫害され、その時に兄のモスバは袋叩きに遭い、大怪我を負った。



我々はせっかく馴染んだブルック国を捨て、行く当てのないまま出立した。

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