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第128話 本編Ⅰ-17 「弟子にしてくれ」

明日はUPできるかわかりません。

今から続きを書いて間に合えば『予約』でUPします。

期待しないでいてください。

ちなみに明日は飲み会なのです。



俺は木刀を二本持ち二刀流になった。

ザンパにはさっき程の余裕がなくなったようだ。

さすがに嫌がっている。

剣を抜いて対応しだしたが、途中で手を挙げて試合を止めた。


「まあ待ていくらお前が強くてもまだ十才なんだろう。

そんなお前にこのザンパ様が本気になることなどない。それでもうっかり怪我でもさせたりしちゃ俺の名前にも傷がつく。

この続きはチャンスがあればまた今度だ。

まあ俺が死んだらお前の夢に出てきて剣を教えてやるさ。

ウルヤンキーを早く仕留めろという命令が出ているからこの辺でやめとこう」


そう言うと彼は去って行った。


俺には天と地が引っ繰り返っても勝つ見込みがなかったからホッとした。

ウエンディは大丈夫かと思ってみると彼女の目は黄色く点滅していた。


まずい、怒っているのか。


「ウエンディごめんなさい、許してください」


「違うわ、私は自分に腹を立ててるのよ。

あたしに対してラデウスが手加減していたなんてこれっぽっちも気づかなかったもの。

今までいい気になってしまってだのね。馬鹿みたい。

でもあなたも意地が悪いわね」



それから姉ウエンディと俺との間はぎこちなくなった。

ウエンディが常に上から目線で物言う態度は以前なら鬱陶しく感じたのだが、今ではそれが懐かしくいい思い出に変わった。

お互いに距離を置き言葉遣いも丁寧になり、寂しさを感じた。


周囲も気づいているようだったが皆何事もなかったように振舞っていた。

ウエンディと俺の間だけ温度が冷たくなった。


俺と姉は知らず知らずのうちにお互いに、不仲になったことを頭から追い払うように魔法や剣術に打ち込んだ。

ほとんど会話はしなかったがウエンディの頑張りを気にした。

向こうも多分そうだろう。

俺が学問、魔法、格闘技、剣術と幅広く鍛錬しているのに比べウエンディは剣術だけに絞って鍛錬していた。


フラッとどこかに出かけたりしている。

帰ってくる時はいつも泥だらけだ。


『もう教えることはない』と言われウエンディは卒業したが、以前の剣の師匠のところにでも行っているのだろうか。

それとも山に籠って修行しているのか。





なんか薄々予感があった。

もしそうなったら俺はどう対処すればいいのか。


その日がきた。

ウエンディが強張った顔をして俺に一言告げた。


「勝負しろ」


言葉遣いは元に戻ったがまだ余所余所しさがあった。




向かい合っている。

負けた方がいいのか。

それとも勝っていいのか。


「ラデウスお前が大嫌いだ」


いきなり言われてしまった。


「うん僕が悪いんだごめんなさい。でも剣の道にまっしぐらのウエンディを見ていたら……」


「謝るな。それが大嫌いなんだよ。お前何様だ。あたしを憐んでたのか。それとも嘲ってたのかい」


「そんな、そんなつもりはこれっぽっちもないよ」


「お前が強さを隠していることに気づかず、偉そうにお前にあれこれ指導していたことを思い出すと恥ずかしくて眠れない日もあったんだ」


「ごめんなさい」


「その言葉はあたしにとって屈辱なんだ。だから謝るな」


「じゃあ、どうすればいいの」


「お前の本気を見せてみろ」



ここで演技しては駄目だろう。

二度と元通りにはなれないかもしれない。


遠慮なく徹底的に叩きのめした。

だがその度にウエンディは起き上がってきた。

ちょっと怖いくらいだ。


ヒアルがそれを見て止めようと割って入ろうとした。

俺はホッとしたのも束の間。

ヒアルの肩に父ガウディが手をやっていた。


父さんはとことんやれと態度で言っているのか。



だよな。実力はこっちが上なのに相手の執念や根性に免じてというか恐れ入ってというか、そういうのはウエンディだって嬉しくないはずだ。




やがてウエンディは動けなくなった。

立ち上がろうと何度も試みるが倒れてしまう。

そしてそのまま気絶した。


死んじゃいない。

腹式で息をしているのがわかる。




それから次の日まで顔を合わせなかった。


顔が合うなりウエンディに言われた。

「弟子にしてくれ」

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