表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/170

第115話 本編Ⅰ-4  読み書きと剣術

実際書き始めたのは19時過ぎてからですが、だいぶ吹っ切れました。

悩んでもキリがないんで、思い切って書いていきます。

やはりジャンジャン展開させるのが私には合っているので、明日以降はその方向で進みます。



魔法のトレーニングだが、まずは火系から始めた。

俺がこの世界に来て初めて使えるようになった魔法だ。


まずは片足を挫いたふりをして一番上の兄シーザーに杖を作ってもらった。


シーザーは十八才になり、代官である父ガウディの手伝いをしていた。

水系の魔法が得意らしい。

おかげで我が家ベントール家では難儀して遠くに水を汲みに行かずに済んだ。

ただ、それでも怪しまれてはいけないので、空の桶を担いで水汲み場まで何度も往復した。




俺は人目のつかない裏山まで行って魔法のトレーニングを開始した。


アーデウスの記憶はしっかり頭に残っているから、魔法陣と杖を用いた詠唱を繰り返した。

しかしうまくいかない。

そのまま一月ほど過ぎた。


俺がいつも裏山で独り遊んでいると思ったのか二番目の兄マックが簡単な読み書きや計算を教えてくれるようになった。


そうか、一応ラデウスはまだ読み書きや計算ができないんだな。


マックに教わることはすべて知っていることだったが、慎重に演技し、一切そんな素振りは見せなかった。


そう、マックから読み書きを教わったのをきっかけにして学問に深入りするという方向に行こう。

そしてより詳しく現状を調べればいいんだ。


マックは土系の魔法を得意としていて、十五才で目標をしっかり定めていた。

土木関係の技術者になるのがマックの夢だった。

マックはネオス領一帯では学問に関しては最も優秀だった。

もしかしたら既に父ガウディや長兄シーザーよりも秀でているかもしれない。



マックは教え方も上手だった。

俺は裏山での魔法の鍛錬を少し減らし、マックに様々なことを教わった。

家にいる時は密かに魔法の修行をしながら、読み書きに励んでいるふりをした。

そしてマックが怪しまない程度に、傷つかない程度に、読み書きや計算が上達したような演技をした。


するとマックより二つ年下の十三才になる姉ウエンディが俺に剣術を教えると言い出した。

彼女は一度言い出したらきかない。

俺が見る限り、剣の素質はそこそこだ。


今回初めて赤ん坊から始まる転生になり、様々なことがわかり、また気づいたがその一つがランクのつけ方だった。

初級から始まり、下級前、下級、平級前、平級、中級前、中級、上級前、上級、高級前、高級、特級前、特級、秀級前、秀級、範級前、範級となりその次からは準位、石位、銅位、銀位、金位、と続くらしかった。

その先はまだあるらしいが知らない。


姉ウエンディは『中級前』とまずまずだったが、実際は代官のお嬢様ということで甘い評価をされているのだった。

俺は姉が通う田舎道場を一度見学したが、姉に対してはみんな手心を加えていた。

その道場の先生で『特級前』の腕前だったから、たいした道場ではなかったのだが。


ちなみに次兄マックの学問にも同じようにランクがあり、『秀級』だった。

これは兄を教えているどの先生よりも上のランクであった。


 


姉ウエンディに習うようになってから困ったことが起きた。

ウエンディの教え方はよくない。

だがそれは十三才という年だと当たり前のことだろう。

しかし教える内容が間違っているのだ。

道場の稽古は一度しか見てないのでなんともいえないが、姉を指導する者からして間違っている可能性がある。


それで姉が教える型を覚えずにいると鉄拳で制裁をくわえられるのだ。

まだ六才にもならない、いたいけな子に対して、暴力だ。


しかし下手に除けるとますますまずい状況になるし、怪しまれては困る。

俺はしばらくの間、我慢してぶたれる日々を送った。




気が強いお転婆で、しかも唯一の女の子だから何かと特別扱いされている。

顔はチャーミングで黙っていればどこかのお嬢様で通用するぐらいなのだが。


まあ顔で判断してはいけないということなのだな。




そのうち次兄マックと姉ウエンディの間で揉め事が起こるようになった。

その原因は俺だ。

つまり俺に対する評価が正反対なのだ。


覚えのいい賢く素直な弟か、覚えの悪い、のろまで反抗的な弟か。





今日も朝食の時間にその話になった。


マックとウエンディが争っていると、父ガウディが口を出した。


「ラデウスはまだ五才なんだぞ。そんなにプレッシャーをかけるな。ウエンディ、お前が五才の頃はどうだったかい?」


二人は黙ってしまい、長兄シーザーがその様子を見てニヤニヤしていた。



「僕たまにはお外でたっぷり自然を観察したいなあ」


母ベッキーが助け舟を出してくれた。


「そうね、たまには習い事をお休みしてお外で遊んできなさい。ただし遠くまで行かないのよ。裏山ぐらいならいいけどその先にある赤山には魔物が出るから絶対行っちゃ駄目よ」



俺は知っていた。

赤山では何かが取れるから、魔物が出るなんて嘘の話を流して、一般人が立ち入らないようにしていると。

そして時々父ガウディが独りで入山していることも。



俺は決めた。

思い切って赤山まで足を延ばそう。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ