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第111話  本番前のアドバイス

「えっドラゴンはそんな奴じゃないと思いますが」

と言いつつ俺は魔ノ神の言っていたことを思い出した。


『見るからに恐ろしい男で、隙あらば陰神に逆らおうとしていると聞いたぞ。一見おとなしいが、一度暴れだしたら誰も止められないとも』


『見るからに恐ろしい』だのに『一見おとなしい』どういうことだ。矛盾しているような。

あの時はブルデッドと勘違いしていると思ったが、どうやらそうではないのかも。

魔ノ神だけならまだしも司神までもが間違えるだろうか。


「ああ、わかりました。私の勘違いでした」

司神が独りだけ納得したように言った。


「えっどういうことなんですか」

俺は知りたかった。


「なんでもないです。気にしないでください」


「魔ノ神との闘いはどうなりましたか?」


「そんなことがあったんですか。結果は知りませんが陰神に召喚された者たちは今も彼に仕えてますよ。召喚された者というのは外から攻撃してもまったく効かないのです」


「不死身なんですか」


「いえ、それは貴方がよくわかっていることじゃありませんか」


「言ってる意味が」


「貴方最初にこの世界に来た時どうでしたか」


「あっそうでしたそうでした。召喚されたんですよね。そしてその時はこの世界の者に何されても影響はなかったけど、日本で負った致命傷が元で死んだんです」


「そう、召喚された者だって完全に不死身ではないのです。それに今はもう別な流れの世界なんですよ」


「えっまた違う世界ですか」


「不満ですか。そんなにザデウスがいた世界が気に入りましたか」


「いえ、そうではありません。それどころかその反対です。自分にも責任の一端があるとはいえ、魔族ばかりが優遇され、差別と不平等だらけのあんな世界は真っ平です。

じゃあ今度転生する世界はどんな世界なのですか」


「普通の世界ですよ。ギルダスやコデウスが掻きまわした結果できた特殊な世界ではなく、アーデウス・イデウスの世界やウーデルス・エーデウス・オーデウスの時のような世界ですね。

そう貴方はカデウスの時に歴史を教える教師だったでしょ。あんな感じの世界ですよ。今度貴方が転生するまでの歴史はほとんどカデウスの『歴史に関する知識』と変わらないと思いますよ」


「そうですか。私はいつ頃の時代のどこの場所に転生するのですか」


「それはわかりません。私や天神は後追いしているだけですから。貴方の軌跡を辿り、追いついているだけで、前以てわかる訳ではありません。

今から本番が始まることはわかってますが」


「それは前にも聞きました。私が転生する前に現れたのは何か用事があったのではないのですか」


「そうです。私は貴方に忠告しに来たのです。まわりの人に転生のことを話すような軽はずみ行為は慎んでくださいね。特に今まで出会った神々に対しては本当のことは言わないようにしてください」


俺は反論した。

「陰神にはすぐバレるのではないですか」


「あっ、そうでしたね。陰神はそういう術を身につけてますね。まあその時はその時です。貴方がどうするか自分で考えてください。

それとよく考えて行動してください。例えば、貴方が今までの知識や技術を用いて、人前で魔法を使ったとします。するともう、周囲の者は貴方の力を知ってしまうのです。後でそのことを取り消すことはできません。

それから最後にもう一つ。貴方の使命は陰神と陽神を救うことです。その行為に付随して悪い者の力が削がれることになるでしょう。ではさよ」


俺は慌てて叫んだ。

「待ってください。まだ行かないでください。何か私に特別な力を与えてはくれないんですか」


「なんですか、それは?」


「陽神がくれた相手の名前がわかる術や、陰神がくれた相手の嘘がわかる術や、邪神がくれた姿を消せる術みたいなのを」


「ああ、それですか。次会う時までに考えておきましょう。

そうそう本番では私と天神が貴方をサポートしますから安心してください」

そして消えるように姿を消した。

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