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二話

2014/03/25修正

「さてと、これからどうするか。」


俺は少年が帰って暫くしてから鳴った腹の虫を聞きつつ考える。

本当は朝飯を食べたいところだけど、今はそれどころじゃない。


ぎゅるるるるぅぅうう


「うるさい!少し黙れ!…って俺の腹からなんだよな。」


ぎゅるうぅうう!


「……はあ。そうだ、アイテムボックスの中にある食べ物でも食べるか。」


俺はアイテムボックスを開いてワイバーンステーキとゴルンを取り出す。

MMORPGでは分からないとても美味そうな香りの所為で俺はいただきますもしないで食べ始めた。


「!!…ッ!?…ッうまー!!」


なんだこれなんだこれなんだこれ!?一応様子見の為にワイバーンステーキにしたのが勿体無い気がする!!いや絶対勿体無い!!

どうせなら白龍のステーキにすればよかった!!いや、黒龍も良さそう…。

炎龍も水龍も氷龍も土龍も風龍も雷龍も食べてみよう。そうしよう。


一気に平らげた後、これからどうするかを決める。

だが、元々そんなに頭がよくないためすぐに「どうでもいいか」となる。


「そうだ。メニュー」


俺はまたメニューを開く。そしてその異様さを再度目の当たりにする。

これはもう笑うしかないよな。MMORPG内でも俺ってばかなり有名だったし。

それに月一であった大戦なんて運営の方から俺VSその他って感じにされるほどだった。

……あのMMORPGは約三億人ほどの人間がやっていたはずだ。それでも何故か勝てた。

最上位の魔法を撃ちつつテレポートで逃げ回ってたら勝てたんだよな。

当たったとしてもそんなダメージにならなかったし。

ゲーム内の友人によく「お前は異常だ」って言われてたしなぁ。

ま、レベルの差が激しいから仕方ないだろうってことで自己完結したがな。


「折角だから外出てみるか。」


俺は混沌シリーズの服そのままに外に出た。

今の俺の格好は紫の着流しと美しいとしか形容することのできない華の花弁が舞っているような肩にかけるもの。名前は知らん。

ただ着流しと肩にかけるものは滅茶苦茶高そうな事だけはわかる。

すると周りからはギョッとした視線を貰ったけど気にしなーい。

そうだ、空を飛んでみよう。だけどどの翼で飛ぶか…普通に神属性の翼でいいか。


「よっと。」


神属性の翼が俺から生えて、ふわり、と浮かぶ。…少し難しいけどすぐに慣れそうだな。

周りはもっと驚いてるようだけどやっぱり僕気にしなーい。僕分からなーい。

ぐんぐんと地上から離れていく。まったく寒くないのってレベルが関係してるのか?

まあ、ネックがあるわけじゃないしいいか?マイナスどころかプラスしかなさそうだしな。


「……?」


遠くからヘリコプターの音がしてきた方を向くと米粒のような物がはっきり見えた。

え?俺ってばマサイ族よりも凄い系?流石俺の育てたキャラだ。

俺は勢いよく飛びたいが、多分そうすると衝撃波が出そうな気がするため自重する。

多分あってると思う。MMORPG内でも衝撃波が出てたし。今レベルエラーですしおすし。

そう思っているうちにも目の前にヘリコプターが。このくらいの風圧、今のこの体ではそよ風なんだぜ。


「!?ひ、人が…!!翼の生えた人が浮いてます!!」


「えー?人って…人って……。」


翼の生えた人って言うよりもさ、天使とか、神様とか表現あるでしょ。

まあ、種族が神々を従えし超越者ってなったけどさ、それって既に人間じゃなくね?

確かに外見は人間だけど…。とそこまで思ってハッとした。

……なんだか、意外とすんなりと俺が人間じゃない事自覚してるな。


「よーし、シオン君が人間じゃないって事を見せないとな。この世界は窮屈だし、どうするか…。

そうだ!ファンタジーな世界に行こうそうしよう。」


俺は格好付ける為に馬鹿でかい魔法陣を組むことにした。

と言っても、ただ単に魔方陣を大きくするだけなんだけど。

だけどまあ、格好良いからいいよな。別に大きくするだけで周りには…あ、被害でるわ。

基本魔方陣の中にいると巻き込まれるからな。面倒臭いけど詳細設定するか。


「移転魔法:行先はファンタジー世界。行くのは俺だけ」


移転魔法って言うのは俺が今考えた魔法。空間属性で移転するってだけなんだけど……。

一応周りを巻き込まないようにファンタジー世界に行くのは俺だけって言ったし大丈夫だよな。

もし他の誰かも一緒に異世界に行ったとかになるとやるせないし。

巻き込まれて意世界に行ったら多分なんかの能力でも貰ったんだろうとかきっと俺にも最強設定が!とかで魔物とかに挑んで絶対に死ぬよな。

ヘリコプターの方が騒がしいのは置いといて、そろそろ本格的に異世界に行くか。


「えっと、そろそろいいか?」


俺のそんな呟きに連動するように魔方陣が徐々に回転を速めてきた。

そして光も溢れ出し、辺りが光に包まれた。……ヘリコプターの人たち大丈夫かな?

それがこの世界にいた俺の最後の記憶であった。…格好付けたかった。


そしてその日、地球では速報が流れた。その映像は常識ではありえない映像。

神々しい、まさに神と形容できるほど見目麗しい妖艶な男が魔方陣を発動させるという映像。

しかし、多くの人はその姿に見覚えがあった。

それはとある人気MMORPGで無敗を誇る、【無敵】【無双】【一騎当千】という言葉が似合う男だったのだから。


その男が何故現実にいたのだろう?という疑問が何度か上がる事になる。

しかし、何故かそのMMORPG内の彼のデータがすべて消えていた。まるで抜き取られたかのように。

…まるで、彼がそのまま現実世界に現れたかのように。

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