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一話

2014/03/25修正

ちゅんちゅんと雀の鳴き声が聞こえてくる。

ああ、いつも以上に爽やかな目覚めだ。こんな日こそ何かありそうで怖い。

しかしいつまでも寝てると体が痛くなる+お腹も減る=起きるほかない。

目を開けると、いつもの天井だったことに何故かホッとした。


「そうそう、気の所為……え゛?」


声が、男のイケボでエロボになっていて反射的に喉元に手を伸ばすと何かが当たった。


「おいおい嘘でしょ?なんで女なのに喉仏が一夜にして生えるのさ。」


恐る恐る下を見る。するとさらり、と神秘的な青紫の髪が…え゛?

見覚えのある色だ。これは某MMORPGの私のキャラだ。

なんでその容姿になっているのだろう。夢か、もしくは幻覚か。…疲れてるのかな?


頬を掴んで引っ張ってみるけど、痛いだけだった。つまり、夢でも何でもないって事で…。

さらに、動いた時股の間に異物があるのを知った瞬間、叫ばなかったのを誰か褒めてくれ。

とりあえず、現実逃避をするために横の窓から外の景色を見つつベットから降りる。


「ぐぇ。」


「!?ひぎゃぁ!!」


変な感触と呻き声。なになになになに!?てもちつけ!!いや違う落ち着け!!

一人コントをしている状態じゃないと思い慌てて足をどけて下を見る。

そこには金髪少年がいた。多分美少年。(雰囲気でなんとなくわかる。)

さらさらとしていそうな輝く金髪の髪。それと多分青目。

うん、なんでこんな可愛い(であろう)少年が私の部屋にいるのかわからない。

そう思っていたら、少年が顔を上げた。やっぱり美少年で目は青目でした。


「ごめんなさい。」


「え?なにが?」


脈拍が無さ過ぎて意味が分からないよ。


「ぅえ、あの、その、ですね…。」


「ちょ、少しは落ち着きなよ。ほら、深呼吸深呼吸。」


その言葉に従って少年はすーはーと深呼吸を何度か繰り返した。

すると落ち着いたようで、申し訳なさそうな顔をしてもう一回「ごめんなさい」と言った。


「いや、謝られてもなにがなんだかわからないよ。できれば理由を教えて。」


「え?あ、はい、そうですよね。」


そして少年は理由を話しだした。面倒臭いから箇条書き。

・この世界にいる勇者に異世界に行ってもらった。

・しかし、予想外の事に周りにいた女子たちも一緒に呼ばれてしまった。

・世界が歪みだして急いでなにかにその皺寄せを解消させないといけない。

・普通の人にしても意味が無い(消滅するだけな)為急いで探した。

・そこにいた(寝てた)私が丁度良く条件全て当てはまった。

・皺寄せを吸収した私が何故か某MMORPGの自キャラになった。


「ほうほうなるほど。……つまりお前の所為かごるぅうぁぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


「ごべんなざいぃぃいいいい!!」


私は自分の性格を忘れガクガクと揺さぶる。

少年は涙を流していて痛々しいことこの上ないが腹の虫がおさまらない…と言う演技をする。

実はこれってかなり良かったんじゃない?って思う。

だって、数日かけて一つ一つパーツを時には課金すらして整えたんだから。

そのおかげでかなりの(かなりどころじゃない)美形になったんだから、と内心ニヤニヤする。


「ごめんなさいぃい!!な、なんでも三つだけなら願いを叶えますからぁ!!」


その言葉に私は待ってましたと言わんばかりにぴたりとやめる。

それにきょとんとしている少年は置いといて私は言質を確認させる。


「なんでもって言った?」


「は、はい。」


「ふーん。じゃあやめるね。」


それに明らかにホッとした少年。バレバレだよ。

私は…俺はさすがに混乱してたとしてもいつまでも女口調はやめることにする。


「じゃあさ、衣食住の確保。勿論、戸籍など生きるために必要なものすべて頂戴?

あ、別の世界に行ったら、その世界での戸籍も用意する事な?出来るよな?

MMORPGのスペックの引き継ぎ。身体能力、道具、スキル、体力、魔力etc.すべてよろしく。出来るだろ?

身体能力や道具、スキル、体力、魔力etc.すべてリスク無しで出来ること。これっくらい大丈夫だろ?」


「え?え?え?あ、あの、明らかにオーバー…。」


「出来るよな?俺に迷惑かけたんだからな。それとも何か?こんなに迷惑かけといてこれくらいできないのか?」


追い詰めるとまた泣きそうな顔をしてるがしばらくして「でき…ます」と呟いた。

それに俺は満足げに頷く。…半分無理かな?と思ってたが、大丈夫だったようだ。

少年は何かを呟き始めて俺はそれを見つめる。

すると魔方陣が現れた。初めは興味津々で見ていたが五分もすれば飽きた。

足痺れてきたんだけど…と思ったら光に包まれた。そして溢れ出んばかりの力。


「おお、すげえ。」


そう言ったら少年はくたっと力なく倒れた。おいおい、大丈夫かよ?

顔は見てみると青ざめていた。…丁度良いから実験体になってもらおう。


「キュア」


ポウッと少年が光に包まれ、目を閉じる。光が収まって目を開けるとそこには血行の良くなった少年がいた。

少年は目を覚ました。心なしか髪や肌までつやつやしている。

俺は内心頬を引きつらせる。確かこれって、体力を30しか回復できなかったはず…。

もしかしてあれか?レベルがたしか9999の転生81456だから異常なほど回復させたとか?


「あ、ありがとうございます!シオン様!」


「おいちょっと待て、なんで俺の名前知ってるんだ?」


「企業秘密です!」


唖然としていた俺を放っておいて少年は「あ!そろそろ戻らないと!」と言って空間に穴のようなものを開けた。

そしてこっちを振り返るととてもいい笑顔を見せた。


「では、そろそろ戻りますね!シオン様にまた会えることを心から祈っています!」


「いやちょ!待て!」


しかし時既に遅く、既に空間に入って行ってしまった。

行ったものは仕方ないと胡坐をかく。そしてふと思い出したのはメニュー。


「メニュー」


メニューを開いてまた唖然とした。レベルが何故かERRORになっていたからだ。

いや、レベルだけじゃなくて攻撃力もすべてがERRORになっていた。


「おいおい、俺に魔王を操るバグキャラになれっつーのか?」


頬が思いっきり引きつるのは仕方ないだろう。

しかも一番下のアイテムボックス爛の表示の所なんだよこれ。なんで【この世のすべて×∞】ってなってんだよ

確かに某MMORPGのアイテム全て99個ずつ持ってたけどよ、∞ってなんだよこれ。

最強どころじゃないよ、無敵だよ。無双出来るよー、出来ちゃうよー。

そう思ったが何とか立て直す。うん、流石俺。


「ま、結局なるようになれだな。」

読んでくださりありがとうございます!

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