本審査
お気に入りをして下さった方々、ありがとうございますヽ(;▽;)ノご期待に添えるかは分かりませんが、これを糧に頑張ります
言われたとおりに中庭に戻ってみると、あれだけいた人たちの大半がいなくなり、残っているのは十数人だけです。でも、合格者が一人だと考えると倍率はいまだに十倍を超えていますね。副団長様が認めて合格にした選りすぐりなので、かなり気を引き締めてかからなければなりませんね。頑張ります。
「副団長は忙しいから戻ってしまいましたが、審査はこれからが本番です。頑張ってくださいね。お次は、これです」
その言葉とともに入ってきたのは、かごを担いだ数人の男の人たちです。私たち一人一人の前にかごをひとつづつおいて、入っていたところから退出していきました。
かごの中をのぞくとというよりは、地面においてあるので見下ろすとというほうが正しいですが、中には大量の草が。
「さて、皆さんの前にあるのは、そこの山からとってきた草たちです。うちの知識も何もない騎士団員たちが適当にとってきたものなので、食べれるものも入っていると思いますが、食べれないものも大量にあると思って下さい。ここまでいうともうお分かりかと思いますが、食べれる、食べれないに分けてください」
そこの山って、あの高くそびえるモンテ山のことでしょうか。多種多様な動植物がいることで有名な、あの?薬師でもない料理人があの山で採られたものをきちんと区別できるのでしょうか。
「訓練の一環として、頂上からふもとまでまんべんなくとってくるように指示されていたので、せいぜい頑張ってください」
無駄に難易度が高いですね。料理人として、一般的な知識くらいは持ち合わせていますが、あの生物の宝庫とされる山から手あたり次第にとってきたものを分別するというのは、料理人である私たちに要求すべき範囲を超えている気がしますが。
しかし、それが審査と言われれば、やるしかありません。やればできる子と言われ続けた私の実力を見せてやるとしましょうか。
やる気十分で始めましたが、初めてすぐにあ、これは無理だなと思いました。知っているものも結構ありますが、知らないものも十分にあります。そもそも食べれるか否かはどうやって判断するんでしょうか。口に入れて害がなければ食べれるのか、それとも市場で食用としていないとだめなのか、薬草として少量摂取ならば問題ないものは食べれるとしていいのか。
迷った挙句、知っている草を薬草とそれ以外に分けて、それ以外の中から食べれる、食べれないに分けることにしました。
「大体みなさん分けれたようですね。では検分しますので、一歩下がってください」
終了の言葉とともに入ってきたのは、白衣をまとった薬師らしき方々。その中でも一番偉いと思われるのは、白いひげを蓄えたおじいさん。おじいさんは、検分自体には参加しないらしく、ほかの人たちのところを見回り、話しかけています。皆さんの出来はどんな感じなのでしょうか、気になりますね。
じっとほかの人の検分が終わるのを見ていると、あっという間に自分の番になってしまいました。どんな風に分けたか、担当の白衣の人に説明して、彼がじっくりと検分をしていると、私のところにもおじいさんがいらっしゃいました。
「この食べれない方に置いているものは、本当に食べれないものばかりかな?」
「いいえ。私が知らないものはすべて、そこに置きました。自分で何か分かっていないものを他人に食べさせるのは料理人失格だと思っていますので」
米食を広げたいがためにやっている料理人という仕事だけれども、私なりに真剣にやっています。料理人が知らないものを出されたと知ったら食べるほうは気分がいいものではないでしょう。というより、信用できませんよね、そんな料理人。だから、私は知らないは他人にとっては食べれないと同義だとみなしています。
「たとえば、私がこれは食べれるものだ、と言ったらお嬢さんはこれを料理に使うのかな?」
「少なくとも一度味を見てから使います。こちらで審査に参加されている方ですから信用できるとは思いますが、味がわからなければ料理には使いにくいですし」
「なるほど」
それだけ言って立ち去られましたので実際にどう判断されたのかはわかりません。
「次は単純な体力勝負です」
説明を聞くとシャトルランのようなことをするみたいです。決められた距離を決められた時間で走り、それを繰り返して、間に合わなかったらアウトというものなので、シャトルランと言っていいでしょう。
私、体力はありません。今は家を出ましたがもともと結構なお嬢様育ちなもので、箸より重いものを持ったことがないと言うと大げさですが、それに近い状態であったことは間違いありません。しかし、私には秘策があります。見るからんい体力のなさそうな私が最後まで残って、印象にぜひとも残ってやりましょう。
開始数分。すでに息きれぎれ。誰よりも遅くぎりぎりでゴールしています。もう、秘策を登場させざるをえませんね。秘策とは大多数の人が予測していたと思いますが、魔法を使います。
長距離走はに必要なのは強靭な心肺機能。要するに、使用中の筋肉に酸素を多く送る必要があるということです。なので、多く酸素を取り込み、効率よく多くの酸素を筋肉に送ることができればいいのです。身体強化の応用ですね。内臓それ自体に働きかけます。この辺の魔法はうちの長兄が得意としているものなので私はそこまでうまくは使えませんが、腐ってもあの長兄の妹です。小さいころから強制的に鍛えられていましたから、普通の人よりは良く使えます。私はどちらかというと外に働きかける魔法、火とか水とかそういうのが得意です。やっぱり元日本人としては憧れがありましたし。ああ、だいぶとましになりました。
しかし、こんなことでは真正の体力馬鹿は負かせられないようです。余裕のありそうな顔をして走っている人が二人、苦しそうながらも走っている人一人。そろそろ、魔力量は大丈夫なのですが、筋肉を酷使しすぎて、筋肉痛は仕方がないにしても、リバウンドが怖くなってきました。もともとそこまで働けないものを過剰に働かせているのですから、やりすぎるとひどいことになります。眠眠打○を飲んだあと、次の日かなり眠くなってしまうのと似ているように思います。わかりにくいですか?雰囲気ですよ、雰囲気、考えるな、感じろです。こういう魔法を使うときはくどいほど長兄にも言われました。いわく、限界を見誤るなだそうです。なので、長兄の教えにも従いこのあたりでリタイアしましょう。上位五人に入れただけよかったと思うことにします。
結局、余裕がありそうな顔をして走っていた二人は決着がつかず、司会の人の言葉で引き分けとなり、この審査は終わった。
「次の審査の前に、場所を移動します。ついてきてください」
連れていかれたそこは、少し離れたところに位置する建物でした。。今度こそ料理審査かな、と建物の中に案内された時は思いましたけど、こんなほこりまみれのところで料理審査はないだろうからまた、何か違う審査なのでしょう。
「ここで鬼ごっこをしてもらいます」
説明によると、鬼ごっこというよりはけいどろに近いものをするようです。所謂泥棒役は私たち応募者十数人、改めて数えると、十四人いました。そして、警察役の騎士団員と思われる四人が紹介されました。
そういえば、地域によって、へたをすると小学校によってけいどろというかどろけいというか違いますよね。どうしてでしょうか。あと、二つのグループに分けるときとかによく使う、グーとパーでわかれるあの掛け声も違いますよね。音頭とる人によって違うからタイミングつかみ損ねてグダったりしますよね、懐かしい。
閑話休題。
しょうもないことを考えていると開始の合図がありましたので逃げます。
ここで、今更ですが本当にこれは料理人を選ぶためのものなのかが不安になってきました。いくら戦闘能力ありと書いていたからと言って、料理人にここまで要求するなんて普通じゃない気がしいます。私、間違って騎士の応募とかに参加していないですよね。騎士の試験がどういうものなのかは知りませんが。
これが本当に料理人の試験だとしてこんな試験を行う理由を考えてみました。
一、ただの物好き
二、かなり変わっていて、強いものを食べたがる人が上司にいる
三、ここにいる重要人物はかなり重要で、下っ端である料理人ですら命の危険がある(人質としてか脅迫として使われる可能性あり)
四、その他
一と二は少々重複している感も否めないが、個人的には一がありがたいです。しかし、お堅い職業の近衛騎士団、あまりありえそうもないです。まだ私が間違えて応募に来たという間抜けな可能性もかなりあるのでなんとも言えませんが。
「すきありっ」
隙などありません。突き出されたこぶしを避けて距離をとりながら振り返ると、どこかで見たような顔が。
「おー、避けたねー」
へたな口笛を聞いて、記憶がつながりました。私がちょっとした教育的指導をし終えた後に顔を出した人ですね。警察役ではなかったように思いますがどういうことでしょうか。内容によっては、私の右手が火を噴くかもしれません。もちろん、比ゆ的なことです。できなくはないですが。直裁的に言うならば、やつらの二の舞にしちゃうぞということです。
「説明していただきますか?」
戦闘態勢のままへたくそな口笛を吹く男略して、へた笛男を見据える。
「捕まえる役のやつらはフェイクなんだよねぇ。本当は、思ってもないところからの攻撃もきちんと気づけるかってことがためされてたんだよー。君は合格だね。ちなみにいつ気づいた?」
「隣に立たれる少し前ですね」
それまではほぼ完ぺきに気配を絶っていました。くやしいけどそれまでうかがわれていたことも全然気づきませんでした。もし、気づかなかったらと思うとぞっとする。それは私の命を彼はいつでも奪えるということだから。
私は前世ではなぜか理由はおぼえていないけれど若くして死んでしまっいました。その理不尽さゆえに、私は自分の命に対する執着は人よりも大きいと思います。夢は「広げよう!米食の輪」だけど、大前提は大往生ですし。だから、自分を守れるくらいのの力を身に着けたかったし、身に着けれたと思っていたけれど、これは思い上がりだったようですね。少し助長してました。
「すごいねー。俺の気配気づくのは団長でも厳しいのにさ。適性の問題もあるけど。そんな俺に気づいたお嬢ちゃんはいったい何者なのかな」
さっきまでのふざけた様子は影を潜めて、目には真剣な色が浮かんでいる。
「平穏な幼少時代を過ごしていたわけではないですからね」
「そっか。もう終わったし、戻ってもいいと思うよ。じゃ、またねー」
彼が出てくると集合場所に戻ることが多いですね。
これでようやく、約半日近い審査が終わりました。司会の人は、簡単に締めの挨拶をして、今日の給金として銀貨二枚を私たち全員に配り、結果は後日郵送するとだけ言って解散となりました。
私に合格通知が届いたのはその四日後でした。
ようやく主人公の仕事が決まりました
あらすじにでてきた少年を早く出したいです