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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
第五話 この夢を思い描く理由

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5-2

「え、結叶って学年一位なの!? すごい!」


 成績上位者のランキングが貼り出されたのは、それから一週間が経った、六月始めのことだった。

 教室の後ろに掲示されたランキングの「一位」の欄に堂々と載っていたのは他でもない、「羽鳥結叶」の名前だ。びっくりして思わず二度見する。二位のところには委員長の林田くんの名前があるが、これまでは彼が二年生の頃からずっと一位だった。林田くんも驚いたのか、結叶の方をチラチラと見ている。

 

「驚いた。勉強すごく得意だったんだね」


 素直に言葉を投げかける林田くん。結叶は「まあ」とまんざらでもなさそうに頷いた。


「恵夢に教えてもらったからな」


 結叶がそんなことを言うものだから、林田くんが私の方を振り返る。私はそれほど勉強が得意なわけでもないので恥ずかしくなって視線を逸らす。確かに結叶とは勉強会をしたけれど、彼が前の学校で進んでなかったところをちょっと教えたぐらいだ。それ以外は私の方が結叶に分からない問題の解き方を聞いていた気がする。


 やっぱり医者になりたいというだけあって、頭が良かったんだ。

 改めて、結叶の夢について想いを馳せる。医者になるのなら、勉強はできて当たり前だろうし、結叶には「別にすごくないよ」とか言われそうだけど。それでも、彼が夢を叶えるために他人から見えないところで努力をしているのだと容易に想像がついた。

 だからこそ、彼の夢をいただくということに、躊躇う気持ちは拭えなかった。



 テストの順位表が貼り出された日の翌日、この日は結叶が朝から欠席だった。例によって、家の都合で。

 結叶がいない一日は、彼が転校してくる前に逆戻りしたみたいだ。友達がいない私にとって、彼がいなければ教室は物寂しい場所でしかない。ひとりぼっちの一日が始まって終わっていくのだと思っていたのだが、昼休みに里香が話しかけてきた。今日は仲間は連れておらず、一人で。

 彼女は私の席に近づくと、じっと私の目を見つめて想定外の疑問を投げてきた。


「恵夢、結叶くんって病気なの?」


「え? 結叶?」


 結叶の名前が出てきてぎょっとする。里香と二人で彼のことを話題にしたのは初めてのことだったし、「病気なの?」という不可解な質問にも驚いた。


「なんでそんなことを……?」


 里香と話すのはやっぱり気まずいし、怖い。

 すぐにでも会話を終わらせたい衝動に駆られたけれど、結叶のこととなれば聞かずにはいられない。


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