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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
第四話 言葉だけで救われる

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39/73

4-2

待ち合わせ場所は水島中学校前だ。学校から最寄り駅まで徒歩十分なので、一緒に駅まで行く予定だ。

 

「恵夢、おはよう」


 学校前にたどり着くと、すでに結叶は待ってくれていた。白いTシャツに黒い綿パンツといういたってシンプルな出立だ。それなのに、普段の学ラン姿しか見たことがないので、新鮮な気分にさせられる。白いTシャツには初夏の爽やかな葉の緑色が反射していた。


「おはよう。待たせてごめんね」


「今来たところだ。ワンピース、似合ってるな。鞄も服に合ってていい感じ」


「え、そ、そう!?」


 さらりと服装を褒めてくれる結叶に、ぽかんと口を開けてしまう。


「どうした?」


「いや……褒めてくれると思わなくて」


「失礼だな。俺だって女の子のそういうところ、ちゃんと見てるよ」


「……そっか。ありがとう」


 女の子の、というところで、もしかして私以外の女の子にも同じようなことを伝えたことがあるのかなと邪推してちょっと凹む。そんな私の心中など知らないだろう結叶は、「さっそく行こうぜ」と駅の方へと歩き出した。

 私たちが今日向かうのは、街一番の繁華街だ。それほど広くない県内で、中高生の遊び場といえばその繁華街ぐらいしかない。里香たちとカラオケやカフェに行く時にいつも訪れる場所だった。最近は言わずもがな、彼女たちと遊ぶ機会がなくなっていたので、繁華街に出るのも久しぶりだ。病気になってから、純粋にショッピングを楽しもうという気にもならなかったし。

 

 最寄り駅から電車を一回乗り換えて、二十分ほどで繁華街までたどり着いた。水島中学校の周辺は住宅街だが、電車に乗ればこうしてすぐに街へ出られるのはありがたい。


「俺、ここに来るの初めてなんだよなー」


「え、そうなの?」


「ああ。そもそも引っ越してきたのがゴールデンウィークの最中だから。まだ全然、県内のこと知らないっつーか」


「そっか。私で役に立つか分からないけど、道は大体分かるし、行きたいところあったら案内するよ」


「ありがたいな。よろしく」


 結叶がほっとした様子で頷く。

 私は、宣言通り大通り沿いに立ち並ぶショッピング施設を解説しながら彼と並んで歩いた。結叶は意外にも買い物が好きなようで、可愛らしい雑貨が並ぶ店や家具屋さんなんかにひょいっと入っていく。彼の後をついていくだけだが、「この椅子最高じゃね!? 勉強用に買ってもらおうかな〜」なんてじっくりと商品を眺める彼を眺めるのが楽しかった。

 他にも洋服や鞄、靴なんかを一通り見てウィンドウショッピングを楽しむ。 

 なんだか大人のデートみたいだと思っていたところで、結叶は「そうだ」と手をポンと打った。



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