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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
第四話 言葉だけで救われる

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4-1

 中間テストが終わった。

 最後の教科であった国語のテストが終わった瞬間、「やったー!」と伸びをするクラスメイトたち。私も、解放感に浸りつつ、深く息を吐いた。

 ふと直線上に座っている結叶と視線が交わる。彼も、ほっとした様子でこの至福の時を迎えているようだった。前の学校よりもうちの学校の方が進みが早いと言っていたから不安だったんだろう。放課後にちょっとずつ一緒に勉強ができて良かった。


 家に帰る頃には、テスト後の疲れからか、いつもよりも頭痛がひどくなっていた。今日も帰りの早かった兄に心配されたけれど、なんとか誤魔化して自室へと戻る。

 明日は待ちに待った結叶とのデートだ。

 自分がどれほど彼との約束の日を楽しみにしていたかを思い知り、頬が火照る。いけない。まだ前日だし、時間はたっぷりあるのに、もうこんなにドキドキしてるなんて。

 病気のせいか緊張のせいか分からなくなるくらい、ズキズキという頭の痛みが膨らんでいく。ああ、もうどっちでもいいや。今日ばかりは見逃してあげる。頭が痛くたって、明日が楽しみだからどうってことないよ。

 とりあえず鎮痛剤を二錠口に含むと、水と共に一気に飲み込んだ。

 明日、どうかヘマをしませんように。

 心の中でそっと祈りながら、夕食とお風呂を済ませ、その日は静かに眠りについた。


 頭がぼうっとしているのはいつものことだった。

 翌朝、目が覚めて最初に思ったことは、いよいよ今日がデートの日だということだ。しかし困ったことに、着ていく服を用意していないことに気づく。昨日、頭痛のせいでそこまで頭が回っていなかった。ベッドからいそいそと起き上がると、クローゼットの扉を開ける。並んでいる服はどれもぱっとしないものばかりで、うんうん悩んだ。あれでもない、これでもないとぼやきながら結局選んだのは紺色のワンピースだ。小さな白い水玉模様が特徴で、さらりとした生地をしている。これならデートに着て行ってもおかしくないだろう。それから、クローゼットの奥底にしまい込んでいた白いポシェットを取り出す。ほとんど使わない鞄なので色褪せていないか心配だったが、綺麗な状態だったのでほっとする。

 結叶くん、可愛いって思ってくれるかな。

 と、無意識のうちに乙女心が爆発していて焦る。

 か、可愛いとかそんなこと言ってくれるわけないって……!

 相手は思春期真っ只中の男の子だぞ! それも、コミュニケーションが苦手だと自負している。そんな相手が面と向かって服装を褒めてくれるとは思えない。過度な期待はやめよう。

 一人妄想を繰り広げながら支度をしていく。


「行ってきますー!」

 

 休みの日に珍しく一人で出かけるというので、両親は「あら、もう行くのね」と驚いていた。誰と行くのとか、もっと深くいろいろと聞かれるのかと思っていたが、「あまり遅くなったらダメよ」とだけ言われて見送ってくれた。


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