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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
第三話 行き先がどこだって

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3-8

「羽鳥くんは、部活には入らないの?」


 学校から歩いて十分ほどの場所にある市立図書館にやってきた。この図書館は、最近流行りのブックカフェスタイルで、図書館の中に書店とカフェが併設されている。新刊を購入したい人は書店を、本を借りたり勉強をしたりしたい人は図書館を利用することができる。本屋と図書館の境目はかなり曖昧で、図書館全体がおしゃれなカフェのような雰囲気を醸し出していた。

 私たちは最初図書館の勉強スペースへと入り、隣の席で参考書を広げていた。途中でお茶でもしないかという話になり、今はこうして某有名チェーン店のカフェの席へと移動している。私が頼んだミルクモカは、カフェモカにミルクをたくさん注いでより甘くしたもので、高校生の私でも飲みやすいコーヒーだ。対して羽鳥くんはシンプルにブラックコーヒーを頼んでいた。大人なんだな、と感心する。


「ああ、部活は考えてないな。時間ないし、三年になって入るのも微妙だろ?」


「まあそうだよね。今から部活に参加するのは結構勇気いるかも」


 自らのバド部での思い出と、退部した時のいざこざを思い出して苦い気持ちに浸っていた。ミルクモカを口に含むと、こんな時ばかりエスプレッソの苦味がじわりと広がる。


「興味がないわけではないんだけど。サッカーとかバスケとか、球技は全般好きだし」


「そうなんだ。じゃあ、高校に進学したら思う存分球技ができるんじゃない?」


 中学三年生の私たちは、来年には高校に進学することになる。羽鳥くんが「部活をする時間がない」というのはきっと受験勉強で部活どころではなくなるからだろうと思っていた。


「いや……たぶん、高校でも部活はやらないと思う」


「え、どうして?」


 羽鳥くんの返事に引っかかりを覚える。

 受験が終わったら時間ができると思うんだけど、何か他に習い事でもしているのだろうか。しかしそれにしては、彼の表情にどこか翳りが見えるのはどうしてだろう。


「学校から帰ったら家のこととかさ、やらないといけなくて。だから放課後は極力時間を空けておきたいんだ」


「な、なるほど……」


 家のこと、か。

 もしかして、片親なのかな。それとも介護とか。いずれにせよ、そこまで関係が深くないのに、あまり踏み込んではいけない。何か事情があるのだろうということは、彼の浮かない表情から察することができた。


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