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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
第三話 行き先がどこだって

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3-6

「……!」


 飯島さんが涙目になって羽鳥くんを呆然と見つめているのが、ここからでもよく分かる。興味を持って接していた相手から突然正論を突かれて、混乱している様子だ。飯島さんの取り巻きたちも、何も言い返すことができずに硬直している。

 その後、飯島さんがその場の空気に耐えれなくなったのか、バッと身を翻して教室から逃走した。


「ちょっと菜緒!」


 取り巻きの二人が飯島さんの後を追って教室から駆けていく。同時に、四時間目が始まるチャイムが響き渡った。


「あなたたち、どこへ行くの?」


 やってきた英語の三谷(みたに)先生が、廊下で飯島さんの取り巻きに声をかけた。

 二人は先生に引きずられて渋々教室に戻ってくる。飯島さんはすでに逃げてしまったようで帰ってこなかった。きっと保健室にでも行っているのだろう。私や羽鳥くんが先日、そうしたように。

 英語の授業の時間、羽鳥くんはずっと頬杖つきながらノートをとっていた。授業態度だけに注目するとやっぱり不良だ。でも、さっき飯島さんたちの言いがかりから、私を守ってくれたという事実が、彼の存在を私の中で大きくする。このクラスでの私の位置付けは変わらないのに、胸がほんのりと温かい。すごく久しぶりに、他人の温かさに触れた。こんなにも気持ちが楽になるなんて、知らなかった。


 飯島さんは五時間目の授業で戻ってきた。もちろん、彼女が私に謝るようなことはない。でもいいんだ。羽鳥くんだけは自分のことを無碍にしたりしない。陰キャだからと蔑まない。たった一人、教室に自分の味方をしてくれる存在がいるだけで、半年以上も曇天だった空模様に、少しだけ晴れ間が差した気がした。

 その日、放課後までずっと誰かの視線を感じると思っていたけれど、正体は里香だった。 何か言いたげな様子で私を見つめている。いつもなら嫌味の一つでも言ってきそうなものを、今日ばかりは突っかかってこなかった。



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