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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
第二話 きみの前ではおかしくなる

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13/73

2-1

「うわ、また来たんだ」

 

 翌朝、学校の廊下を歩いているとすれ違い際に里香がそう吐き捨てた。里香の方は同じバドミントン部だった花村紗枝(はなむらさえ)広瀬朱莉(ひろせあかり)と一緒だ。当然彼女たちも私を嫌っている。

 四月にバド部を辞めた時、同級生たちにはっきりとした理由を告げなかった。

 病気のことを知られたくないというプライドが邪魔したせいでもあるし、珍しい病気なので話したところで信じてもらえないと思ったからでもあった。

 治療法が“他人の夢を喰うこと”なんて、きっと誰も信じないよね……。

 話したら、頭のおかしなやつだと思われそう。妄想が激しい子だって揶揄われて、いじめられる可能性だってある。だから「受験勉強に専念したいから」なんて適当な理由をつけて部活を辞めた。当然、夏には中体連の大会が控えているし、何より私はキャプテンだった。部長の里香に相談することもなく突然部を去った私に、里香をはじめ、同級生たちが反感を覚えるのも無理のない話だ。


「恵夢さあ、部活来ないんだったら学校も来ないでほしくない? 目障りなんだけど」


「本当だよね。どの面下げて学校来てんだか」


「急にキャプテンが抜けて、うちらが大変なことになってるって知ってるくせに」


 わざと私に聞こえるようにして、三人がヒソヒソと悪口を垂れる。そんなことも今日で何度目だろう。聞こえないフリをするのも、いい加減限度っていうものがある。


「……っ」


 言い返すことなんてもちろんできない。

 里香とは同じクラスだが、紗枝と朱莉は別のクラスだ。二人は一組の前で里香に手を振ったあと、これみよがしに私を一瞥して、眉を顰めて去っていった。

 そんなに私が目障りなんだ。

 部活に所属していた頃は、紗枝と朱莉とも仲が良かった。里香を含め、部活が休みの日には四人でカラオケに行ったりショッピングに出かけたり。遊びの提案をするのはいつも私だった。「恵夢、今日は何する〜?」ってみんなに聞かれるから。私の提案を、三人は大抵快く受け入れてくれる。気分が乗らない時は里香が別の案を出す。それでほとんどはうまくいっていた。バド部の四人は仲良しだねって、他の部活の友達からも散々羨ましがられてきたのに。

 今や、四人の輪に私だけがいない。

 一直線に並んで手を繋いでいたはずなのに、私だけがねじれの位置に佇んでいる。

 弾かれた駒は行き場をなくし、壁にぶち当たって転げる。

 もう誰も、その駒を回してはくれない。

 私はきっとこの先も、一人だ。


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