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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
第一話 ひとりぼっちの夜

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1-9

——病気を治す方法はないんですか!?


 医者からこの奇病について聞かされて、真っ先に声を上げたのは母だ。私は、説明された病気が自分の身体を蝕んでいることに、まだはっきりと自覚が持てていなかった。


——進行を抑える投薬治療が主な治療法になります。が、まだはっきりと解明されていない病気なので、あくまでも症状を緩和するだけですね……。あと、これは最近の研究で発覚したことなのですが、もう一つ治療というか、対処法があります。


——なんですか、それは? 教えてください!


——信じていただけるかどうかは分かりませんが……この病気を治すには、“誰かの夢を喰うこと(・・・・・・・・・)”が必要なんじゃないかと言われています。


——夢を喰う……?


 そう尋ねたのは母ではなくて私だった。

 医者の口から出てきたあまりにも現実離れした解決策に、ぽかんと口を開けてしまった。


——はい。突飛な話なのですが、他人が思い描く夢——この場合、夜に見る夢ではありません。いわゆる“将来の夢”を喰うことで、脳機能の活性化を促します。将来の夢というのは、その人の中で最も長い時間思いを馳せて、どうしたらその目標に近づけるか考えるものです。夢を叶えるために試行錯誤して考える行為が、一番の特効薬になります。


——他人の思い描く夢を……。


 彼の言うことはおよそ非現実的で信じられそうにはなかった。両親も、「はあ」と異国の言葉でも聞くかのように呆然と耳を傾けている。でも、どんなに突飛な話でも、他に治療法がないと言われた今、医者の話を信じ、受け入れるしかなかった。


——あの……、夢ならなんでもいいんですか? ほら、なんとなくパティシエになりたいなーとか、女優になりたいとか、適当に考えることもあるじゃないですか。そういう“即席”の夢でも、治療に繋がるんでしょうか?


——はい、いいのはいいです。でも、夢ははっきりと、具体的な方がより効果的です。夢への想いが強ければ強いほど、夢欠症に効きます。それだけ夢についてたくさん考えているということですからね。


——なるほど……分かりました。


 ちっとも腑に落ちてなんかいないのに、医者に向かって冷静に返事をしている自分がいた。両親は具体的な質問をする娘に対して、呆気にとられている様子だ。


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