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この夢がきみに喰われても  作者: 葉方萌生
プロローグ
1/73

 夜がきらいだ。

 眠りにつくごとに、明日の自分が失われていく。

 そう考えるだけで、怖くて眠れなくなる。

 朝、目が覚めると頭がぼんやりとして、自分が自分でいられないような気がするから。

 

 真っ暗な闇の中で、カーテンを開ける。

 部屋の中にほのかに差し込む月明かりだけが、私の心を慰めてくれるような気がして。

 今日も、眠れない夜にこの先の人生を、諦めていく。


 諦めるしか、ないと思ってたんだ。

 

 あの日、息が苦しくなるほど居場所がなかった教室で、君と出会うまでは。


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