王女
城には地下があったようだ。俺は入口を見つけた。俺はそれを当然のように壊し、下に進んでいく。
「・・・・・・ここか?」
姫が囚われている部屋を見つけた。
「失礼しま・・・」
開かない。
「?壊れたのかな」
俺は力を入れた。
「フンッ!」
ドアが壊れた。が。
「これは・・・・・・氷か?」
氷塊が見えた。この世界で、氷の属性は聞いたことが無い。
「・・・・・・炎で溶けるか?能面式殺戮殺法、炎!」
「ブオッ」
「ひっ!」
女の子の声が聞こえた。それと同時に霧が出た。
「だっ、誰?」
「俺だ。勇者ディスだ」
「勇者?勇者様が来てくれたのね?」
「あぁ。もう大丈夫だ」
「ありがとうございま・・・・・・」
その瞬間、霧が晴れ、女の子が目を見開いた。
「だっだだだだだだだだだだだ誰えええええ???????」
「だから・・・・・・」
「そそそそそそそその物騒な能面を取っていなさいよおお?」
・・・・・・それが無理なんだって。
canの方ではなく、自分の都合だが。
「・・・・・・本当に勇者様なのね?」
「あぁ。もちろんだ」
「違ったらお父様に処刑してもらうんだから!!」
・・・・・・これ本当に大丈夫か?
不安しか無いが、まぁ、何も話さず二人で帰った。
「本当にありがとう。勇者ディスよ。心から感謝する」
裕志時代、ゲームでなにか任務を達成しても、こうやって面と向かって感謝されたことはないから、めっちゃ嬉しい。
「ありがとうございます、国王様」
「いや〜本当に、幹部二体討伐に加え、もう帰ってこないと思っていた娘まで救ってくれるとは。感謝しか無い。あ、そうだ。後でリリィが話をしたいようだ。リリィの部屋に行ってあげてくれ」
リリィ。救い出してあげたのに、終始俺のことを疑っていた人物だ。
・・・・・・さてどうなるか。
俺は国王の部屋を出て、王女の部屋に向かった。
「あの時は、よくぞ救ってくれました、勇者ディス」
先ほどとは違う、いや、先程の顔が「裏」だとすると、今のは「表」なのだろう。不機嫌さを全く感じさせない、とても眩しい笑顔だ。
「・・・・・・ありがとうございます」
「ちょっと側近は出払ってもらえます?」
・・・・・・えっ。まじで?
王様や王女が側近払いをするのは、親しい人や、親子のふれあいをするときだけだと思う。そうなのだろう。周りの側近もざわついている。
「いいから、早く」
そして、側近が退出し、この部屋には二人になった。
「・・・・・・あの」
「本ッ当に申し訳ない!!」
どうやら、俺のことを疑っていたことを誠心誠意謝りたいそうだ。
「どどどどどどどどどうしましょう。私、もうダメかも・・・」
「どうか、気を確かに!そんなことないです」
「あの・・・・・・勇者ディス。もし迷惑でなければ、私を冒険に連れて行ってくださいませんか?」
度肝を抜かれた。そんなに王女は戦闘狂なのだろうか。
「あ、足手まといでなければ・・・・・・一応私は、氷の魔法使いです」
「氷・・・」
「あっ!そうでしたね。貴方はわからないのでしょう」
それから話してくれたのは、リリィ自身の能力だった。
「私は生まれ持って、氷の属性を持っていました。皆が珍しいと言い、小さい頃から訓練漬けで・・・・・・。戦いは好きなんですけど」
やっぱ戦闘狂かい。
「私みたいな変わった能力で、少しは役に立てると思います。恩返しもしたいですし・・・お願いです!私を連れて行ってください!」
そこで俺は言葉に詰まった。
・・・・・・意外に可愛いな。
雪のような白い髪、氷のような透き通った青の瞳。めっちゃかわいいやん。そんな子が、目をうるませてお願いしてくるんやぞ?断れるわけ無いやろ。
「もちろん。力を貸していただけるなら、光栄です」
「やったぁ!ありがとうございますっ!」
喜ぶ姿も可愛いのやが。
「よかったら、私のこともリリィって呼び捨てでタメ口でいいですよ。共に旅をする仲間なので!」
「じゃあ、お言葉に甘えてここで敬語は終わりにいたします。・・・・・・よろしく、リリィ」
「よろしくお願いしますっ!」
こうして、俺は初めての仲間を手に入れた。
「次の目的地は、ヴィーバスですね。光の幹部です」
・・・・・・光の幹部か。
幹部の中では3番目に強いとされている。今までの幹部とは比べ物にならない。
今までとは違う緊張感を持ち、俺は一歩を踏み出した。