終わり
・・・・・・はぁ・・・・・・。
フンブウが戦っているときに、ブンフウは一人、ため息をついていた。ブンフウが裏にいる時は、精神世界のような場所にちょこんとプロジェクターがあり、そこのプロジェクターで表のフンブウと会話ができたり、外の様子を見られたりする。ちなみに、フンブウが裏にいるときも同じのようだ。
・・・・・・いや、強いのはいいんだよ。強いのはいいことなんだけど、段々自分が自分じゃないみたいになってちょっと・・・・・・怖い。
強いのが嫌なわけでも、フンブウが嫌いなわけでも、自分が自分じゃなくなるのが嫌なわけでもない。しかし、本当にこのままでいいのかわからないと思う自分がいるのだ。そんなことを思っていると、フンブウの言葉が耳に入った。
「たとえ俺の存在が消えようとも、魔王軍は殲滅させてやる」
・・・・・・たとえ存在が消えようとも?
僕はそれでも構わないなんて言わない。だって、フンブウが消えたら、弱い僕しか残らないんだから。
・・・・・・いや、お前は大丈夫だ。十分強い。
・・・・・・え?
次の瞬間、目の前がフラッシュした。気がつくと、元いた場所に戻っていた。慌てふためくと共に、そこに見慣れた顔がいることに安堵する。
「ショフレさん!」
「ん、ブンフウも終わったか。・・・・・・どうやら、お前の思うようにはいかないようだ」
「え?」
訳がわからなくて、彼女の視線の先に目をやると、先程見た禍々しい物体がいた。
「ダダダダダダダ」
「違うよ。危害も加えないし、加えられないただの幻影だから安心して」
と、ショフレに言われて僕は安堵した。
「良かった・・・・・・」
「ブンフウも倒したらしいな?どうなんだ?お前弱くないか?」
「違う!お前らが戦った分身は弱かったんだ。残り二体のどちらかが本体、もう一体が俺が生み出した化け物だ」
・・・・・・え?フンブウは、ダールド倒したんだ。
それよりも気になることがある。本体、というのと化け物。
・・・・・・あとは、ユタさんとディスさんだよね?大丈夫かなぁ〜
一方その頃、城のような場所でダールドの本体と戦っていると見られる男がいた。
「くっ・・・・・・」
「どうしたんだ?威勢が弱まったぞ?」
・・・・・・こいつ、強い。
今まで戦った幹部よりも、どんなに強い世界のトッププレイヤーよりも強い。桁違いの強さだ。そうユタは強く思った。
・・・・・・これが、魔王軍最強幹部。
「お前も災難だな。・・・・・・しかし、ディスと言ったか。そいつのほうが災難だけどな」
「何が・・・・・・?」
「俺が作った化け物のことだ。・・・・・・正直俺でも手が付けられない奴だ」
・・・・・・は?こいつよりも強いのか?
正直言って、俺はダールドの本体に勝てる気がしない。幽霊化しても、バレる。
・・・・・・くそ、アイツ等に迷惑かけちまうな。
俺の分身幽霊部隊が確認したのは、外に出ているショフレとブンフウの姿だ。ちなみに、俺は幽霊の力をフル活用し、今の状況を完全に理解している。それぞれがダールドの分身と戦う中、ランダムで一人選び、そいつを本体が本気で殴る・・・・・・というダールドの考えは読めている。その中で、俺が選ばれ、ボコボコに殴られている。
・・・・・・せめて、足掻くか。
「『ゴーストアクストトトトトトト』!」
「!?」
俺は自分ができる最上級の技を出した。・・・・・・「ト」の数で強さが変わってくるが、せめて十個位が限界なのだ。
・・・・・・どうだ!?
「ってぇなぁ。少し威力が増したか?」
「ちっ!無傷かよ!」
全くダメージが入っていないダールドを見て俺は言う。そして、同時に俺は思った。
・・・・・・勝てない。
「王の刺客も全然強くなかったな。残りの二人も全然弱い。まだお前の方が強いが、俺には到底敵わん」
・・・・・・くそ!全く歯が立たない。
「今回のWWGCの優勝者は、なんと小学生の下剋上!沢村幽太さんです!」
ゲーマーの中でも、猛者ゲーマーのなかの世界大会で初優勝した。それが俺の世界デビューだった。
「今のお気持ちはどうですか?」
「・・・・・・っ!最高ですっ!」
あのとき頭が真っ白で、呂律も回らなかったことをよく覚えている。いや、あまり覚えていない。
・・・・・・俺が、最強なんだ!
と、思ったのは束の間。翌年の大会では、王者が交代していた。しかし、だだ下がりという訳ではなく、常にTOP3を維持し続けていた。
・・・・・・そんな俺が負けるなんて。
理由は簡単。経験だ。ディス・・・・・・裕志と戦ったときもそうだったが、明らかにこの世界への慣れが少ない。俺はそれが戦況に大きく関与することを知っている。
・・・・・・くそ!
「そろそろだな」
「・・・・・・何が?」
「あいつが放出されるのが、だ」
・・・・・・裕志、絶対生きろよ。
絶対に助からない自分と引き換えに助かってほしいと祈った。
・・・・・・おい!
ひどくないか?作者が俺の存在を忘れているじゃないか。登場久しぶりじゃないか?
・・・・・・しかし、何もない空間だな。
今俺がいるのは、某モンスターゲームのバグ技で行けるような一面真っ黒な場所だ。
「暇だなぁ。・・・・・・っ!」
どこからともなく、攻撃が飛んできた。いや、マジで。
「今ので死なないの?すごく硬いね」
・・・・・・誰の声だ?
どこからともなく聞こえてくる声に俺は耳を傾ける。
・・・・・・敵の気配は見当たらない。姿も見えない。ということは・・・・・・。
これはいわゆるチートではないだろうか。ほら、オンラインゲームとかでいるヤバい奴。え?この世界ってゲームなのか?
「うーん。惜しいね」
「え?」
心の声が聞こえたようにかの声が聞こえる。
「正しくは、『チートバグ』だね」
・・・・・・はぁ?
能面変態野郎とゲーム史上最悪のチートバグとの戦いが今始まる。




