サークル(後編)
ユタがやられたことによって、俺に選手交代だ。よくレベル50で頑張ったと思う。
・・・・・・ごめんな。お前が頑張っている時に物語に没入してて。
俺は『能面フィルター』でサークルが見える。
・・・・・・人型ってキモいな。輪郭があるだけだけど。
見た目は、紫色の人だ。それだけ。目や鼻などの器官はみられない。
「んじゃ、行きますか。・・・・・・能面式殺戮殺法」
「グオオッ」
「うわっ」
サークルの俊敏な攻撃により、俺は体勢を崩した。
・・・・・・早ぇっ!なんだこれ。
その後俺は、めちゃくちゃ回される。
・・・・・・ぐえっ。流石に目が回って気持ち悪いな。
「やめろっ!」
「やめるわけないだろ」
・・・・・・喋れるんかい。
なんか勝手に発達途中の言葉が喋れない人かと思ってたわ。
「魔王様の理想を叶えるために、やめるわけないだろ!」
「・・・・・・そうか。『能面結界』!」
「なっ!」
おれは内側を守るように球体のように能面結界を張った。
「これなら、被害は出まい。能面式殺戮殺法・・・・・・能!」
「うっ!」
この状態で、まともに戦えそうになかったので、使用禁止にされた能を使った。大丈夫。能面結界は、絶対に壊れないから!
「大丈夫ですか?ユタさん」
「大丈夫だ。・・・・・・それより、ディスは大丈夫なのか?」
「ディスなら大丈夫ですよ。やり遂げてくれます」
「そうか。俺は嫌な予感しかしない」
「?」
そう言われて、私は不安になって、ディスを見た。ずっとあのまま振り回されている。
・・・・・・大丈夫、だよね?
もし、あの人が帰ってこなかったら、私はどうすれば・・・・・・。
「・・・・・・そうか。『能面結界』!」
「え?」
次の瞬間、ディスは球体の能面結界を張った。
・・・・・・何事⁉
一体ディスは何をする気なのか。
「なんか文字出てない?・・・・・・えと、『能』?」︎
「あのバカっ!」
ディスは、使用禁止にされていた『能』を使用したのだ。
・・・・・・うぅ、頭が痛い。
そして、私は大切なことに気が付いた。
「た、大変!このままじゃ、ここが滅んじゃう!」
「・・・・・・まじで?」
前回、ディスはヴィンセント・グィキャ帝国を滅ぼしたと聞いている。
・・・・・・頼むから、ロータムテイテイまで滅ぼさないで!
魔王との戦いが終わったら、私がこの10の国を管理しなくちゃいけないのに、これ以上領地を減らさないで欲しい。
「・・・・・・いや、大丈夫っしょ」
「なんでよ!」
「能面結界はってあるから大丈夫だって」
「・・・・・・そうなの?」
ユタの話によると、能面結界は壊れないらしい。
・・・・・・ふーん。ディスもディスなりに考えたじゃん。偉いね。
「ドオオオオオオオオオオオオオン」
・・・・・・音は来るんかい!
「・・・・・・うるせぇ」
「・・・・・・そうね」
一応能面結界は、透明だが、能を出したことにより、煙があって見えない。
「ヒュンッ」
「あ」
能面結界が解けて、ディスが落ちてきた。
「ヤバい!早く行かないと。ユタさん待ってて」
「おう。行ってこい」
「急がないと。・・・・・・『アイススケート』!」
『アイススケート』は、一定時間私が踏む地面を氷に変え、滑りやすくし、移動を早くする技だ。本来は、不意打ちなどに使うのだけど。
「いた!」
「あぁ、リリィか」
・・・・・・もう、何やってんのよ。
ディスの顔・・・・・・能面を見ると、すごく落ち着く。
「すまないな。いつもいつも迷惑かけて」
「そんなことないよ。・・・・・・ディスはいつもよくやってくれてるよ」
「ありがとう。その一言で全てが報われるぜ」
・・・・・・⁉︎
めちゃくちゃ嬉しい。ディスにそんなこと言ってもらえるなんて。
「ディ・・・・・・」
「そんじゃ、寝るわ。運ぶのよろしく」
「え?え?」
そういえば、『能』を使用すると、寝込むんだったね。
・・・・・・あとでお父さんに叱ってもらわなきゃ。
「あ。来た」
俺は、リリィの帰りを待っていた。
「え!そいつどうしたの?」
「いや、能を使ったら、数日寝込むんだよね」
「あぁ、そうなんだ」
・・・・・・あのバカ!無茶しやがって。
でも、あいつがいなかったら、間違いなく勝てなかった。てか、なんであいつはサークルとまともに戦えたんだ。姿が見えなかったはずじゃ?
「早く帰って治療しないと」
「それなら、俺に任せて」
「これ以上、ユタさんに負荷をかけたくないわ」
「大丈夫、早く治療してもらいたいからね」
「ははは・・・・・・」
・・・・・・なんかすみませんでしたぁ!
場を和ませようとしたのに、毎回こうなる。あっちの世界でもずっとそうだったなぁ。
・・・・・・そのなかでも、唯一笑ってくれたのが、裕志だけだったんだよな。
俺は転生前を思い出しながら、呪文を唱えた。
「ゴースト、『ゴーストムーブ』!」
ゴーストムーブは、自由に空間を行き来できる。
「行き先は、ヴァーメンの城!」
俺がそう言うと、視界が歪んだ。




