おまけSS+α ①
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①秘密です
「そういえば、影成様?」
「どうしたの?」
「私たち、勝負してたじゃないですか」
「んー、そういえばそうだったね」
「それで結局、私のほうは友達を一人増やせませんでした。申し訳ありません」
律儀に腰を折って謝ってくる琴乃ちゃん。そんなことしないでもいいのに。
「いや、琴乃ちゃんの勝ちだよ」
「え?」
「だって、ほら」
僕は自分を指さす。
「僕がもう友達」
「……嵌めましたね?」
「嵌めてはないよ?」
すると、琴乃ちゃんは僕の手からするりと抜けて、くるりとその場で回る。
「やっぱり、私の負けです」
「えっ?」
「だって、影成様は私の友達じゃないから」
「……親友とか?」
すると、彼女は小悪魔な笑みを浮かべて。
「秘密です」
②責任取らせますよ
「あっ」
二人で坂道を歩いていると突風が吹く。坂から上がってきた風は上方向に地面から吹き上げ、琴乃ちゃんのスカートを吹き上げた。
「あっ、あっ」
「琴乃ちゃん、はい」
僕は自分の手で彼女のスカートを抑える。
「ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして」
すると、しばらくしてじろっとした目つきでみられる。何か悪いことしちゃったかな?
「見ました?」
「ぇっ」
「見ました? 見ましたよね? 見た時の反応ですよね」
「いやぁあ、見てないんじゃないかな?」
すると、彼女が口元を抑える。
「えっち」
「……ごめん」
「謝らないで」
「なんで」
すると、彼女は僕の耳元に向かってささやく。
「責任取らせますよ?」
③チョコより甘い
帰りの電車。琴乃ちゃんと二人きりで乗っている。
当然、手もつないでいて。
「琴乃ちゃん」
「はい」
「知ってる? チョコって26度が一番おいしいんだよ」
僕は雑学コラムに乗ってある事実を彼女に告げた。
「へえ、そうなんですね」
「ふふーん、知らなかっただろ」
「そうですね。すごいです」
賞賛を受けて鼻高々になる。さすが僕。
「ちなみにどうしてなんですか?」
「え、うーん。確か、くちどけがまろやかになるからって言ってたね」
「アモルファスですね。本来個体は決勝を取りますが、チョコレートは一定の温度の時ガラスのように非結晶質になってくちどけが多層的になるからおいしくなるんだそうです」
「知ってた?」
「……」
彼女は僕の肩に頭をのせてごまかす。
「いいえ」
「……」
④チョコより甘い 2
「……じゃあ、影成様。知ってますか?」
「なんだい?」
「チョコより甘いものがあるんですよ」
「うーん、大福とか?」
彼女のほうに振り向く。すると、視界に何やら大きなものが飛び込んできた。
「……どうでしたか?」
「……柔らかいね」
至近距離に彼女の顔がある。
初めてのキスはそばの味だった。