TS2日目
TS2日目
目を覚ますと俺は姪の美咲の抱き枕となっていた。
あれから着せ替え人形状態が続き夕飯は澪の膝の上、風呂に入れば娘と姪が押しかけ全身洗われ、入浴後適当に水気を拭いてテレビを観てれば髪が傷むからドライヤーで乾かす、肌に乳液をつけろ等世話を焼かれた。
就寝時には5人で添い寝の取り合いジャンケンの末に美咲が権利を勝ち取った。
美咲に兄は居るが歳下の兄妹が居ないため添い寝の権利をゲットした時のテンションの上がりようは凄かった。
とりあえず枕元のスマホで時間を確認して、美咲の手をどけて起き上がる。
本来昨日のうちに各種手続きを済ませる予定だったのだが、娘達の襲撃を受け今日の午後妻が帰ってからと言うことになった。
そして各種手続きが終わったら俺の服を買いに行くらしい。
妻が帰るまで時間ができたので亜空間ファームからケット・シーのムラマサとクー・シーのマサムネを引っ張り出してリビングのソファーでブラッシングする。
「パパおはよ、何してるの?」
そう言いながら凛が背後から俺の手元を覗いてくる。
「朝飯まで少し時間があるからブラッシングしてる」
膝の上でムラマサをブラッシング、床に寝転がったマサムネの腹を足でワシワシ、2匹ともぐだっとリラックスしている。
「私もやりたい!」
「はいよ」
亜空間ファームから新たにアルミラージのモミジを引っ張り出してブラシと共に凛に渡す。
凛が隣に座りモミジのブラッシングを始め、俺は手で背中を撫で始めた。
『にゃ〜』
「はいはい」
ムラマサの希望通り頭を撫で、頬、顎と撫でるとごろごろと喉を鳴ら始めた。
「パパ、ムラマサなんて言ってるの?」
「頭も撫でろって」
「言葉わかって良いなぁ、私もテイマー取ろうかな」
「テイマーはあまりお勧めは出来ないな、モンスター集めるのと育成が面倒だ」
「でも集めたら強いんでしょ?」
「まぁテイムモンスターは移動手段としても使えるし育てきれば強い、ゲームと違って亜空間ファームが有能すぎて引く手あまたらしいしな、この前高レベルテイマー募集の書き込み見た」
「パパはパーティー組まないの?」
「今は考えてないな、素材分配面倒だしモンスター育成もしないといけないからな」
「イーター系スキルは素材消費すごいから仕方ないね」
「上限があるとは言え確率でステータス上げとスキル獲得が出来るからな」
「で、素材喰らいとか魔物喰らいの取得条件って何?」
「もうジョブと取得スキルが気になる時期か」
「うん、来年には高校生になるし探索者資格が取れるから」
「アイテム消費は激しいが食う食わないは選べるからあっても損は無いか。
まず素材喰らいは肉、魚、植物の分類の食材系アイテムを各種10種、計30種の生食をする事」
「必ず生食じゃないとだめなの?」
「検証クランの情報だと取得は生食じゃないと駄目みたいだな、取得後は調理しても効果が得られるから、とりあえず注意点としては食中りに注意かな」
『にゃ~』
そう言いながらムラマサがヘソ天したので腹を撫でる。
足元のマサムネもヘソ天しているので腹を両足で弄る。
「んで魔物喰らいは昆虫系、動物系、水生系、無機物モンスター各種10匹、計40匹を食い殺す事」
「なんか一気に労力と精神的な難易度が上がり過ぎてない?で、1から食べて倒さなきゃ駄目なの?」
「いや、ゲームの検証だとラストアタックで食い千切ればいいらしい、食い千切ったのは飲み込まないとカウントされないから注意な。
取得条件が厳しい分能力がイカれてるからな、あらゆるモンスター素材とモンスター本体の可食化とか機械系、エレメント系モンスターの素材も食えるから取得スキルの幅がヤバい。
一応取得条件に抜け道はあるっぽいけどネットにも検証クランの情報にも無い」
「初戦闘でモンスター食べるとかだったりして」
「ありえなくは無いか?検証クランは基本探索者の集まりだし、でも未戦闘の家族に頼んだりとかゲーム内での検証も出来るか?」
繋がった世界を忠実に再現したゲーム、カオスアースオンライン、スキルの取得条件もほぼ同じと言うのはこの4年で確定している。
「流石に検証のためにモンスターの踊り食いを親兄弟には頼めないでしょ、あとゲームだからこそ魔物喰らいほどの強スキルの簡単な取得条件は流れてこなさそうな」
「父さんおはよう」
声が聞こえた方を見ると澪達が居た。
「おはよう、朝飯にするか」
そうして皆で朝飯を取ることになった。
献立は食パン、スクランブルエッグ、海藻サラダ、コーンスープだ。
朝飯を食べたあとは皆それぞれ昼まで時間を潰す事になった。
澪と美咲は昨日撮った写真の整理のために2階の澪の部屋に、晴斗と梓は食器の片付け、凛と舞香は亜空間ファームから引っ張り出したモンスター達と戯れている。
俺は身体の変化による感覚の差異を無くすため適当に身体を動かして午前中を過ごす事にした。